応募者1名にかかる調整・連絡・記録の時間を、1,002名の採用担当者に聞きました。
応募者1名の対応時間(ひとまとめに質問)
10 分
日程調整だけで(中央値)
14 分 対応全体(約10分)より長い
選考の滞留主因
40.2 % 社内の合否判断・条件調整
本調査では、応募者への連絡・日程調整・記録・社内確認・書類確認など、面接実施以外で選考を前へ進めるために発生する時間を「見えない工数」と定義しました。
一つひとつは当たり前の業務ですが、短時間で繰り返されるため、応募者1名にどれだけ時間を使っているのかを、担当者自身も正確に把握しにくいのではないかと考えました。
応募者対応をひとまとめに回答するだけでは、こうした工数が見えにくくなっている可能性があります。
そこで本調査では、応募者対応全体として回答した時間に加え、各工程の作業時間も個別に質問しました。
その結果、応募者対応をひとまとめに回答した時間と、工程ごとに回答した作業時間との間には大きな差があることが分かり、応募者対応全体では見えなかった工数が明らかになりました。
応募者1名の対応時間は、ひとまとめで質問すると約10分。ただ、工程ごとに聞くと違う姿が見えてきます。本調査の核心を2点に整理しました。
10分
応募者1名への対応時間をひとまとめに質問すると約10分でした。一方、工程ごとに見ると、日程調整だけでそれを上回る結果となりました。
その約10分は、実際の作業量と合っているのか?
14分
候補日の提示・面接官の空き確認・変更対応・確定連絡まで含めた日程調整だけで、応募者対応全体をひとまとめに答えた時間(約10分)を上回ります。
以下、各設問の結果を詳しく見ていきます。
全国の企業の採用担当者・人事責任者1,002名を対象に、PRIZMAによるインターネット調査として実施しました。応募者1名にかかる工程別の作業時間を中心に、採用の「見えない工数」を把握することを目的としています。
項目 | 内容 |
|---|---|
調査名 | 採用業務の「見えない工数」実態調査(主要工程別の作業時間) |
調査期間 | 2026年3月3日(火)〜3月4日(水) |
調査方法 | PRIZMAによるインターネット調査 |
調査人数 | 1,002人 |
調査対象 | 全国の企業の採用担当者・人事責任者(正社員) |
調査元 | 株式会社ゼクウ |
モニター提供元 | サクリサ |
全国の企業の採用担当者・人事責任者 1,002名に聞きました。
■ 回答対象の採用タイプ(各社で最も工数がかかる採用活動)
■ 月間応募者数(採用の規模)
採用管理システム(ATS)を「導入しているか」と、導入企業が「連絡・日程調整まで自動化しているか」を分けて見ます。
■ ATS導入状況
■ どこまで自動化しているか(全体比)
※レンジ回答の数値は、階級データ推定(Grouped Mean:加重平均、Grouped Median:補間中央値)により代表値を算出しています。重複する連絡対応は、二重計上を避けるため合算していません。
※中央値:回答者全体の真ん中あたりの回答を示す値です。平均よりも、一部の極端に長い・短い回答の影響を受けにくいため、本調査では中央値を使用しています。
応募者1名の調整・連絡・記録などにかかる時間を、担当者にひとまとめで質問しました。まずは全体の水準を示します。
設問:応募者1名あたりの対応(調整・往復・判断・事務など)にかかった作業時間の合計(面接実施時間は除く)
n=1,002/中央値 約10分
FINDING
応募者1名への対応時間をひとまとめに質問すると、半数の担当者は約10分以内と回答しました。一方で、1時間以上と回答した担当者も約1割おり、企業によって負担に差があることがうかがえます。
本調査では、同じ担当者に「応募者対応全体の時間」と「日程調整だけの時間」の両方を質問しました。工程ごとに分けて質問すると、応募者対応全体として回答した時間を上回るケースが見られました。ひとまとめに振り返るだけでは、実際の業務負担を小さく捉えやすいことがうかがえます。
設問:応募者1名の面談日程調整(候補日提示・面接官の空き確認・日程変更対応・確定連絡)に要した作業時間
n=1,002/中央値 約14分
FINDING
面談日程調整だけを質問したところ、最も多かった回答は「10〜20分」で、中央値は約14分でした。
