
人事業務を効率化するには?課題別の進め方・具体策からツール活用まで徹底解説
人事業務を効率化するには、ツールを導入する前に「業務の棚卸し」と「優先順位付け」を行い、段階的に改善していくことが効果を出すための第一歩です。
採用・労務・勤怠管理など人事業務は範囲が広く、「どこから手をつければよいか分からない」「ツールを入れても思ったほど効果が出なかった」と感じるケースは少なくありません。
本記事では、人事業務が非効率になりやすい構造的な理由を整理したうえで、人事業務の効率化を進める具体的なステップと、採用・労務・勤怠といった領域別の改善ポイントを解説します。
ツールありきではなく、業務そのものを見直す考え方から説明しますので、人事担当者・人事部門の方は参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.【診断】人事業務を効率化するなら最初に改善すべき領域は?
- 1.1.診断結果の活用方法
- 2.人事業務の効率化が進まない理由
- 3.人事効率化は「ツール導入」ではなく「進め方」が9割
- 4.【領域別】人事業務で効率化できる主なポイント
- 4.1.採用業務の効率化
- 4.1.1.ポイント①|応募者情報の一元管理
- 4.1.2.ポイント②|面接日程調整の標準化・自動化
- 4.1.3.ポイント③|選考進捗の可視化
- 4.1.4.見るべき成果指標(採用)
- 4.2.労務・入社手続きの効率化
- 4.2.1.ポイント①|入社手続きのオンライン化
- 4.2.2.ポイント②|社会保険手続きの電子申請
- 4.2.3.ポイント③|契約書・規程のデジタル管理
- 4.2.4.見るべき成果指標(労務)
- 4.3.勤怠・給与関連業務の効率化
- 4.3.1.ポイント①|勤怠データの自動集計
- 4.3.2.ポイント②|給与計算の自動化
- 4.3.3.ポイント③|勤怠異常の自動検知
- 4.3.4.見るべき成果指標(勤怠・給与)
- 4.4.評価・人材管理の効率化
- 4.4.1.ポイント①|評価シートのオンライン化
- 4.4.2.ポイント②|評価基準の明文化
- 4.4.3.ポイント③|人材データの一元管理
- 4.4.4.見るべき成果指標(評価)
- 5.人事効率化でよくある失敗パターン
- 5.1.① ツール導入を急ぎすぎるケース
- 5.2.② 運用・定着がうまくいかないケース
- 5.2.1.面接官が評価入力しない→人事が後追いして結局工数増
- 5.2.2.例外処理を放置し、属人運用が残る
- 5.3.③ 改善の視点がズレているケース
- 5.3.1.連絡の自動化だけでKPIを見ない
- 5.3.2.一部署だけ効率化して、全体が楽にならない
- 5.3.3.効率化=削減になり、現場の反発が起きる
- 6.人事業務の効率化を支えるツールの考え方と選び方
- 6.1.人事効率化に使われる主なツールカテゴリ5選
- 6.1.1.ツール①|採用管理システム(ATS)
- 6.1.2.ツール②|労務管理システム
- 6.1.3.ツール③|勤怠管理システム
- 6.1.4.ツール④|給与計算ソフト
- 6.1.5.ツール⑤|人事評価システム
- 6.2.ツール選定で見るべき共通ポイント
- 6.2.1.選定ポイント①|自社の業務に合っているか
- 6.2.2.選定ポイント②|使いやすさ
- 6.2.3.選定ポイント③|既存システムとの連携
- 6.2.4.選定ポイント④|サポート体制
- 6.2.5.選定ポイント⑤|費用対効果
- 7.なぜ採用業務の効率化は投資対効果が出やすいのか
- 7.1.理由①|関係者が多く、調整コストが高い
- 7.2.理由②|スピードが成果に直結する
- 7.2.1.スピードを上げる効率化ポイント
- 7.3.理由③|情報が分断されやすい
- 8.採用業務の効率化を進めるための現実的なアプローチ
- 8.1.アプローチ①|採用プロセスを可視化する
- 8.2.アプローチ②|判断基準・評価を整理する
- 8.3.アプローチ③|改善が回る仕組みをつくる
- 8.3.1.記録しておきたい主なデータ
- 8.3.2.振り返りの進め方
- 9.採用効率化の実行手段としての採用管理システム
- 10.人事効率化は「部分最適」ではなく「構造改善」
- 10.1.業務を減らすのではなく、回る形にする
- 10.2.小さく始めて、成果指標で改善サイクルを回す
- 11.まとめ
【診断】人事業務を効率化するなら最初に改善すべき領域は?
