
紹介予定派遣とは?仕組み・派遣や人材紹介との違い・企業側の注意点を解説
紹介予定派遣とは、直接雇用を前提に候補者を最長6ヶ月間派遣社員として受け入れ、企業と本人が合意すれば正社員・契約社員などへ切り替える制度です。
面接だけでは実務スキルや自社との相性を見極めきれず、入社後のミスマッチや早期離職に悩む企業は少なくありません。紹介予定派遣は、実際の働きぶりを確認してから採用を判断できる手法として活用されています。
本記事では、採用管理システム「RPM」を提供する株式会社ゼクウが、紹介予定派遣の仕組みや通常派遣・人材紹介との違い、費用相場、企業側の注意点を解説します。
目次[非表示]
- ・紹介予定派遣とは?直接雇用を前提に最長6ヶ月派遣で受け入れる制度
- ・紹介予定派遣の仕組み|依頼から直接雇用までの流れ(5ステップ)
- ・ステップ1:派遣会社に依頼し人材要件をすり合わせる
- ・ステップ2:書類選考・面接で候補者を見極める
- ・ステップ3:派遣期間中に実務スキル・勤怠・カルチャーフィットを評価する
- ・ステップ4:契約満了前に双方の意思確認と条件調整を行う
- ・ステップ5:合意すれば直接雇用へ切り替える
- ・紹介予定派遣と通常派遣・人材紹介の違い【比較表】
- ・紹介予定派遣で直接雇用に至る割合は約54%(厚生労働省調査)
- ・企業が紹介予定派遣を活用するメリット
- ・紹介予定派遣の費用|手数料相場と採用コストの考え方
- ・企業側の注意点|制度上のルールとトラブル回避
- ・派遣期間は最長6ヶ月で延長できない
- ・試用期間は設けないことが求められる
- ・港湾・建設・警備など派遣禁止業務では利用できない
- ・不採用とする場合は理由の明示が求められる
- ・派遣会社を通さない直接雇用(引き抜き)は避ける
- ・直接雇用時は労働条件の明示と有給休暇の扱いに注意
- ・直接雇用につなげる受け入れ実務
- ・紹介予定派遣が向いているケース・向かないケース
- ・派遣会社にとっての紹介予定派遣|収益機会と運用課題
- ・よくある質問(FAQ)
- ・通常派遣で就業中のスタッフを、途中から紹介予定派遣に切り替えられますか?
- ・派遣期間を6ヶ月より短く設定できますか?
- ・直接雇用は正社員ではなく契約社員でもよいのでしょうか?
- ・直接雇用に至らなかった場合も費用は発生しますか?
- ・まとめ|紹介予定派遣は「見極めてから採用できる」制度
紹介予定派遣とは?直接雇用を前提に最長6ヶ月派遣で受け入れる制度

紹介予定派遣とは、直接雇用を前提として、候補者をまず派遣社員として受け入れる制度です。派遣期間の終了時に企業と本人の双方が合意すれば、正社員や契約社員などの直接雇用へ切り替わります。
まずは、制度の法的な立て付けと基本ルールから整理します。
- 「労働者派遣」と「職業紹介」を組み合わせた制度
- 派遣期間終了後、双方の合意で直接雇用に切り替わる
- 労働者派遣法における定義と適用ルール
「労働者派遣」と「職業紹介」を組み合わせた制度
紹介予定派遣は、人材を受け入れる「労働者派遣」と、雇用関係の成立をあっせんする「有料職業紹介」の2つの機能を併せ持つサービスです。
企業はまず派遣スタッフとして候補者を受け入れ、実務を通じて適性や自社との相性を確認します。
派遣期間の終了時に双方が合意すれば、派遣会社が職業紹介を行い、自社の直接雇用へ切り替わる仕組みです。
このため、紹介予定派遣を扱う派遣会社には、労働者派遣事業の許可に加えて職業紹介事業の許可・届出が必要とされています。
派遣期間終了後、双方の合意で直接雇用に切り替わる
重要なのは、派遣期間が終われば自動的に直接雇用へ移行するわけではないという点です。
企業側は「自社で長く活躍できる人材か」を評価し、候補者側も「この会社で働き続けたいか」を判断します。どちらか一方でも合意しなければ直接雇用には至らず、派遣契約の満了をもって終了となります。
企業にとっては、見極めた結果として採用を見送る判断も取れることが、採用リスクを抑える仕組みとして機能しています。
労働者派遣法における定義と適用ルール
労働者派遣法において、紹介予定派遣は「労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の開始前又は開始後に、派遣労働者及び派遣先に対して職業紹介を行い、又は行うことを予定してするもの」と定義されています。
