
派遣社員のタイムカードとは?書き方・承認フロー・保管期間をわかりやすく解説
派遣社員のタイムカードは、派遣スタッフの始業時刻・終業時刻・休憩時間を記録し、給与計算と派遣先への請求の根拠になる書類です。
派遣スタッフの勤怠は、記録する人と承認する人、集計する人が別々の会社に分かれます。そのため月末になると、未提出の督促や承認待ちの確認に時間を取られ、転記の誤りが給与と請求の両方に響くこともあります。
本記事では、採用管理システム「RPM」を提供する株式会社ゼクウが、派遣社員のタイムカードの書き方と運用ルールを、法令上の根拠とあわせて解説します。
通常勤務・残業・有給休暇それぞれの記入例から、派遣先の承認を経て派遣元が回収するまでの流れ、保管義務と保存期間の数え方まで整理していますので、自社の運用の見直しにお役立てください。
- 派遣社員のタイムカードに記入する項目と、通常勤務・残業・有給休暇それぞれの記入例
- 派遣元と派遣先の役割分担、記入から承認・回収までの実務フロー
- 労働基準法上の保管義務と保存期間の起算日、紙管理の課題とシステム化による改善
目次[非表示]
- ・派遣社員のタイムカードとは労働時間を記録する書類
- ・派遣社員のタイムカードは誰が管理して誰が承認するのか
- ・派遣社員のタイムカードによる労働時間の記録方法
- ・派遣社員のタイムカードに記入する項目
- ・派遣社員のタイムカードの書き方(記入例)
- ・タイムカードの記入から承認・回収までの流れ
- ・派遣社員のタイムカードを記録するときの注意点
- ・指揮命令下に入った時刻から労働時間として記録する
- ・日々の労働時間を切り捨てず実態どおりに記録する
- ・電車遅延など想定外の勤務は派遣元のルールに従って処理する
- ・記入ミスは履歴が残る方法で修正する
- ・改ざんや虚偽の申告は未払い賃金や法令違反につながる
- ・派遣社員のタイムカードの保管義務と保存期間
- ・労働基準法では原則5年(当分の間は3年)の保存が必要
- ・保存期間の起算日は書類が完結した日
- ・労働安全衛生法でも労働時間の状況の記録を3年間保存する
- ・タイムカードは管理台帳の記録と派遣元への通知の基礎になる
- ・紙のタイムカード管理で起こる課題とシステム化による改善
- ・派遣社員のタイムカードに関するよくある質問
- ・派遣先の承認者が不在で締め日に間に合わない場合はどうすればよいですか
- ・派遣社員のタイムカードを紛失した場合はどうすればよいですか
- ・タイムカードの様式は派遣元が指定したものを使う必要がありますか
- ・タイムカードを電子データだけで保存しても問題ありませんか
- ・【まとめ】派遣社員のタイムカードは給与計算と法令対応を支える記録
派遣社員のタイムカードとは労働時間を記録する書類

派遣社員のタイムカードは、日々の労働時間を記録し、給与と請求の根拠になる書類です。直接雇用の出勤簿と違い、記録する人と内容を確認する人、集計する人が別々の会社に分かれる点に特徴があります。
タイムカードは給与計算と派遣料金の請求の根拠になる
派遣社員のタイムカードには、始業時刻・終業時刻・休憩時間を日ごとに記録します。派遣会社によってはタイムシートや勤務票と呼びますが、記録する内容は同じです。
この記録は、派遣元がスタッフへ支払う給与と、派遣先へ請求する派遣料金という2つの計算根拠を兼ねます。
そのため、記録の誤りは片方だけでは済みません。実際より短く記録すれば未払い賃金につながるおそれがあり、長く記録すれば派遣先への過大請求になります。
労働基準法と施行規則は、賃金台帳に労働日数、労働時間数、延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数を労働者ごとに記入するよう使用者に求めています。タイムカードは、その記入内容を裏づける記録にあたります。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
派遣は記録する人と承認する人が別の会社に分かれる
派遣スタッフは、派遣元と雇用契約を結び、日々の業務指示は派遣先から受けます。
雇用主と派遣先が異なる二重構造があるため、タイムカードは本人が記録し、派遣先が内容を確認して承認し、派遣元が回収して集計するという三者の手順を踏みます。
