catch-img

採用課題とは?原因の特定方法とフェーズ別の解決策をわかりやすく解説

採用がうまく進まないとき、その原因は「感覚」ではなく、採用プロセスのどこかで生じている“詰まり”にあります。
応募が集まらない、面接につながらない、内定承諾がもらえない。

これらは一見バラバラのようでいて、すべて採用ファネルのどこが弱いかを見れば必ず整理できます。

本記事では、採用課題の典型パターンから、原因の見極め方、募集・選考フェーズごとの改善策までを体系的に解説します。

属人化に頼らず、誰が担当しても成果を出せる再現性の高い採用をつくりたい方に向けた、実務ガイドです。

目次[非表示]

  1. 1.採用課題とは?定義と全体像
    1. 1.1.採用課題の定義
    2. 1.2.よくある採用課題一覧
    3. 1.3.採用プロセスのフレーム(IMP→応募→面接→内定→入社→定着)
  2. 2.なぜ今、採用はこれほど難しいのか?
    1. 2.1.圧倒的な「売り手市場」
    2. 2.2.採用チャネルの複雑化
    3. 2.3.「選ばれる」ハードルの上昇
  3. 3.募集フェーズにおける採用課題と解決策(=告知力・訴求力)
    1. 3.1.告知力:求人を見てもらう力(母集団形成の第一歩)
      1. 3.1.1.媒体選定(DB構造を理解し、ターゲットに届く媒体を選ぶ)
      2. 3.1.2.プラン選定(検索順位と露出度を最適化する)
      3. 3.1.3.スカウト/DM活用(返信率 × 通数で応募数を設計する)
    2. 3.2.訴求力:応募したくなる求人をつくる力(CVRを最大化する)
      1. 3.2.1.訴求力のKPI(CVR/応募率の見方と判断基準)
      2. 3.2.2.ペルソナ設計と要件定義(誰に刺さる求人にするか)
      3. 3.2.3.差別化設計(競合比較で“選ばれる理由”をつくる)
      4. 3.2.4.伝え方の設計(コンセプト・トーン・一貫性でCVRを上げる)
  4. 4.選考フェーズにおける採用課題と解決策(=選考力)
    1. 4.1.選考フェーズのKPI(面接設定率・面接実施率・内定率・承諾率)
    2. 4.2.面接前(=設定率を上げるフェーズ)
    3. 4.3.面接対応(=通過率を上げるフェーズ)
      1. 4.3.1.魅力付け(志望度を上げる)
      2. 4.3.2.見極め(反応で判断する)
    4. 4.4.面接後(=承諾率を上げるフェーズ)
  5. 5.採用課題の特定方法:ファネル分析で、どこが詰まっているかを見極める
    1. 5.1.課題は何か?(What) ―応募数の問題か、応募以降の問題かを切り分ける
      1. 5.1.1.応募数の不足(募集フェーズの問題)
      2. 5.1.2.応募以降の歩留まり悪化(選考フェーズの問題)
    2. 5.2.どの段階で歩留まりが落ちているか?(Where)
      1. 5.2.1.応募数が課題の場合(募集フェーズ)
      2. 5.2.2.応募以降が課題の場合(選考フェーズ)
    3. 5.3.原因は何か?(Why)
      1. 5.3.1. IMPが低い(表示されていない)
      2. 5.3.2. CTRが低い(クリックされない)
      3. 5.3.3. CVRが低い(応募に至らない)
      4. 5.3.4.面接設定率が低い(応募 → 日程確定)
      5. 5.3.5.面接実施率が低い(設定 → 実施)
      6. 5.3.6.面接通過率が低い(魅力付け不足 or 見極めミス)
      7. 5.3.7.承諾率が低い(内定 → 入社)
  6. 6.採用課題を解決する手段:属人化からの脱却と採用DX
    1. 6.1.アナログ運用の限界が採用課題の根本になる理由
    2. 6.2.採用管理システム(ATS)が採用課題を解決する理由
      1. 6.2.1.応募対応のスピードが上がる
      2. 6.2.2.情報が一元化され、ミスと属人化が消える
      3. 6.2.3.選考プロセスの歩留まりが安定する
      4. 6.2.4.チャネル別の効果が数値で判断できる
    3. 6.3.スピードと歩留まりに強いATS「RPM」の特徴
      1. 6.3.1.400媒体以上を自動連携し、対応遅れをゼロにする
      2. 6.3.2.24時間365日、初動対応を完全自動化
      3. 6.3.3.業務に合わせて自在に出し分けられるシナリオ設計
      4. 6.3.4.RPMが向いている企業
  7. 7.まとめ:採用課題は「構造 × 仕組み」で必ず解決できる