※「約10分」は対応全体をひとまとめに答えた数値、日程調整14分などの各工程は工程ごとに個別に質問した数値で、設問が異なります。だからこそ「1名あたり約10分なのに、日程調整だけで約14分」という逆転が起こります。いずれも担当者の申告値(実測ではありません)です。
工程ごとの作業時間(中央値)を比較しました。応募者を見極める書類確認より、その前後の段取りに時間が偏っています。
設問:各工程(書類確認・面談日程調整・連絡の往復・面談後の記録・合否判断・社内でのすり合わせ・採否連絡)について、応募者1名あたりに要した作業時間を工程ごとに質問。下表は各工程の中央値。
n=1,002
FINDING
書類確認よりも、面談後の記録、日程調整、連絡の往復に長い時間がかかっていました。これらの工程には、進め方を定型化しやすい作業が多く含まれます。
※各工程は対象者や作業範囲が異なり、一部に重なりもあるため、単純に合算することはできません。各数値は、工程ごとの負荷を比較するための目安としてご覧ください。
選考が滞る主な要因を質問しました(最大3つ)。最も多かったのは、「社内の合否判断・条件調整」でした。
設問:選考フローの中で「滞留(ストップ)」が発生している主な原因(最大3つまで)
n=1,002(最大3つ選択)
FINDING
選考が滞る要因として最も多かったのは、「社内の合否判断・条件調整」(40.2%)でした。上位には、日程調整や面接官・現場からの評価回収など、社内工程に関する項目が並びました。
業務量が増えたときに、応募者対応の品質(スピード・丁寧さ)が落ちると感じることがあるかを聞きました。
n=1,002
実感 | 割合 |
|---|---|
ない | 11.0% |
まれにある | 35.5% |
時々ある | 38.8% |
頻繁にある | 11.5% |
常態化している | 3.2% |
FINDING
応募者対応の質が落ちると感じることが「時々」またはそれ以上の頻度であると回答した担当者は53.5%でした(「まれに」を含めると約9割)。業務量が増えると応募者対応の質が落ちやすいと、半数以上が実感しています。
※本設問は担当者の主観的な実感を尋ねたものです。品質の変化には、業務量以外の要因も関与し得ます。
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ここまでの数字は、採用担当者の時間の多くが、判断そのものより「判断を届けるための作業」——調整・連絡・記録——に割かれている可能性を示しています。その構造を、調査データと実務の視点から読み解きます。
まずは工程ごとに測ること。そして、作業と判断を仕分け、決まった作業は仕組みに任せる。担当者は、本来時間をかけるべき判断と候補者対応に集中できます。
見えない工数を読み解く3つの視点
採用の仕事は、候補者への連絡、面接官の予定確認、日程の再調整、面談後の記録、社内でのすり合わせ——一つひとつは数分でも、種類が多く、相手も候補者だけではありません。
面接官、現場、上長、ときには紹介会社。相手の数だけ窓口があり、一度では終わらず往復も重なります。個々は小さく、あとから測りづらく、記憶にも残りにくい。だから、まとめて振り返ると「そんなにかかっていない」と感じてしまいます。
対策の第一歩は、感覚ではなく工程ごとに分けて「測る」こと。本調査でも、まとめて答えた時間は約10分でしたが、工程に分けて聞くと日程調整だけで14分、面談後の記録で21分。
本調査でも、まとめて答えた時間は約10分でしたが、工程に分けて聞くと、日程調整は14分、面談後の記録は21分となりました。工程ごとに分けて見ることで、ひとまとめの回答では捉えにくかった時間が見えてきます。
「忙しいのに、何をしていたか思い出せない」——採用業務は、一つひとつは短時間でも、積み重なると想像以上の負担になります。今回の調査でも、工程ごとに分けて見ると、ひとまとめの回答より長い時間が示される工程がありました。まずは仕事を細かく分けて見てみることが、改善の第一歩だと思います。
工程別に見ると、日程調整や面談後の記録、連絡の往復に長い時間がかかっていました。これらには、進め方を定型化しやすい作業が多く含まれます。一方、応募者を見極める書類確認は中央値4分。合否判断や社内でのすり合わせには、人が担うべき判断も含まれます。
