
クーリング期間とは?3ヶ月と6ヶ月の違い、抵触日との関係、注意すべき運用パターンを解説
派遣のクーリング期間とは、派遣法で定められた期間制限(3年ルール)の通算カウントをリセットするために設ける「3ヶ月と1日以上の空白期間」のことです。
事業所単位・個人単位いずれの期間制限にもクーリング期間の考え方が設けられており、抵触日を迎えた後の対応として選択肢の一つになります。
ただし、クーリング期間を形式的に繰り返す運用は法の趣旨に反するとされており、「使えばいい」という単純な話ではありません。
この記事では、以下の内容をまとめています。
クーリング期間(3ヶ月ルール)の仕組みと具体的な計算例
労働契約法のクーリング期間(6ヶ月ルール)との違い
違法・不適切とみなされる運用パターンと、抵触日前に検討すべき選択肢
目次[非表示]
- ・クーリング期間とは|派遣法における「3ヶ月と1日」の基本ルール
- ・クーリング期間と抵触日の関係|事業所単位・個人単位の違い
- ・派遣法の「3ヶ月」と労働契約法の「6ヶ月」——2つのクーリング期間の違い
- ・期間制限が適用されない5つの例外パターン
- ・クーリング期間の運用で注意すべきポイント
- ・抵触日が近づいたときの4つの選択肢
- ・クーリング期間に関するよくある質問
- ・Q:クーリング期間は「3ヶ月」ですか?「3ヶ月と1日」ですか?
- ・Q:クーリング期間中、派遣スタッフは別の派遣先で働けますか?
- ・Q:意見聴取による延長とクーリング期間、どちらを選ぶべきですか?
- ・Q:クーリング期間中に同じ派遣先で別の部署に異動することはできますか?
- ・Q:クーリング期間は派遣先と派遣会社のどちらが管理するものですか?
- ・派遣会社を変更すれば3年のカウントはリセットされますか?
- ・クーリング期間は「使うもの」ではなく「理解して備えるもの」——まとめ
クーリング期間とは|派遣法における「3ヶ月と1日」の基本ルール
クーリング期間の仕組みを正しく理解するには、まず派遣法における定義と「抵触日」との関係を押さえておく必要があります。
このセクションでは、クーリング期間の基本ルールと実務で混乱しやすい計算方法を確認します。
クーリング期間の定義と法的根拠
クーリング期間とは、派遣法の期間制限(3年ルール)の通算カウントをリセットするために設ける空白期間のことです。
必要な長さは「3ヶ月超」、つまり3ヶ月と1日以上です。
3ヶ月ちょうどではリセットされません。
では、なぜこの空白期間が必要になるのでしょうか。
前提として、派遣法では同じ事業所・同じ組織単位(課やグループ)で派遣スタッフを受け入れられる期間を原則3年と定めています。
この3年を超えて受け入れを続けると、派遣可能期間を超過した違法な状態になります。
こうした事態を避けるための手段の一つがクーリング期間です。
3ヶ月と1日以上の空白を設けると、それまでの受け入れ期間のカウントがゼロに戻り、新たに3年の派遣受け入れが可能になります。
ただし、期間制限の回避だけを目的としたクーリング期間の運用は、行政指導の対象になりえます(参考:厚生労働省『労働者派遣事業関係業務取扱要領』)。
クーリング期間はなぜあるのか
クーリング期間は、同じ派遣先で働き続けるためのリセット手段ではありません。
派遣関係が本当に途切れたかどうかを判断するための線引きとして設けられた仕組みです。
その理由を理解するには、クーリング期間の土台となっている制度の考え方を知っておく必要があります。
そもそも派遣法は「派遣という働き方は臨時的・一時的なものであるべき」という考え方に立っています。
この原則に基づき、同じ場所での派遣受け入れを原則3年に制限する「3年ルール」が設けられています。
3年を超えて同じ場所で必要としているなら、直接雇用に切り替えて安定した雇用を提供すべき、というのがこの制度の趣旨です。
一方で、派遣関係が実際に一度終了したにもかかわらず、過去のカウントがいつまでも残り続けるのは不合理です。
そこで、十分な空白があれば通算しないという整理をするのがクーリング期間の役割です。
