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派遣先管理台帳とは?作成義務・記載項目・通知方法をわかりやすく解説

派遣先管理台帳とは、派遣先企業が派遣労働者ごとに作成することを労働者派遣法で義務付けられている法定書類です。作成だけでなく、派遣元への通知と3年間の保管も義務とされています。

作成漏れや記載不備があると、労働局の是正指導の対象となるため、正確な理解と運用が欠かせません。

「いつ、誰の情報を、どこまで詳細に書けばいいのか分からない」
「派遣会社への月次通知を忘れてしまい、後から慌てて対応している」

派遣社員を受け入れる際、企業の人事・労務担当者の負担となりやすく、労働局の監査でも指摘を受けやすいのが「派遣先管理台帳」です。

これは単なる名簿ではなく、派遣スタッフが契約通りの適正な環境で働いているかを客観的に証明するための重要な法定書類です。

この記事を読むとわかること
  • 派遣先管理台帳に記載すべき法定項目、特に監査で指摘されやすい「業務と責任」の書き方

  • 対応漏れやコンプライアンス違反を防ぐための「派遣元への月次通知」と「更新・保管」の運用ルール

  • 「1日だけの派遣でも必要か?」といった現場のよくある疑問への回答

本記事では、派遣先管理台帳の基礎知識から、間違えやすい記載項目、そして「現場で漏れが起きない運用設計のポイント」までを構造的に解説します。

また、派遣会社(派遣元)と派遣先間の煩雑な情報連携をシステム化し、コンプライアンス遵守と業務効率化を両立する採用管理システム(ATS)「RPM」についてもご紹介します。

適正な派遣活用のための実務マニュアルとしてお役立てください。

目次[非表示]

  1. 1.派遣先管理台帳とは何か
    1. 1.1.派遣先が派遣労働者ごとに作成する法定書類である
    2. 1.2.労働者派遣法第42条に基づき「作成・通知・保管」が義務付けられている
    3. 1.3.労働局調査では契約内容と就業実態の整合性確認に用いられる
  2. 2.派遣先管理台帳の作成義務はいつ発生するのか
    1. 2.1.派遣期間の長短に関係なく受入時点で発生する
    2. 2.2.労働者+派遣労働者が5人以下の事業所は例外
    3. 2.3.例外でも実務上は作成しておく方が安全
  3. 3.派遣元管理台帳との違いは何か
    1. 3.1.作成義務者が異なり、双方で管理することが前提となっている
    2. 3.2.記載項目は重なるが、目的と通知義務の有無が異なる
    3. 3.3.派遣元管理台帳の流用はできない
  4. 4.記載項目は何を書けばよいか
    1. 4.1.法定18項目を網羅し、そのうち6項目は派遣元への通知対象となる
    2. 4.2.「業務の種類」は具体的な作業内容まで明示する
    3. 4.3.「業務に伴う責任の程度」は役割・権限・決裁範囲を明確にする
  5. 5.派遣元への通知義務は何をどのように行うのか
    1. 5.1.通知対象は6項目で、月1回以上実施する
    2. 5.2.通知方法は書面・FAX・メール等で記録を残す
    3. 5.3.通知ルールを固定しないと実務上漏れが発生しやすい
  6. 6.保管期間と電子保存のルールは何か
    1. 6.1.保管期間は派遣終了日から3年間である
    2. 6.2.更新契約の場合は最終契約終了日が起算点となる
    3. 6.3.電子保存は可能だが、即時出力できる状態が条件となる
  7. 7.労働局の記入例から見る実務上の注意点
    1. 7.1.政令業務の場合は号番号まで記載する
    2. 7.2.苦情処理は「受付日・内容・顛末」を都度記録する
    3. 7.3.保険未加入の場合は具体的理由を明記する
  8. 8.作成・通知・保管をどう運用設計すべきか
    1. 8.1.契約締結から終了までの更新フローを明確にする
    2. 8.2.月次通知を勤怠締めと連動させる
    3. 8.3.更新契約ごとに保管起算日を管理する
  9. 9.派遣先管理台帳でよくあるミスは何か
    1. 9.1.記載が抽象的で実態と整合しない
    2. 9.2.契約更新後に台帳を更新していない
    3. 9.3.通知実績が記録として残っていない
  10. 10.派遣先管理台帳に関するよくある質問
    1. 10.1.1日だけの派遣でも必要か
    2. 10.2.契約書で代用できるか
    3. 10.3.直接雇用後も保存義務は続くか
  11. 11.まとめ|派遣先管理台帳は法令遵守と運用設計の両立が重要
    1. 11.1.法令遵守だけでなく運用設計まで落とし込むことが重要
    2. 11.2.記入例を基準に具体性を揃えると監査リスクを下げられる