人事業務の効率化を進める前に、まずは自社の状況を整理しましょう。
人事業務は、工数・ミス許容度・関係者の多さによって、優先的に改善すべき領域が異なります。この診断では、現在の業務状況から、最初に取り組むべき人事業務の領域を整理します。
以下の4つの設問に答えることで、改善の優先順位が見えてきます(所要時間2〜3分)。


診断結果の活用方法
「最初にやること」は、診断結果で優先度が高かった領域の業務を整理することです。その領域の業務内容や流れを整理することで、次の効率化につなげやすくなります。
「次にやること」は、業務整理ができた後に、必要に応じて検討するステップです。
【複数の領域が該当した場合】
複数の領域に課題がある場合は、次の基準で優先順位をつけるとよいでしょう。
- 工数×頻度が大きい領域:時間が最もかかっている業務
- ミス許容度が低い領域:ミスが致命的になりやすい業務
- 関係者が多い領域:まずは進捗や役割の可視化から着手
この診断結果を念頭に置きながら、以下で人事業務の効率化が進まない理由を整理します。
人事業務の効率化が進まない理由
診断で課題が見えてきたら、次に押さえておきたいのが、人事業務の効率化が進まない構造的な理由です。
背景を理解しておくことで、改善の優先順位を誤りにくくなります。
理由①|業務範囲が広く、属人化しやすい
人事業務は、採用・労務・給与・評価など幅広い領域を扱うため、特定の担当者に業務が集中しやすく、効率化が進みにくい傾向があります。
その結果、引き継ぎが難しく、担当者不在時に業務が滞るといった非効率が生まれやすくなります。
理由②|定型業務が多く、改善の優先順位が見えにくい
入社手続きや勤怠確認、給与計算など、人事業務には繰り返し発生する定型業務が多く存在します。
日々の対応に追われることで見直しが後回しになり、人事業務の効率化をどこから進めるべきか分からなくなるケースが少なくありません。
理由③|ミス・法対応・個人情報管理のプレッシャーが大きい
人事業務は、給与計算や社会保険手続きなど、ミスが許されない業務が多く、効率化の判断が難しい領域です。
法改正への対応や個人情報管理の負担も重なり、改善に手を付けづらくなりがちです。
人事効率化は「ツール導入」ではなく「進め方」が9割
人事業務の効率化では、「ツールを入れれば解決する」と考えがちですが、業務を整理しないまま導入しても効果は出にくいのが実情です。重要なのは、ツールを使う前に進め方を整えることです。
ここでは、人事効率化を進める基本的な流れを、4つのステップで解説します。
Step1|業務を棚卸しする
まずは、現在行っている人事業務を洗い出し、全体像を把握します。業務ごとに「誰が」「どのくらいの頻度で」「どの程度の工数がかかっているか」を整理します。
棚卸し後は、次の視点で優先順位をつけます。
工数×頻度が大きい業務:自動化・システム化の候補
ミス許容度が低い業務:手順やチェックによる標準化を優先
関係者が多い業務:進捗や役割の可視化を優先
個人情報・法対応が絡む業務:権限や運用ルールを先に整備
Step2|標準化・ルール化する
棚卸しした業務は、誰でも同じように対応できる形に整えます。手順や判断基準を明確にすることで、属人化を防ぎ、ミスや引き継ぎの負担を減らせます。
この段階では、ツール導入は必須ではありません。

Step3|ペーパーレス・オンライン化する
標準化できた業務から、紙や手作業を減らし、オンラインで完結する形に移行します。
入社手続き、勤怠申請、評価シートの回収などは、ペーパーレス化しやすい代表例です。
Step4|必要な部分だけツール・外注を使う
業務整理と標準化ができた後に、必要な部分だけツールや外注を検討します。
定型業務:自動化ツール
専門性が高い業務:外部の専門家
情報が分断されている業務:システム化
すべてをツールで解決しようとせず、効果が出る部分に絞って導入することがポイントです。