「3ヶ月と1日」という基準は、派遣法の施行規則で「空白期間が3ヶ月以下であれば派遣は継続しているとみなす」と定められていることに基づいています。
3ヶ月を超えて初めて「一度終了した」と扱われるため、3ヶ月超がリセットの最低ラインになっています。
ただし、「3ヶ月空けて再び派遣すれば、期間制限を気にしなくていい」という運用は、法の趣旨に反するとされています。
クーリング期間と抵触日の関係|事業所単位・個人単位の違い

クーリング期間は、前回の派遣終了から次回の派遣開始までに設ける空白期間です。この空白期間を理解するには、「抵触日」と「2種類の期間制限」の関係を押さえておく必要があります。
また、抵触日には「事業所単位」と「個人単位」の2種類があり、それぞれでクーリング期間の考え方が適用されます。
ここでは、抵触日との関係と具体的な計算方法を確認します。
「抵触日」と事業所単位・個人単位の関係
クーリング期間をより理解するには、「抵触日」と「2種類の期間制限」の関係を押さえておく必要があります。
抵触日とは、派遣の受け入れ可能期間が満了した翌日のことです。
この日を過ぎると、同じ条件での派遣受け入れはできなくなります。
また、期間制限には「事業所単位」と「個人単位」の2種類があり、いずれにもクーリング期間の考え方が適用されます。
事業所単位は、ある事業所(オフィスや工場など)全体で派遣スタッフを受け入れられる期間の上限です。
誰を・どの派遣会社から受け入れていても、その事業所で最初に派遣を開始した日から原則3年でカウントされます。
つまり起算日は「その事業所が一番最初に派遣を使い始めた日」であり、途中から加わったスタッフの入社日とは関係ありません。
抵触日が近づいた場合は、抵触日の1ヶ月前までに意見聴取による延長手続きを行うか、派遣の受け入れ終了後にクーリング期間を設けてリセットするかのいずれかで対応することが多いです。
個人単位は、特定の派遣スタッフが同じ組織単位(課やグループ)で働ける期間の上限です。
「Aさん×営業課」のように人と部署の組み合わせごとに原則3年の期間制限がかかります。
起算日はスタッフごとに異なるため、事業所単位の抵触日とはずれるのが一般的です。
こちらは意見聴取による延長ができないため、抵触日を迎えた場合は部署異動・直接雇用・契約終了のいずれかで対応するのが通常です。
この2種類の期間制限は同時に走っているため、「どちらが先に来るか」を常に把握しておく必要があります。
事業所単位と個人単位の詳しい違いや管理方法については、以下の記事で解説しています。
クーリング期間の計算方法【自動計算チェッカーつき】
ここまで見てきたとおり、クーリング期間は前回の派遣が終了した翌日からカウントされます。
事業所単位・個人単位のどちらも、受け入れ開始日から3年後に抵触日を迎え、そこから3ヶ月と1日以上の空白を設けることでカウントがリセットされます。
計算の考え方は事業所単位・個人単位で違いはありません。
以下のチェッカーに受け入れ開始日を入力すると、抵触日とクーリング期間明け(受け入れ再開可能日)を自動で算出できます。
自社のケースで確認してみてください。
たとえば、2026年4月1日に受け入れを開始し、2029年3月31日に派遣が終了した場合、翌日の2029年4月1日からクーリング期間のカウントが始まります。
3ヶ月と1日以上の空白を経た2029年7月2日以降に、受け入れを再開することが可能です。
計算の考え方は事業所単位・個人単位のどちらも同じです。
受け入れ開始日から3年が経過した翌日が抵触日となり、そこから3ヶ月と1日以上の空白を設けた翌日が、受け入れ再開可能日になります。
ただし個人単位については、本人が希望しないにもかかわらず同じ組織単位に再派遣することは、キャリアアップの観点から望ましくないとされている点に留意してください(参考:厚生労働省『派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針』)。
派遣法の「3ヶ月」と労働契約法の「6ヶ月」——2つのクーリング期間の違い

