
勤怠管理システムとは?機能やメリット・デメリット、選び方と事例を解説
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤や労働時間を正確に記録・集計し、勤怠管理の手作業を減らすシステムです。
紙やExcelによる勤怠管理では打刻漏れや入力ミスが起きやすく、残業時間を把握しきれないまま法令違反につながるおそれがあります。
厚生労働省は、過重労働による健康障害の防止に向けて時間外・休日労働時間の削減が重要だとしています。手作業の手間と法令違反のリスクをともに減らす手段として、勤怠管理システムは有力な選択肢です。
本記事では採用管理システム「RPM」を展開する株式会社ゼクウが、勤怠管理システムの特徴や導入で解決できる課題を解説し、代表的なツールも紹介します。
目次[非表示]
勤怠管理システムとは

勤怠管理システムは、打刻から労働時間・残業時間の集計までを自動で行い、集計したデータを給与計算や労務管理に引き渡します。勤務状況をリアルタイムで把握できるため、残業が上限に近づいた段階で手を打てます。
勤怠管理に関する課題
紙やExcelによる勤怠管理では、次のような課題が起きがちです。
- 紙のタイムカードでの打刻漏れや、Excel集計での誤入力
- 担当者のチェック・修正作業の頻発による残業時間の増加
- テレワークやシフト勤務で勤務実態が見えにくくなることによる、過重労働や法令違反のリスクの増加
こうした課題は一時的な工夫では解決しにくく、従業員や拠点が増えるほど担当者の負担も大きくなります。
厚生労働省は「過重労働による健康障害を防ぐために」で、時間外・休日労働時間の削減に加えて、年次有給休暇の取得促進も重要だとしています。
※出典:厚生労働省「過重労働による健康障害を防ぐために」
勤怠管理システムの導入目的と必要性
勤怠管理システムを導入する主な目的は、正確で効率的な勤怠管理を実現し、労務リスクを未然に防ぐことです。
残業時間や有給休暇の取得状況を自動で可視化できるため、法令で定められた基準を守れているかを確かめやすくなります。
たとえば36協定で定めた時間外労働の上限や、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に年5日を取得させる義務です。
給与計算システムと連携すれば担当者の集計作業が減り、月末に集中しがちな残業も抑えられるでしょう。勤怠管理システムと労務管理システムの違いは、次の記事で解説しています。
勤怠管理システムの主な機能
勤怠管理システムの主な機能は、次の6つです。
- 打刻・出退勤管理機能
- 休暇・申請ワークフロー機能
- 労働時間・残業自動集計機能
- 労務アラート機能
- レポート・帳票出力機能
- 他システムとの連携機能
打刻・出退勤管理機能
勤怠管理システムでは、ICカード・スマートフォン・PC・顔認証などで打刻でき、テレワークや外出先からも出退勤を記録できます。顔認証や指紋認証のように本人を確かめる打刻方法なら、不正打刻の防止にも有効です。
休暇・申請ワークフロー機能
勤怠管理システムのワークフロー機能では、有給休暇や残業、早退などの申請・承認をオンラインで完結できます。従業員と管理者双方の手間が減り、申請の経緯も記録として残るでしょう。
労働時間・残業自動集計機能
勤怠管理システムはシフト勤務や夜勤も含めて、休憩時間を差し引いた勤務時間を自動で集計し、残業時間や割増賃金の対象となる時間を算出します。
人事担当者の手作業が減り、従業員も自分の労働時間を画面で確かめられるのが利点です。
労務アラート機能
勤怠管理システムは、36協定の上限に近づいた従業員や長時間労働を検知し、担当者や管理職に通知します。上限を超える前に業務量を調整できるため、法令違反や過重労働の予防に役立つでしょう。
レポート・帳票出力機能
勤怠管理システムのレポート機能では、勤怠データを集計し、出勤簿などの帳票や経営層向けのレポートを出力できます。監査などで出勤簿の提出を求められた場合の準備も、短時間で済むでしょう。
他システムとの連携機能