【領域別】人事業務で効率化できる主なポイント
人事業務は領域ごとに特性が異なるため、効率化の進め方も変わります。
ここでは、主要な4つの領域について、効率化のポイントと成果指標を整理します。
採用業務の効率化
採用業務は、関係者が多く、調整業務が発生しやすい領域です。
ポイント①|応募者情報の一元管理
- 複数の求人媒体を使っている場合、応募者情報がバラバラに管理されがち
- 情報を一箇所に集約することで、対応漏れや二重対応を防ぐ
- スプレッドシートでも可。まずは「見る場所を1つにする」ことが重要
ポイント②|面接日程調整の標準化・自動化
- 面接日程の調整は、応募者と面接官の予定を何度もやり取りする手間がかかる
- 候補日提示→選択→確定の流れを設計する
- 日程調整ツールを使えば、往復メールが大幅に減る
ポイント③|選考進捗の可視化
- 「この応募者は今どの段階か」「誰が対応すべきか」が一目で分かる状態にする
- 担当者間の連携がスムーズになり、対応漏れを防ぐ
見るべき成果指標(採用)
- 応募→初回接触までの時間(目安:24時間以内)
- 日程調整にかかる往復回数(目安:2往復以内)
- 書類通過率、面接設定率、内定承諾率(各ステップの歩留まり改善)
採用業務の効率化では、個別の施策よりも「応募から採用までの業務フロー全体」を整理することが重要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【関連記事】採用業務を効率化させる5つの方法をわかりやすく解説!優先順位の付け方や事例も紹介
労務・入社手続きの効率化
労務業務は、法律に関わる手続きが多く、正確性が求められる領域です。
ポイント①|入社手続きのオンライン化
- 紙の書類を配布・回収する代わりに、オンラインフォームで情報を収集
- データ入力の手間が省け、記入漏れもチェックしやすくなる
- まずは「提出物リスト」と「提出期限」を可視化することから
ポイント②|社会保険手続きの電子申請
- e-Govなどの電子申請システムを使うことで、役所への書類提出が不要に
- 手続きの履歴も残るため、対応漏れを防ぎやすい
ポイント③|契約書・規程のデジタル管理
- 労働契約書や就業規則などをクラウド上で管理
- 改定履歴の追跡や、必要な時の検索がスムーズになる
見るべき成果指標(労務)
- 入社手続きの回収漏れ率(目安:0%)
- 社会保険手続きの期限遵守率(目安:100%)
- 問い合わせ対応件数(手続きの分かりやすさ改善で削減)
【関連記事】 労務管理システムとは?機能やメリット、選び方を解説
勤怠・給与関連業務の効率化
勤怠管理と給与計算は、毎月発生する定型業務であり、ミスが許されない領域です。
ポイント①|勤怠データの自動集計
- タイムカードや紙の勤怠表を使っている場合、集計に時間がかかる
- 勤怠管理システムを導入すれば、データが自動で集計される
- 給与計算システムと連携できるケースも多い
ポイント②|給与計算の自動化
- 給与計算ソフトを使うことで、計算ミスを防ぎ、明細書の作成も自動化
- 年末調整などの複雑な計算も、システムがサポート
ポイント③|勤怠異常の自動検知
- 残業時間の超過や、打刻漏れなどを自動で検知する機能
- 担当者が目視でチェックする手間が減る
見るべき成果指標(勤怠・給与)
- 勤怠修正の発生件数(目安:月次で前月比削減)
- 給与計算のやり直し回数(目安:0回)
- 締め日から給与確定までの日数(目安:5営業日以内)
【関連記事】 勤怠管理システムとは?機能やメリット、選び方を解説
評価・人材管理の効率化
評価業務は、評価シートの配布・回収・集計に時間がかかりやすい領域です。
ポイント①|評価シートのオンライン化
- 紙やExcelで評価シートをやり取りする代わりに、オンライン上で入力・回収