ここまで解説してきたクーリング期間は、派遣法に基づくもので、必要な空白期間は「3ヶ月と1日以上」でした。
しかし、日本の労働法にはもう一つ「クーリング期間」と呼ばれる制度があります。
労働契約法に基づくもので、こちらは派遣に限らず、契約社員やパート・アルバイトなど有期雇用の労働者全般が対象です。
必要な空白期間は「原則6ヶ月以上」とされています。
「クーリング期間」で検索したときに「3ヶ月」と「6ヶ月」の情報が混在するのは、この2つが別の制度であるためです。
労働契約法の「5年ルール」におけるクーリング期間とは
労働契約法18条では、同じ企業との間で有期労働契約が更新され、通算5年を超えた場合に、労働者が申し込めば無期雇用契約に転換されるルールが定められています。
いわゆる「5年ルール」「無期転換ルール」と呼ばれる制度です。
この5年の通算カウントをリセットするのが、労働契約法のクーリング期間です。
契約と契約の間に原則6ヶ月以上の空白期間を設けると、それ以前の契約期間は通算に含まれなくなります。
ただし、必要な空白期間は一律6ヶ月ではありません。
無契約期間の前の通算契約期間が1年未満の場合は、その通算契約期間の2分の1以上の空白でリセットされます。
たとえば直前が6ヶ月契約であれば3ヶ月以上、4ヶ月契約であれば2ヶ月以上が必要です。
具体的な基準は契約期間の長さごとに厚生労働省令で定められているため、判断に迷う場合は厚生労働省の無期転換ポータルサイトで確認してください(参考:厚生労働省『有期契約労働者の無期転換ポータルサイト』)。
2つのクーリング期間の比較
ここまでの内容を踏まえて、派遣法と労働契約法のクーリング期間の違いを表で整理します。
項目 | 派遣法のクーリング期間 | 労働契約法 |
|---|---|---|
根拠法 | 労働者派遣法 | 労働契約法(18条) |
対象者 | 派遣スタッフ(有期雇用) | 契約社員・パート・アルバイトなど有期雇用労働者全般 |
リセットされるもの | 派遣の期間制限(3年ルール)の通算 | 無期転換権が発生するまでの通算契約期間(5年) |
必要な空白期間 | 3ヶ月超(3ヶ月と1日以上) | 原則6ヶ月以上(契約期間が1年未満の場合は短縮あり) |
空白期間の管理主体 | 派遣先・派遣会社 | 雇用主(企業) |
このように、同じ「クーリング期間」でも必要な空白期間は3ヶ月と6ヶ月で異なり、リセットされる対象もまったく別です。
派遣会社の担当者は、自社のスタッフに関して派遣法の3年ルールだけでなく、労働契約法の5年ルールも同時に管理対象になりうる点を押さえておく必要があります。
期間制限が適用されない5つの例外パターン

ここまで、派遣法のクーリング期間(3ヶ月と1日以上)と、労働契約法のクーリング期間(原則6ヶ月以上)の仕組みを解説してきました。
ただし、すべての派遣契約にクーリング期間の問題が生じるわけではありません。
以下の5つのパターンに該当する場合は、そもそも3年の期間制限がかからないため、抵触日もクーリング期間も発生しません。
自社のスタッフや受け入れ状況が例外に当てはまるかどうか、事前に確認しておくことが大切です。
無期雇用の派遣スタッフ
派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結んでいるスタッフは、期間制限の対象外です。
雇用契約自体に終了期限がないため、同じ事業所・同じ組織単位で3年を超えて就業を続けることができます。
60歳以上の派遣スタッフ
派遣元で60歳以上の派遣労働者も期間制限の対象外です。
雇用機会の確保を優先する趣旨から、年齢要件を満たしていれば同じ派遣先で継続して働けます。
なお、就業開始時に60歳未満であっても、抵触日を迎える時点で60歳以上になっていれば対象外として扱われます。
有期プロジェクト業務
事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止にともなう業務で、終了時期が明確に決まっているプロジェクトに従事する場合も対象外です。