派遣先管理台帳とは何か

はじめに、派遣先管理台帳の法的な位置づけと、作成する本質的な目的を整理します。

派遣先管理台帳の概要と法的義務の3ステップ図

派遣先が派遣労働者ごとに作成する法定書類である

派遣先管理台帳とは、派遣社員を受け入れる企業(派遣先)が、派遣スタッフ一人ひとりについて日々の就業実態を記録・管理するための書類です。

派遣会社(派遣元)が作成する書類とは別に、実際に現場で指揮命令を行って働かせる企業側が、自らの責任において労働環境を把握するために作成・保管する義務があります。

労働者派遣法第42条に基づき「作成・通知・保管」が義務付けられている

この台帳の運用は、労働者派遣法第42条によって厳格に義務付けられています。

具体的には、単に「作成する」だけでなく、記載した就業状況を派遣会社へ「通知する」こと、そして一定期間「保管する」ことの3ステップがセットとなっています。

現場の事務負担になりやすい部分ですが、どれか一つでも欠ければ法令違反として指導の対象となります。

労働局調査では契約内容と就業実態の整合性確認に用いられる

労働局が立ち入り調査を行う際、この台帳はコンプライアンス遵守状況を測る重要なチェック対象となります。

監査官は、「個別契約書」「タイムカード」「派遣先管理台帳」などを突き合わせ、契約内容と実際の就業実態にズレがないか(違法派遣が行われていないか)を厳しく確認します。

そのため、実態と異なる抽象的な記載や、契約書をそのまま丸写ししただけの台帳は、実態を反映していないとみなされ指摘を受ける要因になります。

派遣先管理台帳の作成義務はいつ発生するのか

作成義務が発生するタイミングと、実務で迷いやすい法的な例外ルールについて解説します。

派遣先管理台帳の作成義務発生タイミングと例外

派遣期間の長短に関係なく受入時点で発生する

派遣先管理台帳の作成義務は、派遣社員の受け入れが開始された時点で即座に発生します。

「1週間だけのスポット派遣だから」「1日3時間の時短派遣だから」といった理由で作成を怠るケースが現場では散見されますが、労働者派遣である以上は必ず作成の必要があります。

就業期間の長短によってこの義務が免除されることはありません。

労働者+派遣労働者が5人以下の事業所は例外

法的な例外が一つだけ存在します。

それは、「派遣先の事業所に直接雇用されている労働者」と「受け入れている派遣労働者」の合計人数が『5人以下』の小規模な事業所です。

この条件に該当する場合に限り、事務負担軽減の観点から派遣先管理台帳の作成義務が免除されます。
あくまで「事業所単位」でのカウントとなる点に注意が必要です。

例外でも実務上は作成しておく方が安全

人数要件で免除対象になったとしても、実務上は例外なく全事業所で作成しておく運用ルールに統一することを推奨します。

事業所の人数は従業員の入退社によって常に変動するため、「先月までは5人以下だったが、今月アルバイトを1人雇って6人になり、突然作成義務が発生した」といった事態が容易に起こり得ます。

こうした変動による対応漏れを根本から防ぐためです。

派遣元管理台帳との違いは何か

派遣の実務において混同されやすい、「派遣先管理台帳」と「派遣元管理台帳」の違いを構造的に整理します。

派遣先管理台帳と派遣元管理台帳の違い比較図

作成義務者が異なり、双方で管理することが前提となっている

明確な違いは「誰が作るか」という作成主体にあります。

  • 派遣先管理台帳: 派遣スタッフを受け入れて指揮命令する企業(派遣先)が作成
  • 派遣元管理台帳: 派遣スタッフを雇用して給与を支払う企業(派遣会社)が作成

労働者派遣という複雑な雇用形態において、雇用責任(派遣元)と指揮命令責任(派遣先)が分離しているからこそ、それぞれが正しく責任を果たしているかを証明するために双方での管理が前提となっています。