採用課題とは?定義と全体像

採用がうまくいかない理由は、複雑に見えて 「どの段階で、どんなズレが起きているか」 を整理すると明確になります。

本章では、採用課題の正しい定義と、全体を捉えるための基本フレームをまとめます。

採用課題の定義

採用課題とは、採用プロセスにおける「期待値」と「成果」のギャップを指します。

  • 期待値:「この条件なら◯名採れるはず」という社内の想定値+「この職種・エリアなら平均応募は◯件」という市場相場。
  • 成果:実際の 応募数/面接設定率/内定率/承諾率/定着状況などの実績値。

期待値(社内+市場)に成果が届かないとき、企業は「採用がうまくいっていない」と感じます。

逆に言えば、どこでギャップが生まれているか特定できれば、課題は必ず言語化できます。

よくある採用課題一覧

採用でつまずくポイントは、実は限られたパターンに整理できます。

まずは、代表的な課題をフェーズ別に確認してみましょう。

【母集団形成の課題(そもそも応募が集まらない)】

  • 母集団が集まらない
  • 想定したターゲット層が来ない

【選考初期の課題(歩留まりの悪さ)】

  • 書類通過率が低い
  • 面接設定率が低い
  • ドタキャン・音信不通が多い

【選考中盤〜内定フェーズの課題】

  • 面接で辞退される
  • 内定辞退・他社に出し負ける

【入社後フェーズの課題】

  • 早期離職(ミスマッチ・リアリティショック)
  • 立ち上がりが遅い

【オペレーション面の課題】

  • 対応が属人化している
  • Excel/メール管理が限界

【細分化されたよくあるケース】

応募は来ているのに成果につながらない典型パターンです。

  • 応募はあるが有効率が低い
  • 有効応募があるのに面接につながらない
  • 前回より応募が減っている
  • 他社平均より少ない

採用プロセスのフレーム(IMP→応募→面接→内定→入社→定着)

採用課題を特定するには、まず「どの段階で求職者が離脱しているのか」を把握する必要があります。

採用は、表示(IMP)→ クリック(CTR)→ 応募(CVR)→ 面接 → 内定 → 入社 → 定着という、一連の流れで人数が絞られていくファネル構造で成り立っています。

このファネルを動かす要素は告知力・訴求力・選考力の3つです。

  • 告知力:求人が見られる力(IMP/CTR/開封率)
  • 訴求力:応募したくなる力(CVR、ターゲット応募比率)
  • 選考力:応募を採用・入社につなげる力(面接実施率・内定率・承諾率)

採用ファネルを構成する3つの力(告知力・訴求力・選考力)と各フェーズの改善ポイントを示した図採用成果は、この3つの掛け算で決まります。どれか1つが弱まれば、どんな企業でも成果は落ちます。

つまり採用課題とは、「どの力が弱まり、ファネルのどこで詰まっているのか」を見極める作業そのものです。

なぜ今、採用はこれほど難しいのか?