給与計算ソフトや会計・人事システムと勤怠データを連携すると、同じデータを2つのシステムに入力する手間を減らせます。勤怠データをそのまま給与計算に使えるため、転記のミスも起きにくくなるでしょう。
API連携の仕組みや、CSV・Webhookなど他の連携方式との違いは、次の記事で解説しています。
システム連携で事務を減らす考え方は、採用業務にも広げられます。勤怠管理とあわせて採用管理を見直すなら、採用管理システム「RPM」も選択肢の1つです。
約400の求人媒体と連携して応募情報を一元管理し、応募受付から面接予約までを自動化できます。選考段階ごとの歩留まりや媒体別の成果も分析でき、採用活動の改善点を数値で把握しやすいのが特長です。
採用管理システムの機能や料金、選び方は、次の記事で解説しています。
勤怠管理システムの導入効果・メリット

勤怠管理システムを導入するメリットは、工数削減のように数値で測れるものだけではありません。主なメリットは、次の3つです。
業務効率化と人的ミス削減
勤怠管理システムを導入すると、出退勤の手入力や転記作業が不要になり、勤怠集計にかかる時間を短縮できます。後述の導入事例のように、勤怠管理の業務工数を約5割削減した企業もあります。
打刻漏れや二重入力、計算ミスといった人的エラーが減るため、締め処理の前後に発生していた確認や修正の作業も少なくなるでしょう。
法令遵守と労務リスクの軽減
勤怠管理システムを使えば、時間外労働の上限や年5日の年次有給休暇の取得義務を守れているかを日々確かめられます。
いずれも、2019年4月から順次施行された働き方改革関連法による改正労働基準法で定められた規制です。
始業・終業時刻などの労働時間の記録は、労働基準法で保存が義務づけられています。システムに記録を残しておけば必要なときにすぐ取り出せるので、コンプライアンスの強化にも有効です。
従業員の利便性向上と不正防止
勤怠管理システムでは、従業員がスマートフォンやPCから打刻・申請できます。出社しなくても手続きが済むうえ、本人確認や位置情報の記録によって不正の防止にもつながるのが利点です。
たとえば、ICカードや顔認証で本人を確認すれば、他人が代わりに打刻する「なりすまし打刻」を防ぎやすくなります。位置情報付きの打刻を使えば、テレワークや直行直帰でも、打刻した場所の確認が可能です。
勤怠管理システム導入の注意点・デメリット
勤怠管理システムには多くのメリットがある一方で、導入前に確認しておきたい点が2つあります。利用料などの費用と、効果の一部を数値で示しにくいことです。
導入にコストがかかる
有料プランの利用料は1ユーザーあたり月額数百円程度の製品が多く、従業員数が多いほどランニングコストは膨らみます。加えて、初期設定や既存システムとの連携、従業員への周知・教育にも時間と工数が必要です。
短期的には「コスト負担が増えた」と感じるケースもあるため、予算の確保と社内の合意形成を進めておきましょう。
費用対効果が見えにくい
導入効果のうち、法令違反の予防や従業員の満足度のように数値で示しにくいものもあります。集計時間の短縮も、導入前の状態が分からなければ比べられません。
そのため、経営層に投資の妥当性を説明しにくい場合があります。導入後の効果を比べられるよう、導入前に現在の集計時間や残業時間を記録しておきましょう。
勤怠管理システムの比較ポイント
勤怠管理システムには多くのサービスがあり、機能や価格帯もさまざまです。比較検討の際に確認したいポイントは、次の3つです。
- 打刻方法が適しているか
- 必要機能が揃っているか
- 費用対効果が得られるか
打刻方法が適しているか
勤怠管理システムによって、使える打刻方法は異なります。主な方法は、ICカード・生体認証(指紋・静脈など)・PC・スマートフォンアプリ(GPS付きを含む)です。
勤務形態に合わない方法を選ぶと、現場に定着しにくくなります。
テレワークや外出が多い会社ではスマートフォンからの打刻が使いやすく、工場や店舗のように決まった場所で働く職場ではICカードや生体認証が向いています。自社の働き方に合う打刻方法を見極めましょう。
必要機能が揃っているか