【関連記事】派遣元管理台帳とは?記載事項・保存期間と実務対応を解説

記載項目は重なるが、目的と通知義務の有無が異なる

両者の台帳の主な違いを表にまとめました。

比較項目

派遣先管理台帳(受け入れ企業)

派遣元管理台帳(派遣会社)

主な目的

現場の就業実態(労働時間・業務内容)の記録

雇用主としての労務管理(社会保険・給与計算)の記録

通知義務

あり

なし

苦情の記録

派遣先で受けた苦情とその処理内容

派遣元で受けた苦情とその処理内容

派遣元管理台帳の流用はできない

記載項目には氏名や派遣期間など重複する部分も多いため、「派遣会社が作成した台帳のコピーをもらって保管すれば事務手間が省ける」と考える担当者もいますが、それは法的に認められていません。

それぞれの台帳は目的が異なり、独自の必須記載項目があるため、必ず自社(派遣先)の責任において作成・管理する必要があります。

記載項目は何を書けばよいか

労働者派遣法施行規則で定められた項目の中で、特に監査で確認されやすく、現場担当者が迷いやすいポイントを解説します。

派遣先管理台帳の記載項目と通知対象6項目

法定18項目を網羅し、そのうち6項目は派遣元への通知対象となる

派遣先管理台帳には、派遣労働者の氏名、派遣元の名称、派遣期間など、労働者派遣法施行規則で定められた法定項目を漏れなく記載する必要があります。

さらに、その中から「実際の労働日数」や「労働時間」などに関する6項目は、派遣元への定期的な通知が義務付けられています

特に実態との整合性が問われる以下の2項目については、より詳細な記述が求められます。

「業務の種類」は具体的な作業内容まで明示する

「事務作業」「軽作業」といった抽象的な表現は不適切とみなされる傾向があります。

「どんな機器やソフトを使って、何を処理するのか」が、業務に精通していない第三者(監査官など)にも分かるレベルで具体的に記載します。

  • × 抽象的な例:「一般事務」
  • 〇 具体的な例:「Word・Excelを用いた見積書・請求書の作成、および電話・来客応対」

「業務に伴う責任の程度」は役割・権限・決裁範囲を明確にする

そのスタッフが現場でどのような権限を持っているかを明記します。これは、正社員との待遇差(同一労働同一賃金)が適正な範囲に収まっているかを労働局が判断するための重要な指標になります。

  • × 抽象的な例:「特になし」「正社員の補助」
  • 〇 具体的な例:「定型的なデータ入力のみで、自らの判断による決裁権限・役職・部下の指導などはなし」

派遣元への通知義務は何をどのように行うのか

派遣先管理台帳を運用する上で、最も実務の負荷がかかり、かつ対応漏れが発生しやすいのが「派遣会社(派遣元)への月次通知業務」です。

派遣元への月次通知義務と通知方法

通知対象は6項目で、月1回以上実施する

派遣先は、自社で把握しているスタッフの就業実態を、1ヶ月に1回以上、一定の期日を定めて派遣会社へ通知する必要があります。派遣会社はこの通知データをもとに、スタッフへの正確な給与計算を行います。

【派遣元への必須通知項目(6項目)】

  1. 派遣労働者の氏名
  2. 実際に就業した日
  3. 実際に就業した日ごとの始業・終業時刻、休憩時間
  4. 安全衛生教育の実施状況
  5. 苦情の申し出を受けた年月日、内容、処理の顛末
  6. 直接雇用しないこととした理由(紹介予定派遣の場合のみ)

通知方法は書面・FAX・メール等で記録を残す

通知方法について法令上、特定の手段が限定されているわけではありません。

書面の郵送、FAX、メールへのファイル添付など、後日確認できる形で客観的な記録が残る方法で行う必要があります。

ただし、FAXや紙ベースでの通知は紛失や記録不備のリスクがあり、後から「送った・送られていない」といったトラブルに発展する可能性があります。

そのため、勤怠管理システムや専用プラットフォームを活用し、送信履歴やデータログが残る形で共有する運用が望ましいといえます。

通知ルールを固定しないと実務上漏れが発生しやすい

「今月はメールで送った」「先月はFAXだった」「担当者が休んでいて期日に遅れた」というように、通知のフローが属人化していると、必ず通知漏れや期日遅れが発生します。