- 集計が楽になり、評価結果の分析もしやすくなる
ポイント②|評価基準の明文化
- 評価基準が曖昧だと、評価者ごとにバラつきが出やすい
- 基準を明確にすることで、評価の質が上がり、業務全体の効率も改善
ポイント③|人材データの一元管理
- 評価結果、スキル情報、配置履歴などを一箇所で管理
- 人材配置や育成計画を立てやすくなる
見るべき成果指標(評価)
- 評価シート回収の遅延率(目安:期限内回収率90%以上)
- 評価面談の実施率(目安:100%)
- 評価データの活用率(配置・育成への反映状況)
【関連記事】タレントマネジメントシステムとは?機能や導入効果、種類別の費用
人事効率化でよくある失敗パターン
人事業務の効率化に取り組んだものの、「思ったほど楽にならない」「かえって工数が増えた」というケースも少なくありません。
ここでは、人事効率化で特によく見られる失敗パターンをタイプ別に整理します。
① ツール導入を急ぎすぎるケース
Excel運用を残したままツール導入→二重入力で余計に忙しくなる
既存のExcel運用を残したままツールを導入すると、二重入力が発生し、かえって忙しくなります。
【防ぐ方法】
どの業務をシステムに寄せるかを事前に決める
移行期間後は旧方式を停止する
「念のため」でExcelを残さない
ツール導入前に要件定義せず→現場に合わず使われない
業務整理をせずにツールを選ぶと、現場で使われず形骸化しやすくなります。
【防ぐ方法】
事前に業務フローと必要機能を整理する
複数ツールを比較し、デモで使い勝手を確認する
高機能より「自社業務に合うか」を優先する
② 運用・定着がうまくいかないケース
面接官が評価入力しない→人事が後追いして結局工数増
ツールを導入しても、現場が使わなければ工数は減りません。
【防ぐ方法】
面接官への事前説明と簡単な操作研修を行う
入力期限を明確にし、リマインドを設計する
入力しないと次に進めないフローにする
例外処理を放置し、属人運用が残る
例外対応を放置すると、結局ベテランしか回せない状態が続きます。
【防ぐ方法】
ツール選定時に例外対応の範囲を確認する
例外が多い業務はルール自体を見直す
システム化できない部分はマニュアル化する
③ 改善の視点がズレているケース
連絡の自動化だけでKPIを見ない
自動化が目的化すると、歩留まり改善につながりません。
【防ぐ方法】
応募〜面接設定などのKPIを定期的に確認する
文面や返信タイミングをテストし、改善する
自動化は「改善のスタート」と捉える
一部署だけ効率化して、全体が楽にならない
人事業務は連携しているため、部分最適では効果が出にくくなります。
【防ぐ方法】
業務全体を俯瞰して改善箇所を決める
優先順位をつけて段階的に進める
データが連携する順に効率化する
効率化=削減になり、現場の反発が起きる
効率化の目的が共有されないと、現場の協力が得られません。
【防ぐ方法】
効率化の目的を「本来やるべき仕事に集中するため」と明確にする
浮いた時間の使い道を具体的に示す
成果を共有し、「楽になった」実感を持ってもらう
人事業務の効率化を支えるツールの考え方と選び方
ここまで、「ツールを入れること」自体が目的ではなく、まず業務を整理し、進め方を整えることが重要であると説明してきました。
その上で、人事業務の効率化をさらに進める手段として、ツールをどう位置づけ、どう選ぶべきかを整理します。
人事効率化に使われる主なツールカテゴリ5選
人事業務の効率化に使われるツールは、解決したい業務課題ごとに、以下のようなカテゴリに分けられます。
ツール①|採用管理システム(ATS)
応募者情報の管理、選考進捗の可視化、面接日程調整などを一元管理するツールです。
複数の求人媒体を利用している場合でも、応募から採用までの流れを一本化でき、採用業務全体の効率化につながります。
【関連記事】採用管理システム(ATS)とは?