ただし「終了時期が明確」であることが要件なので、期限があいまいなまま運用すると例外として認められない場合があります。
日数限定業務
派遣先の通常の労働者の月の所定労働日数の半分以下、かつ月10日以下の日数で発生する業務も対象外です。
実務上は、繁忙期だけスポットで依頼するような短期間の業務がこれに該当します。
産前産後・育児・介護休業の代替業務
派遣先の従業員が産休・育休・介護休業を取得している間の代替として派遣スタッフを受け入れるケースも、休業期間が終了するまで期間制限の対象外です。
休業前後の引き継ぎ期間も、必要最小限の範囲であれば代替業務に含めて差し支えないとされています。
これら5つの例外に該当するかどうかは、派遣契約書に明記されている必要があります。
「おそらく該当するだろう」という判断で運用すると、実際には期間制限の対象だったというリスクがあるため、派遣会社と派遣先の間で必ず認識を合わせておきましょう。
例外パターンの詳しい要件については、以下の記事でも解説しています。
クーリング期間の運用で注意すべきポイント

ここまでクーリング期間の仕組みと例外パターンを解説してきましたが、制度を理解しているだけでは不十分です。
実際の運用では、法の趣旨に反する使い方をしてしまい、行政指導や是正勧告の対象になるケースがあります。
クーリング期間をめぐるトラブルの多くは「知らなかった」ではなく「大丈夫だと思っていた」から発生します。
ここでは、実務でとくに注意すべき4つのポイントを確認しておきましょう。
クーリング期間の繰り返しによる「延長回避」は法の趣旨に反する
クーリング期間を設ければ期間制限はリセットされますが、意見聴取の手続きを回避する目的で繰り返し使うことは、派遣法の趣旨に反するとされています。
前述のとおり、クーリング期間は派遣関係が途切れたかどうかの線引きであり、意見聴取の手続きを回避するための手段ではありません。
抵触日が近づいた場合は、意見聴取による延長手続きを行うか、直接雇用への切替を検討するのが制度の想定する流れです。
これを行わずにクーリング期間だけで対応を繰り返していると、実態として常用的な派遣利用と判断される可能性があります。
派遣先指針においても、延長手続きの回避を目的としてクーリング期間後に再び派遣を受け入れることは、法の趣旨に反すると明記されています(参考:厚生労働省『労働者派遣事業関係業務取扱要領』)。
クーリング期間中だけの直接雇用は認められない
クーリング期間中に、それまで就業していた派遣スタッフを派遣先が直接雇用し、期間が明けたら再び派遣に戻すという運用も不適切です。
そもそも派遣法では、派遣先を離職した労働者を離職後1年以内に同じ派遣先へ派遣することが原則として禁止されています。
クーリング期間中の直接雇用は、この規定に加え、期間制限の趣旨を形骸化させる行為とも見なされます。
直接雇用に切り替えるのであれば、あくまで継続的な雇用を前提とした判断であるべきです。
期間制限をリセットして派遣契約を続けるのか、直接雇用に本格的に切り替えるのか、どちらかの方針を明確に決めたうえで手続きを進める必要があります。
クーリング期間中の派遣スタッフの雇用と社会保険
クーリング期間に入ると、派遣先との間で派遣スタッフが就業することはなくなります。
このとき、派遣会社とスタッフの間の雇用契約がどうなるかは、契約形態によって異なります。
有期雇用契約の場合、派遣先での就業終了にともなって雇用契約も更新されないケースが多く、その場合は給与の支払いや社会保険の資格も終了します。
スタッフにとっては収入が途絶える期間が生じるため、事前の説明と対応が欠かせません。
一方、派遣会社との雇用契約が継続している場合は、クーリング期間中であっても社会保険の対象になります。
別の派遣先への紹介が可能な場合もあるため、スタッフの状況に応じた対応が求められます。
派遣法30条では、一定の要件を満たす派遣スタッフに対して、派遣会社が雇用安定措置(派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、教育訓練など)を講じることが義務または努力義務とされています。