かつては、求人媒体に掲載すれば一定の応募が集まり、そこから選考するだけで採用が成立していました。

しかし現在は、同じ手法では成果が出にくくなっています。採用の前提そのものが大きく変わったためです。

背景にあるのは、次の3つの構造変化です。

圧倒的な「売り手市場」

最も大きな変化は、労働人口の減少に伴う人手不足です。

有効求人倍率は高い水準で推移し、「企業が選ぶ」構図から「応募者が選ぶ」構図へと完全に逆転しました。

この状況では、平均的な条件では母集団を確保しにくく、連絡が遅れた企業はすぐに他社へ候補者を奪われます。かつて通用した待ちの採用が機能しないのは、この市場構造の変化が理由です。

採用チャネルの複雑化

候補者が企業と接触するルートが増えたことも、採用を難しくしている要因です。

求人媒体だけでなく、検索エンジン、SNS、ダイレクトリクルーティング、リファラル、エージェントなどが同時に動く状況となり、企業は複数のチャネルを前提に採用戦略を考えなければならなくなりました。

媒体さえ出せば済む時代から、チャネルごとの特性を理解し、最適な組み合わせを設計する時代へ移行したことで、採用に求められる判断と運用の難易度は大きく上がりました。

「選ばれる」ハードルの上昇

もうひとつの変化は、応募者が企業を厳しく見極めるようになったことです。

条件だけでなく、働きがいや風土、選考時の応対を総合的に評価しながら企業を比較する傾向が強まりました。

連絡が遅い、説明が不十分、面接の印象がよくない。そうした些細な接点がそのまま志望度の低下につながり、「返信が遅かったため他社に決めた」といったケースも増えています。

募集フェーズにおける採用課題と解決策(=告知力・訴求力)

採用の最初のつまずきは、多くの場合、「求人が見られていない」「見られても応募されない」という段階で起きています。まずは、その状況を正しく把握するために次の4つのKPIを確認する必要があります。

  • IMP(インプレッション):求人が検索結果や一覧に表示された回数

  • CTR(クリック率):表示されたうち、求人が開かれた割合

  • 開封率:スカウトやDMが開封された割合

  • CVR(応募率):求人ページを見た人のうち応募に至った割合

これらは、募集フェーズを動かす2つの力を表しています。

  • 告知力(見てもらう力)= IMP/CTR/開封率

  • 訴求力(応募したくなる力)= CVR

どれか1つでも弱いと、母集団形成が一気に難しくなります。

まずは「IMP → CTR → CVRのどこで落ちているか」を把握することが、改善の出発点です。

告知力:求人を見てもらう力(母集団形成の第一歩)

告知力を構成する媒体選定・プラン選定・スカウト活用のポイントをまとめた図母集団形成の第一歩は「求人がきちんと見られているか」です。

告知力とは、求人をターゲットの目に届く状態へ最適化する力を指します。

媒体選定(DB構造を理解し、ターゲットに届く媒体を選ぶ)

求人の成果は「どの媒体に出すか」で大きく変わります。

媒体ごとに登録者の属性(DB構造)が異なるため、ここを外すと狙った層に届きません。

DB構造は、各媒体のマーケティング戦略によって形づくられています。

  • 大学回り・就活イベントに強い媒体:新卒層が厚い
  • 都市圏でのTVCM・交通広告が多い媒体:20代中心
  • 主婦向けキャンペーンを行う媒体:時短・扶養内層が多い

つまり、「メーカーがどこに投資しているか」が、そのまま媒体の属性に表れます。

媒体選定で見るべきポイントはこの3つだけです。

  1. DB構造(若手/経験者/地方/女性比率など)
  2. メーカー戦略(誰を獲得するための広告を打っているか)
  3. ターゲットとの適合性(狙いたい属性と一致しているか)

媒体は一見似ていますが、実際は集めている人の色が違います。

まずは ターゲットに合う媒体を選ぶことが告知力の土台になります。

プラン選定(検索順位と露出度を最適化する)

同じ求人でも、どのプランで掲載するかによって成果は大きく変わります。

理由は明確で、プランごとに検索順位・表示量・特典(スカウト通数など)が異なるためです。

上位プランほど、一覧で目立ち、CTR(クリック率)が上がりやすくなります。ただし、名称だけでは実際の掲載位置は判断できません。

次の手順で自社がどの位置に載るかを確認する必要があります。

  1. 媒体で自社の職種・勤務地を検索

  2. 1〜3ページ目に並ぶ求人のプランを確認

  3. 各プランの掲載位置(何位帯)を把握

そのうえで、判断基準はシンプルです。

  • 条件が強い職種 → 中位プランでも十分

  • 競合が多い職種・大量採用 → 上位プランで露出を確保

実務上は、上位プランがCTR底上げに直結し、母集団形成の再現性が高まります。

プラン選定とは、費用の比較ではなく「露出を設計する」行為です。

スカウト/DM活用(返信率 × 通数で応募数を設計する)