「毎月〇営業日までに、〇〇システムからCSVを出力し、所定のフォーマットでメール送信する」といった明確な業務ルールを固定化することが、運用を安定させる最大のポイントです。

保管期間と電子保存のルールは何か

作成した台帳は、法令で定められた期間、適切に保存していつでも確認できる状態にしておく義務があります。

保管期間と電子保存の条件

保管期間は派遣終了日から3年間である

派遣先管理台帳の保存期間は、「その派遣労働者の派遣就業が終了した日から3年間」と定められています。

作成日や就業開始日から3年ではない点に注意が必要です。起算点を間違えると、保管義務違反となるリスクがあります。

更新契約の場合は最終契約終了日が起算点となる

同じ派遣スタッフとの契約を3ヶ月ごとに何度も更新している場合は、「すべての更新が終わり、最終的に派遣契約が終了した日」を起算点として、そこから3年間保存します。

更新のたびに古い台帳データを「過去のもの」として削除してしまわないよう注意してください。

電子保存は可能だが、即時出力できる状態が条件となる

紙のバインダーで保管する必要はなく、ExcelやPDF、クラウドシステムなどによる電子データでの保存も広く認められています。

ただし、労働局の監査が入った際などに、「求めに応じてパソコンの画面に速やかに表示できること」、および「直ちに書面(紙)として印刷できる状態にしておくこと」が条件となります。

パスワード紛失などで閲覧できない状態はNGです。

労働局の記入例から見る実務上の注意点

厚生労働省(労働局)が公開している記入例をベースに、実務上よくある記載不備の例と正しい書き方を解説します。

政令業務の場合は号番号まで記載する

期間制限の例外となる専門的な業務(いわゆる政令で定める業務)などに該当する場合は、単に業務名を書くだけでは不十分です。

それが労働者派遣法施行令第〇条第〇号に該当するのか、その「号番号」まで正確に記載する必要があります。例外規定を適用する根拠を明確に示すためです。

期間制限の例外や、前提となる「3年ルール」「抵触日」の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】派遣の抵触日とは?3年ルールの計算・通知義務・延長手続きを完全解説

苦情処理は「受付日・内容・顛末」を都度記録する

スタッフから「残業が契約より多い」「職場の人間関係で悩んでいる」といった苦情を受けた場合、必ず台帳に記録を残します。

「苦情あり」とだけ書くのではなく、「いつ苦情を受けたか(受付日)」「どんな内容か」「誰がどのように対応し、派遣元とどう連携して解決したか」の3点をセットで詳細に記録することが求められます。

保険未加入の場合は具体的理由を明記する

派遣元から送られてくる通知書(就業条件明示書など)に、そのスタッフが社会保険や雇用保険に「未加入」と記載されていた場合、派遣先管理台帳にもその理由を書き写す必要があります。

「未加入」という事実だけでなく、「週の所定労働時間が20時間未満であるため」など、法的に未加入である具体的な正当理由が記載されていなければなりません。

作成・通知・保管をどう運用設計すべきか

派遣先管理台帳の管理において重要なのは、法律を理解した上で、「現場の担当者が無理なく確実に回せる運用ルール」を構造的に設計することです。

作成・通知・保管の運用設計フロー図

契約締結から終了までの更新フローを明確にする

台帳は「最初に受け入れた時に作って終わり」ではありません。

  • 契約更新で派遣期間が延びたとき
  • 派遣元の責任者や、自社の指揮命令者が変更になったとき
  • 派遣スタッフから苦情の申し出があったとき

このような変更が生じたタイミングで、誰が責任を持って台帳情報をアップデートするのかの社内フローを明確にしておく必要があります。

月次通知を勤怠締めと連動させる

月1回の派遣元への通知義務を忘れないための確実な方法は、自社の「勤怠の締め作業」のプロセスに、派遣元への通知作業を組み込むことです。

自社社員の給与計算用データを確定させると同時に、派遣会社への通知データも出力して自動送信するフローを作れば、担当者の負担を増やさずに通知漏れを防ぐことができます。

更新契約ごとに保管起算日を管理する

3年間の保管期間を正確に管理するため、台帳のデータファイルには、「最終就業終了日:202X年〇月〇日(保管期限:202X年〇月〇日)」と、廃棄可能な日付を明記しておくルールにすると、数年後の担当者が見ても迷わず、管理負担が大幅に軽減されます。

