── 1,038名調査が示す、決定率改善の構造
稼働率は「個人の力量」だけで決まるわけではない。
脱アナログ運用で初回提示量1.7倍・稼働率1.2倍を実現する派遣会社は、何が違うのか。
業界平均の稼働率
21.1 % n=1,038
提示倍率4倍×初回4件
33.6 % +12.5pt
マッチング機能 中心活用で
初回提示量 1.7 倍
アナログ1.8件 → 中心活用3.1件
労働人口の減少により、派遣スタッフの獲得競争が激化しています。成約には「迅速かつ的確なマッチング」が不可欠ですが、現場では担当者の経験や勘に頼る属人的な運用も多く、案件増加に伴う「連絡の遅れ」や「提示不足」による取りこぼしが懸念されています。
決定率を左右するのは、本当に個人の力量だけなのでしょうか。
株式会社ゼクウは、派遣会社の営業・コーディネーター1,038名を対象に、「派遣マッチングの『決定率』を左右する3大変数(量・スピード・対応限界)」の実態調査を実施しました。本レポートでは、提示量・処理限界・マッチング機能の活用という3つの観点から、稼働率を伸ばす派遣会社の構造的特徴を明らかにします。
稼働率を「分けるもの」と「伸ばし方」を3つの章で要約します。詳細は本文の各章でデータと共に解説します。
+12.5 pt 業界平均 21.1% → 33.6%
提示倍率4倍×初回4件以上の企業は、稼働率33.6%を達成。提示量(初回件数×倍率)の差が、稼働率の天井を決めている。
では、なぜ多くの企業は提示量を増やせないのか?
6-10 件
7-10 名
限界を超えると追客40.1% → 進捗管理35.8% → 提示量29.3%の順に崩れる、機会損失の連鎖が発生。
では、処理限界を突破するには?
9.5 %
1.2 倍
業界のわずか9.5%しか実現できていないが、中心活用企業は初回提示量1.7倍・稼働率1.2倍を達成している。
詳細は本文の各章でデータと共に解説
派遣マッチングにおける「提示量」は、①初回面談で提示する求人件数と、②1求人あたりに提示する候補数(提示倍率)の掛け合わせで決まります。今回の調査では、この提示量の差が稼働率に直結することが明らかになりました。
Q. スタッフとの『初回面談(電話含む)または初回接点』で具体的に提示した求人件数は、1人のスタッフあたり平均してどれくらいですか?
n=538 / 平均:2.54件
約半数が『2〜3件』の提示にとどまる背景には、担当者が一度に処理・提示できる情報量の限界や、確実なマッチングを志向する傾向があると考えられます。一方で、『1件』の層も約2割に達しており、初動の段階で求職者側の選択肢が極端に制限されているケースもあることがうかがえます。
Q. 1求人あたりの募集人数に対して、就業決定までに依頼された企業に提示するスタッフの倍数はどれくらいですか?
n=1,038 / 平均提示倍率:2.56倍
全体の約8割が、募集枠に対して『2倍』または『3倍』を提示しており、1つの採用枠に2〜3名を引き合わせる運用が業界に定着しています。初回提示件数(平均2.54件)と掛け合わせると、派遣マッチングでは1求人あたり平均6〜7回程度の接触が行われている計算になります。
ここまでの2つの数字(初回提示件数 × 提示倍率)を掛け合わせて、提示量と稼働率の相関を分析しました。結果は以下の通りです。
セグメント | 平均稼働率 | 回答数(n) |
|---|---|---|
全体平均 | 21.1% | 1,038 |
求人提示倍率 3倍以上 | 22.5% | 534 |
求人提示倍率 4倍以上 | 31.7% | 102 |
提示倍率3倍以上 × 初回提示4件以上 | 24.0% | 334 |
提示倍率4倍以上 × 初回提示4件以上 | 33.6% | 74 |
業界平均との差
全体平均21.1%に対し、提示倍率4倍以上 × 初回提示4件以上の層では33.6% +12.5pt の改善
提示量を増やすことが、稼働率の底上げに直結している実態が確認できます。一方で、提示量を増やすには担当者の対応キャパシティが前提となります。次章では、その「対応限界」がどこにあるのかを見ていきます。
提示量を増やせば稼働率が上がる──しかし、提示量を支えるのは担当者の対応キャパシティです。今回の調査では、担当者が同時に処理できる「求人件数」「スタッフ人数」の限界が、どこに集中しているかが明らかになりました。
Q. 同時に進行する『充足前求人』が何件を超えると、処理限界を感じますか?
n=1,038
『6〜10件』をピークに、その前後(『3〜5件』『11〜15件』)にも回答が分布しており、求人案件の同時対応では「10件前後」が業界共通の壁になっていることが確認できます。担当者の経験や個人差を考慮しても、この水準を超えると業務負荷が急増する傾向にあります。