直接雇用を前提とする特別な類型として、選考の可否・派遣期間の上限・不採用時の理由明示など、通常の派遣とは異なる固有のルールが適用されるのが特徴です。
それぞれの具体的なルールは、後述の違いの比較と企業側の注意点で解説します。
※出典:厚生労働省「紹介予定派遣とは」
紹介予定派遣の仕組み|依頼から直接雇用までの流れ(5ステップ)
企業が紹介予定派遣を活用して直接雇用に至るまでは、次の5ステップで進みます。
- ステップ1:派遣会社に依頼し人材要件をすり合わせる
- ステップ2:書類選考・面接で候補者を見極める
- ステップ3:派遣期間中に実務スキル・勤怠・カルチャーフィットを評価する
- ステップ4:契約満了前に双方の意思確認と条件調整を行う
- ステップ5:合意すれば直接雇用へ切り替える
ステップ1:派遣会社に依頼し人材要件をすり合わせる
まずは紹介予定派遣を取り扱う派遣会社に依頼し、業務内容や求めるスキル・経験をすり合わせます。
このとき、直接雇用後の想定年収・雇用形態(正社員か契約社員か)まで事前に固めておくことが、後のトラブル防止につながります。
候補者側にはこれらの条件が求人情報として明示されるため、条件が曖昧なままだと応募が集まりにくく、直接雇用の段階での認識ずれも起きやすくなります。
ステップ2:書類選考・面接で候補者を見極める
紹介予定派遣では、直接雇用を前提とするため、派遣開始前に企業が候補者を選考できます。
履歴書・職務経歴書による書類選考や面接に加え、筆記試験・適性検査も実施できます。
将来の自社社員として選考できる一方、選考に時間をかけすぎると、優秀な候補者ほど他社の案件へ流れてしまいます。書類確認や面接日程の調整は、スピード感を持って進めましょう。
ステップ3:派遣期間中に実務スキル・勤怠・カルチャーフィットを評価する
選考を通過した候補者は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣スタッフとして就業を開始します。
最長6ヶ月の派遣期間が、実質的な見極め期間として機能します。
実務スキルの水準だけでなく、既存メンバーとの協調性や勤怠の安定性など、面接では判断しづらい要素を確認しましょう。
同時に、候補者側も職場環境や業務内容を評価しています。見極めは一方通行ではなく双方向である点を忘れないことが大切です。
ステップ4:契約満了前に双方の意思確認と条件調整を行う
派遣契約の満了が近づくと、派遣会社の担当者が企業と候補者の双方へ意思確認を行います。
給与や役職といった最終的な雇用条件のすり合わせは、派遣会社が間に入って調整します。
企業と候補者が直接交渉しにくい条件面を第三者が仲介するため、感情的なもつれを避けながら合意形成を進められるのがこの制度の利点です。
ステップ5:合意すれば直接雇用へ切り替える
双方が条件に納得すれば、派遣会社が職業紹介を行い、派遣期間の満了後に自社との雇用契約へ切り替わります。
合意に至らなかった場合は、派遣期間の満了をもって受け入れ終了となります。
なお、企業側が採用を見送る場合には、派遣会社の求めに応じて理由を明示する義務があります。詳細は企業側の注意点で解説します。
紹介予定派遣と通常派遣・人材紹介の違い【比較表】

紹介予定派遣・通常派遣(登録型派遣)・人材紹介は、目的も適用されるルールも異なります。主な違いは次の表のとおりです。
比較項目 | 紹介予定派遣 | 通常派遣(登録型) | 人材紹介 |
|---|---|---|---|
目的 | 直接雇用を前提とした見極め | 一時的な労働力の確保 | 直接雇用する人材の採用 |
就業中の雇用主 | 派遣会社 | 派遣会社 | 自社(入社時点から直接雇用) |
事前の面接・選考 | 可能 | 不可 | 可能 |
期間 | 派遣期間は最長6ヶ月 | 同一の組織単位で最長3年 | なし(入社で完了) |
費用 | 派遣料金+紹介手数料 | 派遣料金のみ | 紹介手数料のみ |
ミスマッチ防止 | 実務を通じて確認できる | 事前に人選できない | 面接・書類で見極め |
表の中でも誤解されやすい3つの違いを、以下で補足します。
通常派遣とは目的・派遣期間・選考の可否が異なる
通常派遣の目的は、繁忙期対応や欠員補充といった一時的な労働力の確保であり、契約期間の満了をもって就業終了となるのが基本です。