直接雇用であれば、記録から承認、給与計算までを同じ会社の中で完結できます。派遣では途中に会社をまたぐ受け渡しが入る分、承認待ちや未着が生じやすくなります。
どの工程で止まっているのかがわからないと、締め日の督促が手当たり次第になります。誰が何を担うのかを先に整理しておくことが、遅延を防ぐ前提になります。
派遣社員のタイムカードは誰が管理して誰が承認するのか
派遣社員の労働時間は、派遣元と派遣先が分担して管理します。労働基準法は原則として雇用主である派遣元に適用されますが、労働時間や休憩、休日の規定は労働者派遣法の特例によって派遣先に適用されます。
主な項目の分担は次のとおりです。
項目 | 担当 | 主な根拠 |
|---|---|---|
日々の始業・終業時刻と休憩時間の把握 | 派遣先 | 労働基準法第32条・第34条(労働者派遣法第44条第2項により派遣先へ適用) |
勤務実績の確認と承認 | 派遣先 | 上記の把握義務にひもづく実務 |
36協定の締結と労働基準監督署への届出 | 派遣元 | 労働基準法第36条(同特例により派遣元の事業場で締結) |
賃金と割増賃金の計算・支払い | 派遣元 | 労働基準法第24条・第37条 |
年次有給休暇の付与と管理 | 派遣元 | 労働基準法第39条 |
記録の保存 | 派遣元 | 労働基準法第109条 |
※出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
※出典:東京労働局「派遣労働者と労働基準法等の適用について」
派遣先は日々の労働時間を把握して勤務実績を承認する
派遣先が担うのは、現場に居合わせなければ確認できない部分です。
派遣スタッフの始業・終業時刻と休憩時間を日々把握し、記録するのは派遣先の役割です。
把握した内容は、締め日に指揮命令者が確認して実績として確定させます。指示したとおりの残業時間になっているか、遅刻や早退の記録に漏れがないかが、その確認の対象です。
内容を確かめずに押印すると、後から食い違いが見つかったときに実態を復元しにくくなります。派遣先にとっても、承認は形式的な作業ではありません。
派遣元は雇用主として給与計算と時間外労働の枠組みを管理する
派遣元は雇用主として、賃金の計算と支払い、年次有給休暇の管理、記録の保存を担います。
時間外労働や休日労働の上限を決める36協定を締結して労働基準監督署へ届け出るのも、派遣先ではなく派遣元です。
つまり、残業を指示するのは派遣先ですが、どこまで残業させられるかという枠は派遣元の協定で決まります。派遣元は回収したタイムカードをもとに、協定の範囲に収まっているかを月次で確認します。
上限の超過に気づくのが翌月になってからでは、その月についてできることは限られます。締め日を待たず、月の途中で時間外労働の累計を確認できる状態にしておきましょう。
派遣スタッフ本人は実態どおりに記録して期日までに提出する
記録の起点は本人です。派遣先が把握する労働時間も、派遣元が計算する賃金も、本人が残した記録を出発点にしています。
実務上、本人は実際に働いた時間をその日のうちに記録し、派遣元が定めた期日までに提出します。
ただし、記録の正確さを本人の心がけだけに委ねる運用には無理があります。派遣先の指揮命令者による確認と、派遣元での突き合わせがあって、はじめて実績が固まります。
就業を開始する時点で、記録の方法と提出期日、判断に迷ったときの相談先を本人へ説明しておきましょう。
派遣元と派遣先の役割分担を、勤怠管理全体の視点から整理した記事もご参考ください。
派遣社員のタイムカードによる労働時間の記録方法
労働時間の記録方法には、厚生労働省のガイドラインが原則を示しています。派遣の現場では、派遣先の設備で打刻する場合と派遣元のシステムに入力する場合があり、どちらを正とするかで運用が変わります。
タイムカードやICカードなど客観的な記録が原則
厚生労働省のガイドラインは、始業・終業時刻を確認して記録する方法として、次のいずれかを原則としています。
- 使用者が自ら現認することにより確認し、適正に記録する
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する