クーリング期間に入るスタッフがいる場合は、この義務に沿った対応を行うことが必要です。
抵触日の通知漏れに注意
クーリング期間を正しく管理するには、抵触日の把握が前提になります。
そもそも抵触日を正しく把握できていなければ、クーリング期間の計算も成り立ちません。
派遣先は、派遣契約を締結する際に、事業所単位の抵触日を派遣会社に対して書面またはメールで通知する義務があります。
通知項目は事業所名・所在地・抵触日の3点です。
この通知がなければ、派遣会社は新たな労働者派遣契約を締結できず、法令違反につながるおそれがあります。
複数の派遣会社からスタッフを受け入れている場合、事業所単位の抵触日はすべての派遣会社に共通で適用されます。
通知漏れが1社でもあると、その派遣会社との間で適法な契約締結ができなくなるリスクがあります。
なお、抵触日の通知・管理の詳しい手順については、以下の記事で解説しています。
抵触日が近づいたときの4つの選択肢

抵触日を迎えた後も派遣スタッフの受け入れを続けたい場合、取りうる対応はクーリング期間だけではありません。
派遣会社・派遣先それぞれの立場で、大きく4つの選択肢があります。
どの選択肢にもメリットとリスクがあり、「これが正解」と一概には言えません。
自社の状況やスタッフの意向に合わせて、抵触日の3ヶ月前までには方針を固めておくのが実務上の目安です。
①意見聴取による派遣期間の延長
事業所単位の期間制限であれば、意見聴取の手続きを行うことで延長が可能です。
抵触日の1ヶ月前までに、派遣先の事業所の過半数労働組合、または過半数代表者に対して書面で意見を聴取します。
延長回数に上限はなく、手続きを適切に行えば繰り返し延長できます。
ただし、毎回の手続きにおいて意見聴取の記録を残し、3年間保存する義務があります。
継続的に派遣スタッフが必要な事業所であれば、この方法が最も現実的な対応です。
一方で、個人単位の期間制限は意見聴取では延長できないため、「事業所は延長したが、特定のスタッフは抵触日を迎える」というケースも起こりえます。
両方の期限を合わせて管理する必要がある点に注意してください。
②クーリング期間を設けて再度受け入れる
事業所単位・個人単位いずれの期間制限も、3ヶ月と1日以上のクーリング期間を設ければリセットされます。
ただし、前のセクションで解説したとおり、意見聴取の手続きを避ける目的で繰り返しクーリング期間を使う運用は、法の趣旨に反するとされています。
また、空白期間中は派遣スタッフが不在になるため、業務の引き継ぎや人員配置の調整も必要になります。
「一時的に派遣の受け入れを終了し、体制を見直したうえで再開する」という本来の意味合いに沿った使い方であれば、正当な選択肢になりえます。
③派遣スタッフの直接雇用への切替
派遣スタッフを派遣先の正社員・契約社員・パートなどとして直接雇用に切り替える方法です。
期間制限そのものが関係なくなるため、制度上の制約を受けずに継続して働いてもらうことができます。
派遣会社にとっては、派遣法30条の雇用安定措置の一環として、派遣先への直接雇用の依頼を行うケースもあります。
スタッフ本人のキャリア希望を踏まえたうえで、派遣先と連携して進めることが求められます。
なお、派遣会社との契約内容によっては紹介手数料が発生する場合があるため、事前に確認しておくとスムーズです。
④無期雇用派遣への切替
派遣会社との雇用契約を有期から無期に切り替えることで、そのスタッフは期間制限の対象外になります。
同じ事業所・同じ組織単位で3年を超えて就業を続けることが可能です。
派遣会社にとっては、自社で無期雇用するかどうかの判断になるため、スタッフのスキルや就業実績、今後の派遣先の見込みなどを総合的に検討する必要があります。
スタッフ側にとっては雇用が安定するメリットがありますが、派遣会社側には雇用責任が重くなるため、双方の合意が前提です。
クーリング期間に関するよくある質問
Q:クーリング期間は「3ヶ月」ですか?「3ヶ月と1日」ですか?