ツール②|労務管理システム
入社手続き、社会保険手続き、契約書管理などをオンラインで完結できるツールです。
電子申請に対応しているものも多く、法対応や書類管理の負担を軽減できます。
ツール③|勤怠管理システム
勤怠データの打刻・集計・承認をオンラインで行なうツールです。
給与計算システムと連携できるケースも多く、毎月発生する定型業務の工数削減に効果的です。
ツール④|給与計算ソフト
給与計算、明細書作成、年末調整などを自動化するツールです。
法改正に対応したアップデートが提供されるため、計算ミスや法対応リスクを抑えながら運用できます。
ツール⑤|人事評価システム
評価シートの配布・回収・集計をオンラインで行なうツールです。
評価データを蓄積することで、人材育成や配置など、評価結果を次の施策に活かしやすくなります。
ツール選定で見るべき共通ポイント
ツールは導入して終わりではなく、業務に定着して初めて効果が出ます。
そのため、選定時には次のポイントを確認することが重要です。
選定ポイント①|自社の業務に合っているか
ツールごとに得意領域や対応規模は異なります。
導入前に要件定義を行ない、「どの業務をどう改善したいのか」を明確にした上で選びましょう。
選定ポイント②|使いやすさ
高機能でも、操作が複雑で現場が使えなければ意味がありません。
実際に使う担当者の目線で、操作性や入力負荷を確認することが大切です。
選定ポイント③|既存システムとの連携
既存システムとデータ連携できれば、二重入力を防げます。
特に、勤怠と給与、採用と労務など、データが引き継がれる領域は連携性を重視しましょう。
選定ポイント④|サポート体制
導入時の設定支援や、運用開始後の問い合わせ対応も重要な判断材料です。
初めてツールを導入する場合は、サポートの手厚さが定着率を左右します。
選定ポイント⑤|費用対効果
初期費用・月額費用と、削減できる工数を比較し、費用対効果を見極めます。
「高機能で高額」よりも、必要十分で使い続けられるツールを選ぶことが長く使い続けるポイントです。
なぜ採用業務の効率化は投資対効果が出やすいのか
人事業務の中でも、採用業務の効率化は特に投資対効果が出やすいと言われます。
その理由を、採用業務の構造的な特徴から整理します。
理由①|関係者が多く、調整コストが高い
採用業務には、人事担当者だけでなく、現場の面接官、役員、外部の求人媒体、応募者など、多くの関係者が関わります。
面接の日程調整ひとつとっても、複数の関係者のスケジュールを確認し、調整する必要があります。関係者が増えるほど、調整にかかる時間とコストが大きくなるでしょう。
また、選考基準や評価方法について、関係者間で認識を合わせることも簡単ではありません。「どんな人材を採用すべきか」という基準が曖昧だと、選考がスムーズに進まず、結果的に採用業務全体の効率が下がります。
理由②|スピードが成果に直結する
採用業務は、対応スピードが成果に直結する領域です。応募者への初回連絡が遅れると、他社に流れてしまうリスクが高まります。
特に人気の高い職種や、売り手市場の採用では、「応募から初回接触まで24時間以内」が目安とされることもあります。スピーディーな対応ができるかどうかが、採用成功率を左右します。
スピードを上げる効率化ポイント
- 応募者への自動返信(まず接触する)
- 日程調整の自動化(往復メールを減らす)
- 選考ステータスの可視化(次のアクションを明確に)
理由③|情報が分断されやすい
採用業務では、複数の求人媒体、メール、Excel、紙の履歴書など、様々な形で情報が管理されているケースが多いものです。
情報が分断されていると、「この応募者の選考状況はどうなっているか」を確認するために、複数の場所を確認しなければなりません。対応漏れや二重対応のリスクも高まります。
また、採用活動の振り返りをしようとしても、データがバラバラに存在していては、分析が困難です。
「どの媒体からの応募が採用につながったか」「選考のどの段階で辞退が多いか」といった分析ができず、改善策を立てにくい状況が続くでしょう。
つまり、採用業務は「関係者が多く」「スピードが重要で」「情報が分断されやすい」という3つの構造的な特徴があるため、効率化の効果が見えやすい領域なのです。
採用業務の効率化を進めるための現実的なアプローチ
採用業務の効率化を進める際は、ツールを導入する前に、採用プロセスそのものを整理することから始めるのが現実的です。
ここでは、採用業務を無理なく改善していくための基本的なアプローチを紹介します。
アプローチ①|採用プロセスを可視化する
まず必要なのは、現在の採用プロセスを可視化することです。
応募から内定までの流れを洗い出し、各ステップで何が起きているかを整理します。
たとえば、次のような項目を整理すると、改善点が見えやすくなります。
- 各選考ステップの内容(書類選考、一次面接、二次面接など)
- 各ステップの担当者(誰が対応するか)
- 各ステップの所要時間
- 次のステップへの移行条件
- 各ステップ間のリードタイム(応募→結果連絡など)
プロセスを可視化することで、「この作業は本当に必要か」「もっと簡略化できないか」といった見直しが可能になります。