Q. 同時に対応する『提案・調整中のスタッフ』が何名を超えると、処理限界を感じますか?
※『提案・調整中』とは、求人提示/追客/日程調整/条件確認など、稼働決定に向けて動いているスタッフを指します。
n=1,038
スタッフ数の限界も求人件数と同様、「10名前後」に集中しています。派遣のマッチングでは、提案・日程調整・条件確認・追客対応など複数の業務を並行して進める必要があるため、対応スタッフが増えるほど担当者の業務負荷が高くなり、限界に達しやすい構造があります。
処理限界の集中ライン
求人件数6〜10件(42.1%) / スタッフ数7〜10名(38.2%)
担当者が同時に対応できる限界は、いずれも「10前後」に集中している
派遣営業・コーディネーターは、求人とスタッフの両軸で「10前後の壁」を抱えています。次章では、この処理限界を超えた瞬間に、現場でどのような取りこぼしが発生するのかを見ていきます。
担当者の対応キャパシティを超えた瞬間に、現場では何が起きているのか──。今回の調査では、限界超過が「追客の停滞・進捗管理の崩れ・提示量の減少」という連鎖的な機会損失を引き起こしている実態が明らかになりました。
Q. 処理限界が生じたとき、どのようなことが起きやすいと思いますか?(複数回答可)
n=1,038
上位3項目(追客40.1%・進捗管理35.8%・提示量29.3%)はいずれも、スタッフとの継続的なコミュニケーションと業務管理に直結する領域です。担当者の許容量を超えた際、真っ先に犠牲になるのは「決まる前の地道なやりとり」であることが分かります。
限界超過の上位3項目は、独立して発生するわけではありません。「追客の停滞」が「進捗管理の崩れ」を生み、それが「提示量の減少」へと連鎖していく構造があります。
処理限界超過で起きる、3段階の連鎖
この連鎖は「個人の頑張り」では断ち切れません。担当者一人が抱える業務量に構造的な天井がある以上、限界を超えた瞬間に同じパターンの機会損失が再生産されます。次章では、この連鎖を断ち切るための具体的なアプローチ──マッチング機能の活用状況を見ていきます。
処理限界を超えて稼働率を伸ばすには、システムによる業務効率化が不可欠です。しかし業界の現状はどうか──。今回の調査では、マッチング機能を運用の中心として本格活用できている派遣会社は、わずか9.5%にとどまることが明らかになりました。
Q. 派遣スタッフと紹介業務のマッチングについて、現在の運用形態に最も近いものを教えてください。
※「マッチング機能」とは、求人案件とスタッフ間の条件検索/通勤判定/候補抽出/進捗一元管理などを指す。
n=1,038
最も多いのは「システムはあるが記録中心」48.4%という回答です。一方、マッチング機能を運用の中心として活用できている企業はわずか9.5%にとどまります。「導入はしているが、活用しきれていない」という状況が、業界の約半数で起きているのが実態です。
システムは導入されているのに、マッチング機能が活用されない──。この「記録中心」の状態は、現場で何が起きていることを意味するのでしょうか。
業界の活用ギャップ
システム導入率(84.4%)─アナログ以外の合計
中心活用率(9.5%)─機能を実務の主軸として運用
活用ギャップ 約75pt
システムを「記録ツール」として使うだけでは、調査結果1〜3で確認した「処理限界の壁」を超えることはできません。検索・抽出・進捗管理といった機能を運用の中心に据えてはじめて、担当者の対応キャパシティが拡張され、提示量が増え、稼働率が上がる構造が生まれます。次章では、その「中心活用」によって実際にどれだけ数字が変わるのかを見ていきます。
マッチング機能を運用の中心に据えると、現場の数字はどう変わるのか──。今回の調査では、運用形態別の初回提示量と稼働率を比較し、「中心活用」企業が業界水準を大きく上回る成果を出していることが明らかになりました。
Q. スタッフとの『初回面談(電話含む)または初回接点』で、平均的に提示する求人件数はどれくらいですか?
※ 運用形態別に集計
n=1,038
初回提示量の改善幅
アナログ中心1.8件 → 中心活用3.1件約1.7倍
マッチング機能を中心活用する企業は、スタッフ1名あたりの初回提示量がアナログ中心の約1.7倍に達しています。これは、検索・抽出・候補絞り込みといった作業をシステムが担うことで、担当者の時間が「探す」から「届ける」へとシフトした結果と考えられます。