タイムカードは、この客観的な記録の代表例としてガイドラインに明記されている方法です。
打刻の手段は、紙のカードとタイムレコーダーに限りません。入退館用のICカード、パソコンのログイン記録、スマートフォンからのクラウド打刻も同じ考え方に含まれます。
客観的な記録がある状態は、後から労働時間を問われたときに実態を示せる状態でもあります。記録がなければ、本人の記憶と現場の記憶を突き合わせるほかありません。
※出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
自己申告制で記録する場合に必要な措置
派遣元が用意したWebの勤怠画面に、スタッフ本人が始業・終業時刻を入力する方法は自己申告制にあたります。派遣先の打刻設備を使えない場合や、直行直帰の多い職種で選ばれます。
同じWeb画面でも、出退勤の操作をした時刻がそのまま記録される仕組みであれば、客観的な記録として扱えます。
ガイドラインは、客観的な記録によらず自己申告制で記録せざるを得ない場合に、次の措置を講じるよう求めています。
- 対象となる労働者へ、労働時間の実態を正しく記録し適正に申告することを十分に説明する
- 実際に労働時間を管理する者へも、講じるべき措置を十分に説明する
- 申告された時間が実際の労働時間と合っているかを、必要に応じて実態調査し補正する
- 入退場記録などからわかる事業場内にいた時間と申告時間に著しい乖離があるときは、実態調査して補正する
- 自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を妨げる措置を講じない
自己申告制そのものが認められないわけではなく、これらの措置とあわせて運用することが前提になります。
派遣先の入退館記録と申告時間が大きく離れているのに放置していれば、措置を欠いた運用と見られかねません。乖離が出たときの確認手順を、あらかじめ派遣先と決めておきます。
派遣先と派遣元で記録の方法が分かれるときの擦り合わせ
派遣先の入退館システムで打刻しつつ、派遣元のタイムシートにも記入する二重の記録は、実務でよく見られます。
問題になるのは、2つの記録に差が出たときです。どちらを実績の根拠にするのかを決めていないと、締め日ごとに現場で判断が分かれます。
派遣先の設備が示すのは入退館の時刻であり、業務の開始・終了と一致するとは限りません。労働時間として扱う範囲は、就業条件を詰める時点で派遣先と確認しておきます。
記録方法が派遣先ごとにばらつくと、派遣元側の集計はその数だけ手順が増えます。標準の記録方法を決め、例外を認める場合は理由と手順を残しておきましょう。
派遣社員のタイムカードに記入する項目
タイムカードの様式は派遣元ごとに異なりますが、記入する項目は共通しています。実労働時間を算出する基本項目、割増賃金の計算にかかわる勤務時間の区分、給与の控除や支給にかかわる勤怠の区分の3つです。
始業時刻・終業時刻・休憩時間は毎日記録する
記録の基本は、始業時刻、終業時刻、休憩時間の3点です。いつ業務を始め、いつ終えて、その間に何分の休憩を取ったかを毎日記録します。この3つの数字から、その日の実労働時間が決まります。
注意が要るのは休憩時間です。労働基準法は、休憩時間を自由に利用させることを使用者に義務づけています。
所定の休憩時間中であっても、電話番や来客対応を命じられていて業務から離れられない状態であれば、労働から解放されているとはいえません。こうした手待時間は、労働時間として扱う必要があります。
形だけ1時間の休憩と記録しながら実際には対応していた、という運用は未払い賃金につながります。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
※出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
時間外労働・深夜労働・休日労働は区分して記録する
所定労働時間を超えた時間と、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間は、通常の労働時間と分けて記録します。