【関連記事】採用プロセスとは?一般的なステップと改善方法、よくある課題
アプローチ②|判断基準・評価を整理する
採用業務が属人化する大きな要因のひとつが、判断基準の曖昧さです。
採用要件や評価基準が明確でないと、面接官ごとに判断がばらつき、選考に時間がかかります。
以下のような取り組みで、判断基準を整理できます。
- 採用要件を明文化する(必須スキル、歓迎スキル、求める人物像など)
- 評価項目を設定する(何を評価するか)
- 評価基準を共有する(どのレベルなら合格か)
- 面接質問を標準化する(聞くべきことを揃える)
判断基準が明確になることで、選考スピードと採用の質の両方が向上します。
【関連記事】面接評価シートとは?作り方・評価項目・テンプレートを解説
アプローチ③|改善が回る仕組みをつくる
採用業務は、一度効率化したら終わりではありません。
応募状況や市場環境の変化に応じて、継続的に改善できる仕組みを作ることが重要です。
そのためには、採用活動のデータを記録し、定期的に振り返るサイクルを設けます。
記録しておきたい主なデータ
- 応募数(媒体別・職種別)
- 書類通過率、面接設定率、面接実施率
- 内定承諾率、入社率
- 各ステップ間のリードタイム
振り返りの進め方
- 月次や四半期ごとに振り返りの場を設ける
- うまくいった点・改善すべき点を整理する
- 次に活かすアクションを決める
こうした改善サイクルを回すことで、採用プロセス自体が継続的にブラッシュアップされ、効率化が定着していきます。
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採用効率化の実行手段としての採用管理システム
採用プロセスを整理し、判断基準を明確にした上で、採用業務の効率化を進める実行手段として、ツールの活用を検討する段階に入ります。
採用業務を全体的に効率化したい場合、採用管理システム(ATS)の導入が選択肢のひとつになります。
ただし、採用管理システムはすべての企業に必須というわけではありません。次のような特徴がある企業では、導入効果が出やすい傾向があります。
採用管理システムの導入効果が出やすい企業の特徴
複数の求人媒体を利用しており、応募者情報の管理が煩雑になっている
採用担当者が複数名おり、情報共有や連携に課題がある
採用人数が多く、日程調整や応募者対応に時間がかかっている
採用データを蓄積し、継続的に改善していきたい
採用DXの推進に活用できるシステムは多種多様です。そのため、システムを選ぶ際は、自社の業務フローや運用体制に合ったものを選ぶことが重要です。
たとえば、採用管理を一元化し、応募対応や日程調整などの工数を下げたい場合には、ゼクウが提供する採用管理システム「RPM」も一例として検討対象になります。
特に、複数媒体運用や通年・大量採用など、採用オペレーションの負荷が大きい企業では、導入効果が出やすいでしょう。
【採用管理システムについてさらに詳しく知りたい方への関連記事】
人事効率化は「部分最適」ではなく「構造改善」
ここまで、人事業務の効率化について、進め方や具体策を解説してきました。
最後に、効率化を進める上で押さえておきたい考え方を2つ整理します。
業務を減らすのではなく、回る形にする
人事効率化というと、「業務を減らすこと」と捉えられがちですが、本来の目的は業務が回る形をつくることです。
単に業務を削減すると、必要な対応が漏れたり、質が下がったりするリスクがあります。
そうではなく、業務の進め方を見直し、無駄を省きながら、必要な業務が安定して回る仕組みを整えることが重要です。
たとえば、面接日程調整の自動化は、業務を減らすことが目的ではありません。
調整にかかる時間を減らし、その分を応募者とのコミュニケーションや、採用戦略の見直しといった価値の高い業務に振り向けるための施策です。
小さく始めて、成果指標で改善サイクルを回す
人事効率化は、一度に完璧を目指す必要はありません。
まずは小さく始め、効果を確認しながら段階的に広げていく方が現実的です。
小さく始めることでリスクを抑えつつ、自社に合った効率化の方法を見つけやすくなります。
また、現場の負担を考慮しながら進められるため、抵抗も起きにくくなります。
こうした改善を継続することで、人事業務全体が少しずつ楽になり、結果として組織全体の生産性向上につながっていきます。
【関連記事】採用DXとは?意味・メリットから失敗しない進め方まで徹底解説
まとめ
人事業務の効率化は、「ツールを導入すれば解決する」という単純なものではありません。
まず業務を棚卸しし、標準化・ペーパーレス化を進めたうえで、必要な部分にだけツールや外注を活用することが、効果的な進め方です。
また、効率化は一度取り組んで終わりではなく、継続的に見直していくものです。
領域ごとに成果指標を設定し、定期的に振り返ることで、人事業務は少しずつ楽になり、結果として組織全体の生産性向上につながります。
人事効率化の本質は、業務を減らすことではなく、業務が無理なく回る状態をつくることです。
小さく始めて改善を積み重ねながら、自社に合った人事業務の効率化を進めていきましょう。