派遣先管理台帳でよくあるミスは何か

監査の現場で実際に指摘を受けやすい、実務上の典型的なミスを3つ紹介します。自社の運用と照らし合わせて確認してください。

記載が抽象的で実態と整合しない

「業務の種類:一般事務」「責任の程度:特になし」といった抽象的な記載は、「実態を詳細に記載するように」と指導を受けやすい代表的な項目です。

個別契約書の文言と、現場での実際の作業内容に齟齬がないか、定期的に棚卸しを行うことが有効な対策となります。

契約更新後に台帳を更新していない

初回受け入れ時に作成したきり、2回目、3回目の契約更新が行われて派遣期間が延長されているのに、台帳の「派遣期間」の項目が古いまま放置されているケースが多く見られます。

契約更新書類の作成と台帳のアップデートは、必ずセットで行う業務として定義しましょう。

通知実績が記録として残っていない

「毎月、派遣会社の営業担当者に口頭で労働時間を伝えている」「タイムカードのコピーを手渡ししている」という状態では、監査の際に「通知義務を果たしたことの客観的な証明(証跡)」ができません。

必ず、送信済みのメール履歴を残す、あるいは受領印を押してもらった通知書の控えを保管するなど、第三者から見てわかる記録を残す必要があります。

派遣先管理台帳に関するよくある質問

現場の実務担当者からよく寄せられる疑問について回答します。ルールを正しく理解し、迷いをなくしましょう。

1日だけの派遣でも必要か

必要です。

単発のスポット派遣や日雇派遣であっても、労働者派遣法に基づく受け入れである以上、派遣先管理台帳の作成・通知・保管義務は発生します。短期アルバイトと混同して作成を怠らないよう注意が必要です。

契約書で代用できるか

完全な代用はできません。

個別契約書等の内容をコピーして台帳の一部として利用することは可能ですが、契約書には「実際の労働時間」や「苦情の処理内容」といった、事後的に発生する就業実態の項目が含まれていません。

そのため、契約書とは別に、実績を記録するための台帳が必ず必要になります。

直接雇用後も保存義務は続くか

続きます。

派遣スタッフを自社の正社員や契約社員として直接雇用に切り替えた場合でも、それまでの「派遣として就業していた期間」に関する派遣先管理台帳は、派遣終了日から3年間は保存しなければなりません。

直接雇用したからといって過去の記録を破棄してはいけません。

まとめ|派遣先管理台帳は法令遵守と運用設計の両立が重要

派遣先管理台帳は、派遣労働者の適正な就業環境を守り、企業のリスクを回避するための重要な法定書類です。

法令遵守だけでなく運用設計まで落とし込むことが重要

法律で定められた18項目を理解することは大前提ですが、それだけでは実務は回りません。

「誰が作るのか」「いつ更新するのか」「毎月どうやって派遣会社に通知し、記録を残すのか」という具体的な社内運用フローを設計し、担当者が変わってもミスが起きない体制を構築することが、コンプライアンス遵守と業務効率化の鍵となります。

記入例を基準に具体性を揃えると監査リスクを下げられる

記載内容に迷った際は、厚生労働省(管轄の労働局)が公開している記入例やフォーマットを基準にしてください。

抽象的な表現を避け、第三者が見ても「誰が・どこで・どんな権限で・何をしているか」が明確に伝わる具体性を持たせることで、不要な監査リスクを大幅に下げることができます。

派遣スタッフの受け入れ人数が増加すると、契約更新ごとの台帳アップデートや、複数の派遣会社に対する毎月の実績通知作業は、Excelや手作業でのアナログな管理では限界を迎え、ヒューマンエラーによる法令違反リスクが高まります。

特に派遣会社(派遣元)の皆様にとっては、派遣先企業にこうした煩雑な管理を強いることは、クライアントの負担増にもつながります。

採用管理システム(ATS)「RPM」を導入すれば、スタッフの契約情報から稼働状況までを一元管理でき、派遣先とのシームレスな情報連携をサポートする仕組み作りが可能です。

煩雑な台帳管理や通知のやり取りといったバックオフィス業務を効率化し、コンプライアンスを強固に守る事業基盤を作るために、ぜひRPMの活用をご検討ください。

髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

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