スカウトやDMは「送信数 × 返信率」で応募数を設計できる、数値再現性の高い施策です。

ただし近年は、スカウト乱発とダイレクト領域の競争激化により、求人媒体経由のスカウト平均返信率は0.7% → 0.5%以下まで低下しています。文面の工夫だけでは成果が出にくくなっている点に注意が必要です。

運用時は、以下の4点を必ず確認します。

  • 対象者数:絞った条件で何人に送れるか
  • 条件ロジック:ログイン◯日以内など、媒体ごとの基準
  • 送信可能数:プランによる上限
  • 最新の返信率:メーカー担当から必ず取得

これらを把握すると、応募見込み=対象者数 × 送信通数 × 返信率という形でシミュレーションでき、無駄撃ちを防げます。

スカウトは「量を送る施策」ではなく、条件設計と返信率の管理で成果を作る施策です。

訴求力:応募したくなる求人をつくる力(CVRを最大化する)

応募率(CVR)を上げるための3要素(ペルソナ、要件定義・差別化設計・伝え方設計)をまとめた図応募率(CVR)を最大化するには、「誰に向けて」「どんな魅力を」伝えるかの精度が重要です。

訴求力とは、求人を見た求職者が「ここで働きたい」と思える状態をつくる力を指します。

【関連ガイド】求人広告の効果を高める方法とは?

訴求力のKPI(CVR/応募率の見方と判断基準)

CVR(応募率)は、求人の「応募したくなる度合い」を示す指標です。求人ページを見た人のうち、何%が実際に応募したかを表します。

一般的な目安は 1〜3%。これを大きく下回る場合、ターゲット設定のズレ/原稿内容と期待の不一致/競合に比べて弱い訴求のいずれかが起きています。

CVRは、求人の“訴求そのもの”を最も正確に映す指標です。

IMPやCTRが十分でも応募が伸びないときは、まずCVRの改善が最も効果的な打ち手になります。

ペルソナ設計と要件定義(誰に刺さる求人にするか)

CVRを改善する第一歩は、「誰に向けて書く求人なのか」を明確にすることです。

ここが曖昧なままでは、魅力がぼやけ、クリックされても応募につながりません。

【ペルソナ設計(誰が魅力を感じるかを特定する)】

職種ごとに求職者が重視するポイントは大きく異なります。

  • 事務職:働きやすさ/安定性/残業の少なさ/会社の安心感
  • 営業職:給与水準/商材の売りやすさ/成長機会/評価制度
  • CS・サポート:働き方の柔軟性/研修制度/職場の雰囲気

まずは 「この職種の人は何を気にするのか?」 を正しく理解することが重要です。

その視点で魅力を構成すると、CVRは大きく改善します。

【要件定義(求める条件を“現実化”する)】

必要な条件は次の式で整理できます。

必須要件=業務上どうしても必要なこと − 入社後に教えられること

理想像をそのまま要件にすると対象者が極端に狭まり、応募も減ります。

市場で現実的に採れる条件へ調整することで、母集団を確保しながらミスマッチを防ぐことができます。

差別化設計(競合比較で“選ばれる理由”をつくる)

求人は常に、同じ職種・同じエリアの“競合求人”と並んで比較されます。

その中で選ばれるには、自社ならではの強みを、具体的かつ根拠をもって伝えることが必要です。

【競合と比較したときの「勝ちポイント」を特定する】

まずは、媒体内の同職種を検索し、求職者が比較しやすい軸を洗い出します。

  • 給与・評価制度
  • 働き方(残業/シフト/柔軟性)
  • 研修・育成体制
  • 仕事内容の魅力
  • 事業の成長性・キャリアパス

この中で、自社が最も強い要素=勝てる領域を1〜2つに絞ることが、訴求軸の核になります。

【抽象表現ではなく「具体性×根拠」で差別化する】

「働きやすい」「研修がある」「成長できる」といった表現は、ほぼすべての求人に書かれており、差別化にはなりません。求職者が納得するのは、次のような「事実ベースの情報」です。