割増率が区分ごとに異なるため、合算したままでは正しい賃金を計算できません。
労働基準法と政令では、時間外労働は2割5分以上、休日労働は3割5分以上、深夜労働(午後10時から午前5時まで)は2割5分以上の割増率が定められています。1か月の時間外労働が60時間を超えた部分は5割以上です。
深夜の時間帯に及ぶ残業では、時間外労働と深夜労働が重なります。どちらか一方だけの記録では計算が合いません。
区分した記録は、派遣元が36協定の上限を確認する材料にもなります。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令」
遅刻・早退・欠勤・有給休暇は派遣元の様式に従って区分する
出勤した日だけでなく、休んだ日や遅れた日も区分して記録します。給与を控除するかどうかが、この区分で決まるためです。
有給休暇として処理するのか欠勤として処理するのかを取り違えると、そのまま賃金の過不足になります。
年次有給休暇を取得した日の賃金は、平均賃金か、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金のいずれかを就業規則等で定めて支払います。労使協定を結んだ場合は、健康保険法の標準報酬月額の30分の1に相当する金額によることもできます。何時間分として計上するかは、派遣元の定めによります。
半日単位や時間単位の取得を認めているかどうかも、派遣元ごとに違います。現場の判断で処理せず、派遣元の様式と規定に沿って区分を選びます。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
派遣社員のタイムカードの書き方(記入例)

記入で迷いやすい3つの場面について、具体的な書き方を示します。いずれも所定労働時間を9時から18時、休憩を1時間とした場合の例です。
通常勤務日の記入例
残業も遅刻もなく、契約どおりの時間で就業した日の書き方です。
始業・終業・休憩をそのまま記録し、実労働時間が所定労働時間と一致することを確認します。
休憩の書き方は様式によって異なります。12:00〜13:00と時間帯で書く様式もあれば、60分と分数で書く様式もあるため、指定された欄の形式に合わせます。
- 始業:9:00
- 終業:18:00
- 休憩:1:00(または60分)
- 実労働時間:8:00
- 残業時間:0:00
- 備考:(空欄)
残業が発生した日の記入例
定時を過ぎて19時30分まで働いた日の書き方です。
超過した1時間30分を残業の欄に分けて記入することで、割増賃金の対象であることが記録に残ります。
残業は、派遣先の指揮命令者の指示に基づいて行うのが原則です。備考欄に理由を簡潔に書く運用にしておくと、後から指示の有無をたどれます。
- 始業:9:00
- 終業:19:30
- 休憩:1:00
- 実労働時間:9:30
- 残業時間:1:30
- 備考:業務対応のため残業
有給休暇を取得した日の記入例
事前に申請して年次有給休暇を取得した日の書き方です。時刻の欄は空欄または斜線とし、区分欄や備考欄に有給休暇と明記します。
区分を明記しないまま空欄で提出すると、欠勤として処理され賃金が控除されるおそれがあります。
体調不良などによる急な欠勤も、無断欠勤と区別できるよう、派遣元が定める事後申請の手順に沿って備考欄へ理由を残します。
- 始業:(空欄)
- 終業:(空欄)
- 休憩:(空欄)
- 実労働時間:0:00
- 残業時間:0:00
- 備考:有給休暇
タイムカードの記入から承認・回収までの流れ

タイムカードは、本人の記録、派遣先の承認、派遣元の回収という3つの工程を経て確定します。どの工程で止まりやすいかを踏まえて期日を組みます。
派遣スタッフが日々の勤務時間を記録する
本人が退勤時に、その日の記録をつけます。
締め日にまとめて記入する運用は、記憶に頼る分だけ実態から離れます。
残業時間を多めに書いてしまう申告も、遠慮して短く書く申告も起こり得ます。どちらの場合も、後から実態を確認する手間が生じます。
毎日の記録を習慣にするには、記録の手段が本人の手元にあることが前提です。派遣先へ行かないと打刻できない仕組みでは、直行直帰や在宅勤務の日に抜けが出ます。