正確には「3ヶ月超」です。3ヶ月ちょうどではリセットされません。実務上は3ヶ月と1日以上の空白が必要です。
暦日で数えるため、営業日ではなく休日を含めた日数でカウントしてください。
Q:クーリング期間中、派遣スタッフは別の派遣先で働けますか?
派遣会社との雇用契約が継続していれば、別の派遣先を紹介してもらうことは可能です。
ただし、クーリング期間に入るタイミングで雇用契約が更新されないケースもあるため、スタッフの雇用状況に応じた対応が必要です。
派遣会社としては、派遣法30条の雇用安定措置に沿って、新たな派遣先の提供などを検討することになります。
Q:意見聴取による延長とクーリング期間、どちらを選ぶべきですか?
継続的に派遣スタッフが必要な状況であれば、意見聴取による延長が原則です。
クーリング期間を選ぶと3ヶ月以上の人員不在が発生し、業務に支障が出る場合があります。
一方で、派遣の受け入れ体制そのものを見直したい場合や、一度リセットしたうえで再開したい場合は、クーリング期間が選択肢になりえます。
どちらが適切かは事業所の状況やスタッフの意向によって変わるため、早めに関係者間で方針を共有しておくことが大切です。
Q:クーリング期間中に同じ派遣先で別の部署に異動することはできますか?
クーリング期間は「人×組織単位(課やグループ)」の組み合わせに対してかかるものです。
そのため、同じ派遣先であっても、法令上別の組織単位と認められる部署に異動する場合は、クーリング期間を待たずに新たな3年のカウントで就業を開始できます。
単に課名を変更しただけで実態が同じ場合は、別の組織単位とは認められない可能性があるため注意が必要です。
Q:クーリング期間は派遣先と派遣会社のどちらが管理するものですか?
両方が関わりますが、役割が異なります。事業所単位の抵触日は派遣先が管理し、派遣会社に通知する義務があります。
個人単位の抵触日は派遣会社が管理し、スタッフに明示する義務があります。
クーリング期間を設けるかどうかの判断は、双方が協議して決めるものです。
派遣会社を変更すれば3年のカウントはリセットされますか?
個人単位の期間制限は、派遣会社が変わってもリセットされません。
「Aさん×営業課」という組み合わせに対してかかる制限のため、別の派遣会社を通じて同じ組織単位に派遣されても、通算でカウントされます。
一方、事業所単位の期間制限も同様に、どの派遣会社から受け入れていても通算されます。
クーリング期間は「使うもの」ではなく「理解して備えるもの」——まとめ
クーリング期間は、制度上は期間制限をリセットできる仕組みですが、「とりあえず3ヶ月空ければ大丈夫」という運用を前提にすべきものではありません。
本記事の内容を振り返ると、押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
- クーリング期間は「3ヶ月超(3ヶ月と1日以上)」の空白期間で、事業所単位・個人単位のどちらにも適用される
- 「3ヶ月」は派遣法、「6ヶ月」は労働契約法と、根拠法の異なる2つのクーリング期間が存在する
- 無期雇用派遣や60歳以上など、そもそも期間制限がかからない例外パターンがある
- 意見聴取の回避を目的としたクーリング期間の繰り返しや、空白期間中だけの直接雇用は法の趣旨に反する
- 抵触日が近づいたら、意見聴取による延長・クーリング期間・直接雇用・無期雇用派遣の4つの選択肢を早めに比較検討する
クーリング期間の仕組みを正しく理解しておくことで、いざ抵触日が近づいたときに慌てず、法令に沿った判断ができるようになります。
こうした期限管理の負担を減らしたい場合は、派遣スタッフの情報を一元管理できる採用管理システムの導入も選択肢の一つです。
ゼクウの採用管理システム「RPM」は、派遣会社やコールセンター大手を中心に多くの導入実績があり、スタッフの契約情報やステータスを一元管理することで、抵触日の把握や対応漏れの防止に役立ちます。
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