  • 残業月10時間以内/定着率90%
  • 入社3か月は専任メンターがOJTを担当
  • 未経験入社80%/月3名の育成実績

数字・制度・実績といった客観的な根拠を添えると、応募意欲は大きく変わります。

【ポジショニングで「選ばれる理由」を一貫させる】

勝てる領域が定まったら、その強みを求人全体で一貫して表現します。

  • 冒頭のキャッチ
  • 働き方の説明
  • 仕事内容
  • メリット・制度の紹介

どの段落を読んでも「この会社はここが強い」と伝わる状態が理想です。

これにより、求職者は比較する中で、この企業が自分に合っていそうだと判断しやすくなります。

伝え方の設計(コンセプト・トーン・一貫性でCVRを上げる)

求人は「何を書くか」と「どう伝えるか」が揃ってはじめて応募につながります。

ここでは、CVR改善に直結する“伝え方”の3つのポイントをまとめます。

【コンセプト(最も伝えたい魅力)を一言で決める】

例:「未経験でも成長できる」「柔軟に働ける環境」

求職者は数秒で求人を判断するため、魅力の軸が一言で示されているかがCVRに大きく影響します。

【トーン(誰に向けた言葉か)を合わせる】

例:「20代:前向き・シンプル」「30〜40代:具体性・安定」「主婦層:安心感・両立のしやすさ」

ターゲットに合わせて語り口を揃えるだけで、読みやすさと共感度が大きく変わります。

【一貫性(どの接点でも同じ魅力が伝わる状態)をつくる】

求職者は複数の情報源を照らし合わせます。

求人票、採用サイト、面接での説明、口コミサイト(OpenWorkなど)など、これらがバラバラだと、応募前に不安が生まれ、離脱につながります。

どこを見ても同じ強みが語られている状態が、CVR改善の大きなポイントです。

選考フェーズにおける採用課題と解決策(=選考力)

面接前(連絡速度・再連絡・予約)、面接対応(魅力付け・見極め)、面接後(フィードバック・クロージング)選考力とは、応募者を入社までつなげる力です。選考フェーズでは、応募をどれだけ採用につなげられるかが成果を左右します。

面接設定率・面接通過率・承諾率のどこで離脱しているかを見極め、各段階の改善に集中することが選考力向上の鍵です。

選考フェーズのKPI(面接設定率・面接実施率・内定率・承諾率)

選考力を測る指標は主に4つです。

  • 面接設定率:応募 → 日程確定(相場:30~60%)
  • 面接実施率:日程確定 → 実施(相場:50~70%)
  • 内定率:面接 → 内定(相場:20~40%)
  • 承諾率:内定 → 入社確定(相場:50~70%)

どれか1つでも低いと採用数は伸びません。

初動の遅れ(設定率低下)、ドタキャン(実施率低下)、評価軸のブレ(内定率低下)、魅力付け不足(承諾率低下)など、数値を見るだけで課題の発生箇所が特定できます

まずは自社の流れをこの4指標で分解し、どこで歩留まりが落ちているかを把握することが改善の起点です。

面接前(=設定率を上げるフェーズ)

面接設定率が上がらない原因の多くは、連絡の遅さ予約のわかりにくさです。

  • 応募後の初回連絡は30分〜1時間以内が理想→温度が最も高い瞬間を逃すと、他社に流れやすくなります。
  • 候補者が自分で即予約できる仕組みを用意する→カレンダーURLでワンクリック予約にすると、日程調整の往復がなくなり、設定率は30% → 50〜60%台まで改善しやすくなります。

この2点が、最もインパクトの大きい改善ポイントです。

面接対応(=通過率を上げるフェーズ)