Q. スタッフ全体に対して、稼働中のスタッフはどれくらいの割合ですか?
※ 運用形態別に集計
n=1,038
稼働率の改善幅
アナログ中心20.7% → 中心活用24.3%約1.2倍 / +3.6pt
初回提示量の増加(1.7倍)が、稼働率の改善(1.2倍)として実数字で現れています。提示量が増えれば成約機会が広がり、稼働率の底上げに直結する──調査結果1で示した構造が、運用形態別データでも裏づけられた形です。
RESULT 1,038名調査が示す、稼働率改善の構造
1.7 倍
1.2 倍
調査結果1〜5を通じて、稼働率は「個人の力量」ではなく提示量・処理限界・マッチング機能の活用という3つの構造的要因で決まることが確認できました。次章では、これらのデータが示す本質を踏まえ、稼働率を伸ばす派遣会社が実践している運用の本質を考察します。
調査結果では、マッチング機能の中心活用で初回提示量1.7倍・稼働率1.2倍という明確な改善が確認できました。にもかかわらず、業界の中心活用率はわずか9.5%にとどまります。なぜ多くの派遣会社が、効果が見えているはずの運用に踏み切れないのか──。本章では、業界に根付く構造的な3つの要因を考察します。
中心活用が進まない理由は、システムや個人の力量ではない。
「案件起点の運用」「単発のヒアリング」「終了で関係を切る習慣」──業界に根付く3つの慣習が、提示量と稼働率の天井を作っている。
稼働率の天井を作る、 3つの構造的要因
多くの派遣会社では、企業から求人が入ってからスタッフを探し始める「案件起点」の運用が一般的です。これは一見合理的に見えますが、稼働率を頭打ちにする最大の構造的要因になっています。
案件起点では、求人ごとに「条件に合うスタッフがいるか」を都度検索します。条件が合致しない場合、提示できるスタッフが見つからず、結果として初回提示件数が「2〜3件」(53.0%)に集中する構造になります。
一方、稼働率33.6%を達成している企業は、スタッフ起点──つまりスタッフ一人ひとりに対しても常時「合いそうな求人」をリストアップしておく運用を取っています。これが、提示量4倍×初回4件以上を可能にする土台です。
「案件 → スタッフ」だけでなく「スタッフ → 案件」へ。マッチング機能の検索・抽出機能を中心に据えると、この発想転換が運用に組み込まれます。
「『案件が来てから探す』運用は、派遣会社の現場の知恵が積み重なってできた、とても合理的な仕組みです。一方で、案件数が増え続け、スタッフ獲得競争が激化する中で、この運用だけだと提示量に天井ができてしまうのも事実です。150社以上の派遣会社さまの現場を見てきて感じるのは、稼働率を伸ばしている会社ほど、案件起点の良さは活かしながら、スタッフ起点でも『仕事したい候補』を持ち続ける運用を併走させているということです。」
スタッフとの初回面談で「ヒアリングのみ」5.8%・「1件提示」19.9%という回答からも分かるように、約4分の1の面談が具体的な求人提示に至らずに終わっています。これは「とりあえず話を聞いて、後で連絡します」という業界に根付いた面談スタイルの表れです。
本来、面談はスタッフの「初動の温度感」が最も高い瞬間です。条件・希望・通勤可能エリアといった情報が揃っているこのタイミングで、4件・5件と複数の求人を提示できれば、スタッフは「自分に合う仕事がここにある」という確信を持てます。
逆に、ヒアリングだけで終わると、その後の連絡で温度感が下がり、結果として「追客40.1%が回らない」(調査結果3)に直結します。
面談を「情報収集の場」から「複数提示の場」へ転換する。これにはスタッフ情報入力と同時に「この人にマッチする求人」を即座にリストアップできる仕組みが不可欠です。
「面談で複数案件を提示するのは、本来とても難しいことです。スタッフのご希望を丁寧に聞きながら、その場で合う案件を頭の中で組み立てる──ベテランの方ほど自然にやっておられる、職人的な仕事だと感じています。ただ、新人や繁忙期にこれを再現するのは難しく、属人化しがちです。マッチング機能はその『職人技』を仕組みとして再現するためのもので、ベテランの方の代わりではなく、組織全体で同じレベルを目指すための支援だと考えています。」
派遣スタッフの就業期間が終了したあと、多くの派遣会社では関係性が事実上断絶します。終了通知 → 書類処理 → 連絡途絶、という流れが業界の標準的なパターンです。しかしこれは、稼働可能なスタッフを毎回ゼロから探すことを意味します。