派遣先の指揮命令者が勤務実績を確認して承認する
締め日になると、派遣先の現場責任者が内容を確認して承認します。
承認者が出張や休暇で不在になると、この工程で止まり、後続の工程が後ろ倒しになります。
代理で決裁できる人を決めていないと、締め日のたびに担当者を探すことになります。派遣契約を結ぶ段階で、承認者と代理者を確認しておきます。
承認の頻度は現場によって異なり、日々押印する運用もあれば、締め日にまとめて確認する運用もあります。いずれの場合も、本人の記録を毎日つけることが前提になります。
派遣元が回収して給与計算と派遣料金の請求に反映する
承認された記録を派遣元が回収し、給与計算と請求処理に反映します。
この回収は、法令上の通知義務と表裏の関係にあります。労働者派遣法は、派遣就業をした日ごとの始業・終業時刻と休憩時間などを、1か月ごとに1回以上、一定の期日を定めて書面の交付等により派遣元へ通知するよう派遣先に義務づけています。
期日を決めず、その都度都合のよいタイミングで送る運用では、この要件を満たせません。
賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないと労働基準法が定めており、支払日は動かせません。回収が遅れた分は、確認作業に使える時間が削られます。締め日から支払日までの日数を数え、各工程に何日使えるのかを先に配分しておきます。
※出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
派遣社員のタイムカードを記録するときの注意点

記録の内容が実態とずれると、未払い賃金や是正指導につながります。厚生労働省が不適切な取り扱いとして挙げている例を踏まえ、注意点を5つ整理します。
指揮命令下に入った時刻から労働時間として記録する
記録するのは、会社の敷地に着いた時刻ではありません。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。
着用を義務づけられた服装への着替えや、業務終了後の清掃などを事業場内で行った時間も、使用者の指示によるものであれば労働時間にあたります。
厚生労働省は、タイムカードの打刻前に着替えや清掃、朝礼を義務づけながら、その時間を労働時間として扱わない運用を、不適切な例として示しています。
現場の慣習として続いている場合、直すべきは本人の記入ではなく運用のほうです。どの時点を記録の起点にするかを、派遣先と確認します。
※出典:厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」
日々の労働時間を切り捨てず実態どおりに記録する
15分未満の残業は記録しない、残業申請は30分単位でしか認めないといった運用は、認められていません。
厚生労働省は、1日ごとに一定時間に満たない労働時間を一律に切り捨てて賃金を支払わないことが労働基準法違反にあたるとしています。
例外として、1か月における時間外労働・休日労働・深夜業のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満を切り捨てて30分以上を1時間に切り上げる処理は、事務簡便を目的としたものとして認められています。
認められるのは月単位の合計に対する処理であって、日々の記録を丸めることではありません。勤怠管理システムの端数処理機能を設定する際は、この違いを確認しましょう。
※出典:厚生労働省「労働時間を適正に把握し正しく賃金を支払いましょう」
電車遅延など想定外の勤務は派遣元のルールに従って処理する
電車の遅延で始業時刻に間に合わなかった場合、遅れた時間は働いていない時間にあたります。働いていない時間に賃金が発生しないことをノーワーク・ノーペイの原則と呼び、その分を控除すること自体は原則に沿った取り扱いです。
ただし、遅延証明書の提出があれば控除しないといった特例を設けているかどうかは、派遣元の就業規則によります。
現場の判断で定時出社として記録すると、実態と異なる記録が残ります。遅れた事実はそのまま記録し、賃金の扱いは派遣元の規定に沿って処理します。
台風や大雪による遅延、当日の早退など、判断に迷う場面は毎月のように起こります。想定される事象と処理方法を一覧にして現場へ配っておくと、問い合わせを減らせます。