面接通過率が伸びない原因の多くは、魅力付け不足見極め軸の曖昧さです。

魅力付け(志望度を上げる)

志望度を高める最も効果的な方法は、安心感→ヒアリング→魅力づけの順で進めることです。

  • 冒頭で安心感を与える(第一印象が志望度に直結)
  • 希望をヒアリングし、その人に合った魅力を具体例で伝える
  • 仕事内容・将来性・働き方は「数字・制度・事例」で説明する

見極め(反応で判断する)

魅力付けが十分でも、見極めの軸が曖昧だと採用の精度が安定しません。

判断の軸は次の4つに絞れば十分です。

  • 論理性:意図を理解し、簡潔に答えられるか
  • コミュニケーション:表情・相槌・説明のわかりやすさ
  • 学習能力:成長経験・インプット習慣
  • ストレス耐性:量・衝突・失敗への向き合い方

魅力付けと見極めの両立ができている面接は、通過率だけでなく承諾率まで改善します。

面接後(=承諾率を上げるフェーズ)

承諾率が伸びない原因の多くは、面接後の空白時間を放置していることです。

  1. フィードバックは当日〜翌日以内:面接直後は不安が最も高まる時間帯。早い連絡は「自分をちゃんと見てくれた」という安心につながり、辞退防止に最も効きます。
  2. 情報の不足を埋める:仕事内容・職場の雰囲気・入社後の流れなど、不明点を残したままでは他社に流れます。追加面談や資料で働く姿を具体化させることが承諾率を押し上げます。
  3. 第三者の後押しを活用する:エージェント、先輩社員、メンターの一言は候補者の意思決定に強く影響します。短い1on1やフォローを入れるだけでも迷いが減ります。

採用課題の特定方法:ファネル分析で、どこが詰まっているかを見極める

採用は「表示 → クリック → 応募 → 面接 → 内定 → 入社」という連続したファネルで成立します。

どこか1つで歩留まりが落ちると、全体の採用成果が一気に下がります。

この章では、採用課題をWhat(何が起きているか)→Where(どこで起きているか)→Why(原因は何か)→ の順で特定する手順をまとめます。

課題は何か?(What) ―応募数の問題か、応募以降の問題かを切り分ける

採用課題の大半は次の2種類に分類できます。

応募数の不足(募集フェーズの問題)

  • 応募が少ない
  • 想定ターゲットが来ない
  • 前回より応募が落ちている

→ 見るべき指標:IMP → CTR → CVR

応募以降の歩留まり悪化(選考フェーズの問題)

  • 面接設定率が低い
  • ドタキャンが多い
  • 通過率・承諾率が伸びない

→ 見るべき指標:設定率 → 実施率 → 内定率 → 承諾率

まずは「応募数か、それ以降か」を切り分けるだけで、課題の目星がつきます。

どの段階で歩留まりが落ちているか?(Where)

次に、採用ファネルのどこで求職者が離脱しているかを数字で確認します。

応募数が課題の場合(募集フェーズ)

  • IMP(表示回数):求人が十分に見られているか
  • CTR(クリック率):媒体・プランの選定が適切か
  • CVR(応募率):原稿の訴求がターゲットに合っているか

応募以降が課題の場合(選考フェーズ)

  • 面接設定率(応募 → 日程確定):初動連絡と予約導線は適切か
  • 面接実施率(日程確定 → 実施):ドタキャン・直前辞退は抑えられているか
  • 面接通過率(面接 → 通過):面接官の魅力付け・見極めは適切か
  • 内定承諾率(内定 → 入社確定):面接後フォロー・情報補完は十分か

ここまでで「どの指標が落ちているか」が明確になります。

原因は何か?(Why)

課題(What)と落ちている指標(Where)が特定できたら、次は「なぜ、その数字なのか」を見極めます。

原因は複雑に見えますが、実際には指標ごとに典型パターンに整理できます。

 IMPが低い(表示されていない)