勤怠管理システムには、シフト作成、休暇申請ワークフロー、残業時間の自動集計、労務アラート、帳票出力など多様な機能があります。
ただし、すべての機能が必要とは限らず、自社の課題に直結する機能が揃っているかが比較の軸になります。
たとえば残業時間の把握に困っているなら、36協定の上限に近づいたときのアラート機能を重視しましょう。
費用対効果が得られるか
料金の安さだけでなく、削減できる工数や残業時間、法令違反のリスク低減といった効果も比較の材料になります。
導入前に「担当者の残業が月に何時間減るか」「給与計算の締めが何日早まるか」を見積もっておくと、候補を比べやすくなります。
人気の勤怠管理システム5選
国内の主要な勤怠管理システムを5つ紹介します。
KING OF TIME
KING OF TIMEは、導入企業数75,000社(2026年7月1日時点)のクラウド勤怠管理システムです。
- ICカード・生体認証・スマートフォン・PCなど多彩な打刻に対応
- 各種給与計算ソフトと連携可能
- 初期費用0円で無償サポートあり、有償のプレミアムサポートも用意
料金は1ユーザーあたり月額300円で、勤怠管理のほか人事労務・給与計算・データ分析などの機能も追加料金なしで使えます。1名から利用できます。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は、シリーズ累計の導入実績が30万社以上(2026年9月時点)の「ジョブカン」シリーズに含まれるクラウド勤怠管理システムです。
- ICカード・指静脈・GPS・LINE/Slackなど多様な打刻方法に対応
- 無料プランがあり、有料プランは1ユーザーあたり月額200〜500円(税抜)
- シフト管理・休暇管理・36協定アラート通知などの機能を搭載
出勤管理、シフト管理、休暇・申請管理、工数管理の4機能から、必要な機能だけを選んで組み合わせられ、使う機能の数に応じて料金が決まります。
ジンジャー勤怠
ジンジャー勤怠は、jinjer株式会社が提供する統合型人事システム「ジンジャー」シリーズの勤怠管理システムです。
- PC・スマートフォン・タブレット・ICカードなど多様な打刻方法に対応
- 打刻データや申請・承認の情報から労働時間・残業時間を自動集計
- フレックスタイム制や変形労働時間制、裁量労働制など多様な勤務形態に対応
ジンジャー給与と組み合わせると、集計した勤怠データをワンクリックで給与計算に連携できます。
マネーフォワードクラウド勤怠
マネーフォワードクラウド勤怠は、中小企業向けに提供されているクラウド勤怠管理システムです。
- ICカード・スマートフォン・PCでの打刻に対応し、GPSで不正打刻を防止
- 未打刻・未承認を自動アラートで検知し、承認者に通知
- 確定した勤怠データを1クリックで給与計算ソフトへ連携
月の時間外労働を集計して色別のアラートで示すため、時間外労働の上限を把握しやすくなっています。
freee勤怠管理Plus
freee勤怠管理Plusは、freeeシリーズの勤怠管理システムです。
- PC・スマートフォン・ICカード・生体認証(指紋・静脈)など多様な打刻に対応
- 専任担当が既存業務の見直しから導入までを支援
- 別製品のfreee人事労務とAPIで連携し、給与計算まで効率化
初期費用はかからず、1ユーザーあたり月額300円で勤怠管理のみを導入できます。
勤怠管理システムの導入事例
勤怠管理システムを導入し、工数の削減や有給休暇の取得率の向上といった成果が得られた企業の事例を紹介します。
勤怠管理にかかる工数を約5割削減
鉄筋工事を主力とする株式会社なかてつは、現場作業員への電話確認と紙のタイムカード、Excelへの手入力で勤怠を管理していました。手作業での集計・入力にかかる時間と、入力ミスや確認漏れのリスクが課題でした。
そこでクラウド型勤怠管理システム「KING OF TIME」を導入しました。
スマートフォンから打刻すると位置情報も自動で送信され、本社側ですぐに確認・集計できるようになった結果、勤怠管理にかかる業務工数を約5割削減しています。