記入ミスは履歴が残る方法で修正する
書き間違いを修正テープや修正液で消して書き直すのは避けます。修正前の記録が残らず、後から改ざんと区別できないためです。
訂正する場合は、派遣先の責任者に事実を確認したうえで、誤った箇所に二重線を引いて訂正印をもらうなど、履歴が残る方法をとります。
システムで記録している場合も考え方は同じです。いつ、誰が、どの理由で変更したのかをたどれる状態にしておきます。
訂正の手順を決めていないと、担当者ごとにやり方が変わります。様式の裏面や運用マニュアルに手順を書いておきましょう。
改ざんや虚偽の申告は未払い賃金や法令違反につながる
実態と異なる記録は、意図の有無にかかわらず問題になります。
残業代を増やすために退勤時刻を遅く書くケースは、その一例です。「今月は予算がないので残業分は来月に回してほしい」と派遣先から求められる、いわゆる付け回しも実態と異なる記録にあたります。
付け回しは本人の意思によるものではありませんが、記録上は同じく実態からずれた状態です。派遣元が気づかないまま処理すれば、未払い賃金として積み上がります。
賃金台帳に必要な事項を記入していない場合や、故意に虚偽の労働時間数を記入した場合は、労働基準法に基づき30万円以下の罰金に処されます。
派遣先から不適切な依頼を受けたときの相談先を、就業開始時に本人へ伝えておきましょう。相談が上がる経路がなければ、現場のなかで処理されてしまいます。
※出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
派遣社員のタイムカードの保管義務と保存期間

記録したタイムカードは、集計が終わったら処分してよいものではありません。労働基準法と労働者派遣法の双方に、保存に関する定めがあります。
労働基準法では原則5年(当分の間は3年)の保存が必要
労働基準法は、労働者名簿、賃金台帳、雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存するよう使用者に義務づけています。
出勤簿やタイムカードは、この労働関係に関する重要な書類にあたります。労働時間の記録に関する書類は保存の対象になると、厚生労働省も示しています。
ただし附則により、当分の間は、経過措置として3年間の保存義務が適用されています。
この保存義務を負うのは、雇用主である派遣元です。労働者派遣法が派遣先へ適用する労働基準法の規定に、記録の保存は含まれていません。
保存義務に違反した場合は、30万円以下の罰金の対象になります。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
保存期間の起算日は書類が完結した日
保存期間は、書類ごとに数え始める日が決まっています。労働基準法施行規則は、賃金その他労働関係に関する重要な書類について、その完結の日を起算日と定めています。
タイムカードの保存期間は、原則として、その書類の「完結の日」から数えます。
さらに、その記録にかかわる賃金の支払期日が完結の日より後になる場合は、支払期日が起算日になります。月末締めの翌月払いであれば、支払日から数えることになります。
作成した日から数えると、保存すべき期間を1か月ほど短く見積もってしまいます。廃棄の時期を決める前に、起算日を確認しておきましょう。
※出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」
労働安全衛生法でも労働時間の状況の記録を3年間保存する
保存の定めは労働基準法だけではありません。労働安全衛生法は、長時間労働者への面接指導を実施するために、労働時間の状況を把握することを事業者に求めています。
把握の方法として省令が挙げているのは、タイムカードによる記録やパソコン等の使用時間の記録などの客観的な方法です。把握した労働時間の状況の記録は、作成したうえで3年間保存しなければなりません。
派遣スタッフについては、労働者派遣法がこの規定を派遣先にも適用すると定めています。ただし面接指導そのものを行うのは雇用主である派遣元で、派遣先は派遣元が面接指導を実施できるように労働時間の状況を把握する立場です。