表示が少ないと、クリック以前に勝負になりません。主な原因は次の3つです。

  • 媒体選定のズレ:ターゲットがそもそもいない媒体を使っている

  • プランの露出不足:下位プランで検索画面の“深い位置”に埋もれている

  • 競合過密:繁忙期や人気職種で上位が埋まり、露出を確保できない

→媒体×プラン×エリア特性の再点検が必要。

 CTRが低い(クリックされない)

ユーザーが「見よう」と判断できていない状態です。

  • 検索画面の見え方が弱い(タイトル・給与・写真など)

  • 他社の条件と比較した時に魅力が薄い

  • プラン特性で上位表示されず、そもそも視界に入らない

→ タイトル設計・比較項目の強化・上位プラン検討で改善できます。

 CVRが低い(応募に至らない)

閲覧されても応募されない場合は、訴求力不足が原因です。

  • ターゲットの重視点と原稿内容がズレている

  • 他社と同じ内容になっており差別化が弱い

  • 不安を解消する情報(働き方・研修制度・評価)が不足している

→ 要件定義/ターゲット理解/差別化設計の不足が多いサインです。

面接設定率が低い(応募 → 日程確定)

応募者が面接まで辿り着かない場合の典型原因です。

  • 初動レスが遅い(当日中に返せていない)

  • メールのみで連絡し、見られていない/埋もれている

  • 日程調整が“ラリー形式”で面倒

→ スピード×マルチチャネル(SMS/LINE)×予約導線の簡易化が必須。

面接実施率が低い(設定 → 実施)

設定したのに来てくれないケース。

  • リマインド不足で忘れられている

  • 面接までの日程が遠く、他社に決められる

  • 応募者の不安が解消されず辞退につながる

→ 直前リマインド/早めの日程/不安解消コミュニケーションが鍵。

面接通過率が低い(魅力付け不足 or 見極めミス)

落としすぎ、または魅力付け不足のサイン。

  • 面接官が魅力付けをせず、見極めだけしてしまう

  • 評価軸が曖昧で“良い人材”を取り逃す

  • 仕事内容や将来性の説明が不十分

→ 面接官トレーニング/評価軸の整理/魅力付けの設計が必要。

承諾率が低い(内定 → 入社)

最後の詰めで落ちるパターン。

  • 情報量が少なく、候補者の不安が残っている

  • 他社の方がフォローが手厚い

  • 人としての納得感を得られていない

→ 面接後フォロー/追加接点/エージェント連携が効果的。

採用課題を解決する手段:属人化からの脱却と採用DX


採用がうまくいかない原因の多くは、担当者の努力ではなくアナログ運用の限界にあります。Excel管理、手作業の連絡、媒体ごとのバラバラな対応では、現代の採用スピードに追いつきません。

必要なのは「頑張ること」ではなく、採用プロセスそのものを仕組み化することです。

その中心となるのが、採用管理システム(ATS)による採用DX。募集・選考・フォローを一気通貫でデジタル化し、スピードと再現性を生み出します。

【関連記事】

・「採用管理システム(ATS)とは?」はこちら

・「ATS比較完全ガイド」はこちら

アナログ運用の限界が採用課題の根本になる理由

採用の多くのトラブルは、担当者のスキル不足ではなくアナログ運用そのものの構造的限界から生まれます。

求人媒体の増加、候補者からのレスポンス速度の要求、選考ステップの複雑化。

これらに対し、Excelやメール主体の運用では必要な「スピード」と「一貫性」が担保できません。

アナログ運用では次の問題が必ず起きます。

  • 対応が遅れる(応募直後の数時間で候補者が離脱)
  • 情報が分散する(媒体・メール・Excel間の転記ミス)
  • 属人化する(人によって対応品質が変わる)
  • 歩留まりが安定しない(再現性のあるプロセスが作れない)