ただし「4分」を単純に軽い作業と見るのは早計です。書類選考は、経歴の一貫性を読み、要件との距離を測り、面接で確かめる点を洗い出す——本来は判断の密度が高い工程です。だからこそ、はっきり要件を満たす人・明らかに外れる人は自動で出し分け、人は「迷うライン」に集中する。
その見極めは、追加で聞きたいことをチャットボットでたずねたり、応募後すぐのAI面接で判断の材料を足したりして支えられます。ここでの自動化は、候補者をふるい落とすためではなく、判断の材料を増やすために働きます。(AI面接は、公平性や候補者体験に配慮した設計が前提です。)
同じ「4分」でも、落ち着いて見極められた4分なのか、周りの作業に追われて短くなった4分なのかで、意味は変わってきます。応募者対応には判断が必要な仕事もありますが、その前後には、決まった手順で進められる作業も多くあります。
そうした作業を仕組みに任せられるようになると、担当者は応募者との対話や選考の判断など、本当に時間を使うべき仕事に集中しやすくなります。書類とじっくり向き合う余白を取り戻すことが、「追われた4分」を「選べる4分」に変えていくのだと思います。
選考が滞る要因として最も多かったのは、社内の合否判断・条件調整でした(40.2%)。次いで、日程調整が37.3%となっています。また、応募者対応を工程別に見ると、ひとまとめの回答を上回る時間が示された工程もありました。1名分の負荷が小さく見えても、応募数を掛ければ総量は膨らみます。
まずは自社で工程ごとに測り、応募数を掛けて試算すると、見えていなかった総量を捉えやすくなります。また、回答者全体の45.9%は、ATSを導入していても管理が中心で、連絡や日程調整は手動でした。導入の有無だけでなく、どこまで自動化しているかを見る必要があります。
進め方の決まった作業——応募直後の初動対応、日程調整、連絡、リマインド——は、採用フロー全体を自動化する仕組みに乗せれば、担当者の手から離れます。
段取りが自動で回るからこそ、生まれた時間を、返信の速さや面接前のひと言、ご縁がなかった人への丁寧な連絡——候補者一人ひとりの体験に振り向けられます。
業務量が増えてくると、一人ひとりの頑張りだけでは対応しきれなくなる場面があります。だからこそ、決まった作業は仕組みで支え、担当者が候補者の見極めや、面接官との評価のすり合わせといった、人が注力すべき仕事に時間を使える状態をつくることが大切だと思います。その積み重ねが、結果として採用の質にもつながっていくのではないでしょうか。
見えない工数への対処は、「測る・仕分ける・任せる」の順で考えると整理しやすくなります。まず工程で測り、作業と判断を仕分け、決まった作業を仕組みに任せる。
ツールを「入れて終わり」にせず、作業を減らし、その先の成果——候補者体験の向上や、担当者が判断と学びに使える時間——まで見据える。本調査の数字は、その出発点が「見えない工数を、まず分けて見ること」にあることを示しています。
10分→ 半数が約10分以内
14分→対応全体の回答を上回る
40.2%→社内の合否判断・条件調整
決まった作業を仕組みに任せると、現場はこう変わる
応募の集約から、要件確認・連絡・面接予約までを自動化した場合の動きを、動画で紹介します。積み上がる「見えない工数」を仕組みに渡し、担当者が候補者一人ひとりに向き合える状態を、実際の画面イメージで確認いただけます。
本調査結果は、出典元の明記と本ページへのリンク設置を条件に、ご自由にご利用いただけます。
https://rpm.zeku.co.jp/research/2026-recruitment-workloadHR業界15年以上。採用の「集める」から「決める」までを、現場で一貫して支援してきました。新卒・中途採用支援、求人広告運用、採用管理システムの導入、歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。
現在は株式会社ゼクウにて営業・マーケティングを統括し、調査レポート・RPMサイト・コラム記事の企画・監修を担っています。
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