労働基準法上の保存義務は派遣元にあり、労働安全衛生法上の記録の保存は派遣先にも及びます。派遣先から保存の要否を問われたときに労働基準法の規定だけで答えると、実態と食い違う説明になります。
※出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
※出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」
※出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
タイムカードは管理台帳の記録と派遣元への通知の基礎になる
労働者派遣法は、派遣元と派遣先の双方に管理台帳の作成と3年間の保存を義務づけています。
記載する内容は同じではありません。派遣元管理台帳には、労働者派遣をするにあたって始業及び終業の時刻を記載します。派遣先からの通知でその記載と異なる内容が判明したときは、通知のたびに記載し直す必要があります。
一方、派遣先管理台帳に記載するのは、派遣就業をした日ごとに始業した時刻と終業した時刻、そして休憩した時間です。つまり実績そのものにあたります。
どちらの台帳も、保存期間の起算日は労働者派遣の終了の日です。
派遣元管理台帳の記載事項と運用は、次の記事にまとめています。
実務では、承認されたタイムカードの内容を管理台帳や派遣元への通知の基礎資料として利用できます。ただし、台帳に必要な項目がタイムカードにすべて含まれているとは限らないため、必要事項を確認しておきましょう。
※出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
※出典:e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」
紙のタイムカード管理で起こる課題とシステム化による改善
紙やExcelを前提とした運用は、稼働するスタッフが増えるほど確認の手間が積み上がります。派遣元の実務で起こりやすい課題と、システム化による改善の方向を整理します。
回収遅れと未提出が給与計算や請求を止める
FAXや郵送でタイムカードを回収していると、誰が提出済みで誰が未提出かを手作業で追う必要があります。
提出状況がわからないと督促の初動が遅れ、締め日を過ぎてから未着が判明することになります。
データが確定しなければ給与計算に進めません。遅れが大きいと、概算で支払って翌月に精算するといった例外対応が必要になる場合もあります。精算の処理は、通常の月次業務に上乗せされます。
派遣先への請求書の発行も同じデータを待ちます。回収の遅れは、支払いと入金の両方に影響します。
月末に営業担当が複数の派遣先を回って紙を集める運用では、本来の営業活動やスタッフのフォローに使う時間も削られます。
手作業の転記が給与計算と請求のミスにつながる
回収した紙の数字を見ながら給与計算ソフトへ入力する作業には、桁の見間違いや入力漏れがついて回ります。
給与システムと請求システムへ別々に入力していれば、同じ数字を二度打ち込むことになり、その分だけ誤りの機会が増えます。
手書きの文字がかすれていたり判読しにくかったりすると、担当者の読み取りに結果が左右されます。
計算の誤りが見つかれば、本人への説明と精算が必要です。金額によっては社会保険料の算定にも影響し、対応の範囲が広がります。
勤怠管理システムで打刻・承認・集計を一元化する
これらの課題は、記録から承認、集計までを同じ仕組みの上で行うことで軽くできます。
スタッフのスマートフォンからの打刻、派遣先担当者のWeb上での承認、派遣元でのデータ集計を一つのシステムでつなげば、紙を運ぶ工程そのものがなくなります。
提出状況が画面上でわかるため、締め日の前に未提出者へ連絡できます。確定したデータをCSV出力やAPI連携で給与計算ソフトへ渡せば、転記の工程も減らせます。
勤怠管理システムの基本的な機能と導入の考え方は、次の記事で解説しています。
ただし、派遣の勤怠には派遣先の承認という工程が入るため、一般の勤怠管理とは流れが異なります。この派遣特有のフローに対応できるかどうかは、製品によって差があります。