中心活用企業はこの「関係の断絶」を仕組みで防いでいます。終了が近づくスタッフを自動で抽出し、次の提示候補を終了の1〜2か月前から準備。
終了通知が「再エントリーへの起点」になるため、稼働可能スタッフが常時プールされ、提示量の総量が増えます。これが「提示倍率4倍×初回4件以上」を物理的に可能にする源泉です。
終了は「関係の終わり」ではなく「次の起点」。終了管理と次回提案を一連の業務として設計することで、稼働可能なスタッフ母集団が継続的に拡大します。
「終了通知から次の提案までを一連で設計するのは、コーディネーターと営業の連携、書類処理、有休管理など、いくつもの実務が絡む難しい領域です。多くの派遣会社さまで『大事だと分かっているけれど、日々の業務に追われて手が回らない』というお声をよく伺います。ただ、終了予定者を1〜2か月前から自動で抽出する仕組みがあれば、『気づいたら他社で次の仕事を決めていた』を防げる。スタッフにとっても、慣れた会社で次の仕事を続けられる選択肢が増えることは、安心につながると思っています。」
マッチング機能の「中心活用」は、ツールの問題ではなく運用設計の問題です。「案件起点」「単発ヒアリング」「終了で関係を切る」という3つの慣習を見直し、スタッフ起点・複数提示・継続関係を設計に組み込むこと──これが、稼働率を構造的に伸ばす派遣会社が実践している本質です。
1,038名調査の全データを、
PDFで持ち帰る
本記事の数値・グラフ・考察を、社内会議や提案資料にそのまま使える完全版レポート
※ お申込みフォームへ遷移します
1,038名の派遣会社営業・コーディネーターを対象とした調査により、稼働率を伸ばす派遣会社には共通する構造的な特徴があることが明らかになりました。本レポートの結論を、3つの持ち帰りポイントと主要数字で整理します。
初回提示量・対応キャパシティ・運用形態という3つの構造的要因が、稼働率の天井を決めている。
提示倍率4倍×初回4件以上で稼働率33.6%、業界平均から+12.5pt。提示量を増やせば稼働率は上がる。
中心活用で初回提示量1.7倍・稼働率1.2倍。スタッフ起点・複数提示・継続関係の運用設計が成果を生む。
本レポートで明らかになった、5つの主要数字
21.1% → 33.6% (+12.5pt)
1.8件 → 3.1件 (1.7倍)
6〜10件 に集中(42.1%)
7〜10名 に集中(38.2%)
9.5% のみ(業界の約半数48.4%は「記録中心」にとどまる)
FAQ
Q.
A.
今回の調査では、実際に提示倍率4倍以上×初回提示4件以上を達成している企業が74社確認されました(全1,038社中)。
これらの企業の平均稼働率は33.6%で、業界平均21.1%から+12.5pt高い水準です。
実現には、担当者一人ひとりの業務量を増やすのではなく、マッチング機能による「検索・抽出・進捗管理の効率化」が前提となります。
▶ 詳細は本文の「調査結果1」をご覧ください。
Q.
A.
Q.
A.
最大の要因は「案件起点の運用」が業界に根付いていることです。
企業から求人が入ってからスタッフを探す運用では、システムは結果の記録ツールにとどまりがちで、検索・抽出・進捗管理といった機能を活かしきれません。
結果として、「導入はしているが、業務の中心はExcelや属人的な作業」という状態が約48.4%の企業で発生しています。
▶ 詳細は本文の「考察」セクションをご覧ください。
Q.
A.
本調査結果は、出典元の明記とリンク設置をいただける場合に限り、ご自由にご利用いただけます。記事掲載・SNS発信・社内資料等にご活用ください。
https://rpm.zeku.co.jp/research/2026-staffing-matching/<p>出典:<a href="https://rpm.zeku.co.jp/research/2026-staffing-matching/" target="_blank" rel="noopener">派遣マッチングの「稼働率」は「提示量」で決まる(株式会社ゼクウ調べ・1,038名調査)</a></p>出典:派遣マッチングの「稼働率」は「提示量」で決まる(株式会社ゼクウ調べ・1,038名調査)
URL:https://rpm.zeku.co.jp/research/2026-staffing-matching/
本ページに掲載した1,038名調査の全クロス集計、グラフ、考察を1冊のPDFに収録。
社内共有・経営報告・自社の運用見直しの一次資料としてご活用いただけます。