こうした課題は、人がどれだけ頑張っても解消できません。

改善すべきは「人」ではなく、採用プロセスの構造です。

採用管理システム(ATS)が採用課題を解決する理由

採用課題の多くは、アナログ運用では扱いきれない「量」「スピード」「一貫性」の不足から生じます。

ATS(採用管理システム)は、この3つを構造的に補完することで課題を根本から解決します。

応募対応のスピードが上がる

応募情報の自動取得、サンクスメールやSMSの即時送信、面接調整の自動化により、候補者が最も離脱しやすい初動の数時間を確実にカバーできます。

情報が一元化され、ミスと属人化が消える

媒体・自社サイト・紹介・スカウトなど、バラバラに届く情報を一つの画面に統合。転記やメール検索が不要になり、誰が対応しても同じ品質を維持できます。

選考プロセスの歩留まりが安定する

リマインド、フォロー、選考ステップの管理が自動化され、設定率・参加率・承諾率のばらつきがなくなります。

「人によって対応が違う」問題をシステム側が吸収します。

チャネル別の効果が数値で判断できる

応募数や歩留まりなどが自動で可視化されるため、媒体やプランの効果検証がスムーズになり、投資判断の精度が上がります。

ATSの本質は、人がやるべき対応に集中できるように、仕組みで土台を整えること。

募集→選考→入社の各フェーズで発生する課題の多くは、ATSによって工数削減・スピード向上・歩留まり改善 が同時に進みます。

スピードと歩留まりに強いATS「RPM」の特徴

ATSの中でも、特に応募対応のスピード面接設定率(歩留まり)改善に強いのが、株式会社ゼクウが提供する RPM(アールピーエム) です。

大量応募・高頻度採用を行う企業ほど効果が出やすい設計になっています。

400媒体以上を自動連携し、対応遅れをゼロにする

主要媒体から地方・専門媒体まで、あらゆる応募情報を自動取得。媒体ごとの管理画面にログインしたり、Excelへ転記したりする必要がなく、応募から最速で候補者情報が反映 されます。

→ 「気づいたら応募が来ていたが連絡が遅れた」という機会損失を根本から防止します。

24時間365日、初動対応を完全自動化

応募直後のサンクスメール、SMS送信、質問への自動回答、面接調整、リマインドまでを
シナリオ通りに自動で実行します。

→ 候補者が最も離脱しやすい応募〜数時間の勝負区間を、人手をかけずにカバーできます。

業務に合わせて自在に出し分けられるシナリオ設計

媒体別、職種別、応募経路別など、細かな条件で対応内容を出し分け可能。「大量応募を高速に処理するパターン」から「重要ポジション向けに丁寧にフォローするパターン」まで柔軟に構築できます。

→ 機械一辺倒 にならず、候補者体験を保ちつつ歩留まりを最大化できます。

RPMが向いている企業

毎月100名以上の応募が来る(大量応募系)

  • 初動遅れで他社に取られている実感がある
  • 媒体や支店が多く、情報が分散している
  • 面接設定率・参加率が安定しない

RPMは、こうした 「量×スピード×歩留まり」の課題を持つ企業で最大効果を発揮します。

まとめ:採用課題は「構造 × 仕組み」で必ず解決できる

採用がうまくいかない背景には、売り手市場・チャネルの複雑化・候補者の選択基準の高度化という構造的な変化があります。

そして、応募が少ない/歩留まりが悪い/辞退されるといった課題は、採用ファネルのどこで離脱が起きているかを見れば必ず整理できます。

  • IMP/CTR/CVR のどこが弱いか
  • 面接設定率・実施率・承諾率のどこに落ち込みがあるか
  • 原因は「媒体×プラン」「訴求内容」「初動スピード」「面接品質」のどこに課題があるか

原因さえ特定できれば、改善策は必ず導けます。

そして重要なのは、これらを人の属人性やマンパワーだけで補おうとするのではなく、誰が担当しても同じ成果を出せる状態に仕組み化することです。

ATS、特に応募対応と歩留まり改善に強いRPMを活用すれば、募集〜選考〜入社までのプロセスが安定し、
担当者は人にしかできない仕事に集中できます。

採用はこれまで以上に複雑化していますが、構造を理解し、仕組みで整えることで必ず改善できます。

髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

RPMの導入前に知っておきたいポイントをご紹介