※出典:ソフトバンク「株式会社なかてつの導入事例」
忙しい部署の残業時間が半減、有給取得率も向上
福井県鯖江市でプラスチック眼鏡枠を製造する株式会社佐々木セルロイド工業所は、タイムカードの目視確認と紙の休暇申請で勤怠管理をしていました。
勤怠管理システム「ジョブカン勤怠管理」を導入すると、忙しい部署で月20時間程度あった残業が月10時間程度になり、残業する人も半分に減りました。
担当者は、残業が減った要因として、残業時間が見えるようになったことによる意識の変化が大きいのかもしれないと話しています。
有給休暇については、従業員が自分で残日数を確かめ、タブレットから申請できるようになりました。導入前に70%台だった有給取得率は、80%前後まで上がっています。
労務担当者も、月末月初の繁忙期以外はPCを持ち帰って、自宅からデータを修正できるようになってきています。
※出典:ジョブカン勤怠管理「株式会社佐々木セルロイド工業所の導入事例」
バックオフィスのシステム統合で業務時間を年間約4,440時間削減
株式会社ベルーナでは、グループ会社が増えるたびにシステムを継ぎ足した結果、バックオフィスだけで8つのシステムが並立していました。
勤怠管理でも2つのシステムとタイムカードの打刻機を併用しており、紙の申請書も多く残っていました。
勤怠管理を含むこれらのシステムを「ジンジャー」に統一したことで、勤怠集計から給与計算までに3営業日ほどかかっていた作業が、約1営業日で終わるようになったといいます。
毎月2営業日程度かけていた入退社手続きも約半日に短縮され、ペーパーレス化などの効果も合算すると、業務時間を年間約4,440時間削減しています。
※出典:ジンジャー「株式会社ベルーナの導入事例」
勤怠管理システムに関するよくある質問
勤怠管理システムとタイムカードの違いは何ですか?
タイムカードで記録できるのは、出退勤の時刻にとどまります。勤怠管理システムは、労働時間の自動集計や休暇申請の承認に加え、残業時間の上限管理まで扱える点が大きな違いです。
勤怠管理システムで有名なのは?
代表例として紹介した製品は、「KING OF TIME」「ジョブカン勤怠管理」「ジンジャー勤怠」「マネーフォワードクラウド勤怠」「freee勤怠管理Plus」の5つです。
打刻方法や料金体系、他システムとの連携範囲は製品ごとに異なるため、自社の勤務形態に合うかどうかを比べましょう。
勤怠管理システムの導入は義務ですか?
勤怠管理システム自体の導入は義務ではありません。ただし、企業には従業員の労働時間を把握する義務があります。
厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻の確認方法として2つを原則にしています。使用者が自ら現認する方法と、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎とする方法です。
やむを得ず自己申告で把握する場合は、対象者への十分な説明や、必要に応じた実態調査などの措置が求められます。手作業でこうした確認を続けるのが難しい場合は、システムで記録と集計をそろえる方法があります。
※出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
まとめ
- 打刻・残業・休暇の管理を自動化し、労務担当者と従業員双方の負担を軽減
- 担当者の集計工数と、締め前後の確認・修正作業を削減
- 導入時はコストと効果のバランスを意識し、自社に合うサービスを選定
勤怠管理システムは出退勤の正確な記録を軸に、業務効率化と法令遵守、従業員の利便性向上を支えるツールです。
紙やExcelでは追いきれない打刻漏れの検知や残業時間の集計も自動化でき、労務リスクと担当者の負担をともに減らせます。導入には費用や運用の負担もかかるため、削減できる工数と照らし合わせて判断しましょう。
人事領域の業務効率化を採用まで広げたい場合は、採用管理システム「RPM」をご検討ください。複数の求人媒体からの応募を一元管理し、採用データの分析までを1つのシステムで進められます。