派遣スタッフの登録から契約、勤怠、請求までを扱うシステムの種類と選び方は、次の記事で比較しています。
派遣社員のタイムカードに関するよくある質問
タイムカードに関してよくある質問は、締め日前後の例外対応と、様式や保存方法の判断に分かれます。
派遣先の承認者が不在で締め日に間に合わない場合はどうすればよいですか
派遣元の担当者へ連絡し、対応を確認します。
承認が間に合わないときの取り扱いは派遣元ごとに定めがあるため、現場で判断せず先に確認します。締め日を過ぎてから相談するのではなく、不在がわかった時点で連絡すると、給与計算の日程への影響を抑えられます。
なお、派遣先の承認者の不在が毎月のように起きている場合は、その場の対応でしのぐのではなく、代理の決裁者を置く運用に見直す必要があります。
派遣社員のタイムカードを紛失した場合はどうすればよいですか
気づいた時点で派遣元と派遣先の双方へ報告し、記録を復元します。
復元の根拠になるのは、記憶ではなく客観的な記録です。派遣先の入退館記録やパソコンの使用時間の記録、業務日報などを突き合わせ、現場の責任者に確認しながら実績を組み立てます。
復元した内容は、通常と同じように派遣先の承認を受けます。記憶に頼って書き直した数字をそのまま提出することは避けてください。
タイムカードの様式は派遣元が指定したものを使う必要がありますか
法令が特定の様式を定めているわけではありません。始業・終業時刻や休憩時間を確認できる内容であれば、様式が独自であること自体が問題になるわけではありません。
ただし実務上は、派遣元が指定した様式やシステムを使うのが基本になります。給与計算システムへの取り込みや派遣先の承認フローが、その様式を前提に組まれているためです。
現場の都合で独自の様式を使いたい場合は、必要な項目が漏れないかを含めて派遣元へ相談しましょう。
タイムカードを電子データだけで保存しても問題ありませんか
一定の要件を満たせば、電子データでの保存も可能です。
厚生労働省は、労務関係の書類をパソコン上で作成して保存する場合の要件として、次の4点を挙げています。
- 法令で定められた要件を備え、それを画面上に表示し印字できること
- 労働基準監督官の臨検時などに、直ちに必要事項が明らかにされ提出し得るシステムとなっていること
- 誤って消去されないこと
- 長期にわたって保存できること
紙をやめる前に、保存したデータがこれらの要件を満たす形で残るかを確認します。
勤怠管理システムを導入する際は、保存期間中のデータ保持とエクスポートの可否をベンダーへ確認しておくと安心です。
※出典:厚生労働省「労務関係の書類をパソコンで作成して保存したいのですが、可能でしょうか。」
【まとめ】派遣社員のタイムカードは給与計算と法令対応を支える記録
派遣社員のタイムカードを扱ううえで押さえておきたい点は、次の3つです。
- タイムカードやICカードなどの客観的な記録が原則
- 日々の労働時間の把握と勤務実績の承認は派遣先が担い、賃金の計算と記録の保存は派遣元が担う
- 保管ルールは労働基準法では原則5年、当分の間は3年で、起算日は書類が完結した日。管理台帳は労働者派遣の終了の日から3年間
これらは担当者の経験や気配りに頼る部分ではなく、手順と期日として決めておく部分です。属人的な確認に依存したままでは、担当者が替わるたびに精度が揺らぎます。
まずは記録の方法と承認の担当者を派遣契約の中で明確にし、そのうえで回収と保存の手順を見直すと着手しやすいでしょう。
勤怠の精度は、その前段にあたるスタッフ情報の管理にも左右されます。誰がどの派遣先で就業しているのかが最新の状態でわからなければ、タイムカードを回収する対象すら定まりません。
採用管理システム「RPM」は、スタッフのプロフィール・スキル・就業状況をまとめて管理し、案件とのマッチングから帳票の出力までを同じ基盤で扱えます。
400以上の求人媒体と連携し、応募受付から面接予約までをメール・SMS・LINEで自動化できるため、登録から就業までの情報を最新の状態に保てます。
紙を前提とした管理から抜け出すうえで、勤怠の前段にあたるスタッフ情報の基盤を整えるためにご活用ください。
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