期間のルールも異なります。通常派遣は同一の組織単位で最長3年まで受け入れられますが、紹介予定派遣の派遣期間は最長6ヶ月と、法令上短く設定されています。
また、通常派遣では事前面接や履歴書の確認といった特定行為が禁止されているのに対し、紹介予定派遣では採用を前提とするため例外的に認められています。
通常派遣の期間制限について詳しくは、次の記事で解説しています。
人材紹介とは採用判断のタイミングが異なる
人材紹介(転職エージェント)は、企業が数回の面接で合否を判断し、入社した時点から直接雇用が始まるサービスです。
これに対し、紹介予定派遣は数ヶ月間の実務を見てから採用を最終判断できる点が大きく異なります。
面接だけでは見抜きにくい実務適性や協調性、ストレス対応力を確認したうえで採用できるため、入社後のギャップによる早期離職リスクを抑えやすい構造です。
人材派遣と人材紹介の使い分けは、次の記事で詳しく整理しています。
雇用主は派遣期間中と直接雇用後で切り替わる
紹介予定派遣では、期間によって候補者の雇用主が切り替わります。
派遣期間中の雇用主は派遣会社であり、給与の支払いや社会保険の手続きも派遣会社が行います。自社が持つのは業務上の指揮命令のみです。
直接雇用へ切り替わった後は、自社の就業規則や給与体系が適用されます。
切り替え時には有給休暇の扱いなどが変わるため、注意が必要です。詳しくは企業側の注意点で解説します。
紹介予定派遣で直接雇用に至る割合は約54%(厚生労働省調査)
厚生労働省の最新の集計によると、紹介予定派遣で派遣された労働者のうち、直接雇用に結びついた割合は約54%です。
制度を検討するうえで押さえておきたい、データの読み方と傾向を解説します。
令和6年度は派遣された労働者の約54%が直接雇用に移行
厚生労働省が全国の派遣元事業主の事業報告をまとめた「労働者派遣事業報告書」の令和6年度集計結果(速報)によると、紹介予定派遣の実績は次のとおりです。
項目 | 令和6年度 | 対前年度比 |
|---|---|---|
紹介予定派遣により労働者派遣された労働者数 | 25,535人 | △1.8% |
職業紹介を実施した労働者数 | 18,219人 | △3.0% |
職業紹介を経て直接雇用に結びついた労働者数 | 13,881人 | +1.9% |
※出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
派遣された25,535人のうち18,219人に職業紹介が行われ、13,881人が直接雇用に結びついています。
割合にすると、派遣された人数の約54%が直接雇用に至った計算です。
残りの約46%には、職業紹介に至らなかったケースや、職業紹介後に直接雇用が成立しなかったケースが含まれます。
直接雇用率と正社員化率は一致しない点に注意
約54%という数字は、あくまで直接雇用に至った割合です。
直接雇用には契約社員やパートへの切り替えも含まれるため、全員が正社員になったわけではありません。
企業側は、直接雇用後の雇用形態を派遣開始前の求人条件で明示する必要があります。「正社員のつもりで頑張っていたのに契約社員だった」という認識ずれは、辞退や早期離職の典型的な原因になるため、最初の条件設計が重要です。
申込人数は減っても直接雇用率は高まっている
同じ調査で、紹介予定派遣の申込人数は91,705人と対前年度比で14.8%減少しています。
一方、直接雇用に結びついた人数は前年度より1.9%増え、直接雇用率は前年度の約52%から約54%へ上昇しています。
件数の拡大よりも、一人ひとりを着実に直接雇用へつなげる「質」が問われる局面に入っているといえるでしょう。直接雇用率を左右する受け入れ実務のポイントは、後半で詳しく解説します。
企業が紹介予定派遣を活用するメリット
企業側から見た紹介予定派遣の大きな価値は、採用の失敗を入社前に減らせることです。主なメリットは次の3つです。
- 働きぶりを確認してから採用でき早期離職を防げる
- 母集団形成から日程調整まで派遣会社が担い採用工数を削減できる
- 未経験・ポテンシャル層まで採用対象を広げられる
働きぶりを確認してから採用でき早期離職を防げる
書類や面接だけでは、現場での適応力や既存メンバーとの相性までは判断しきれません。
紹介予定派遣なら、数ヶ月間の実務を通じて、スキル・勤怠・カルチャーフィットを確認したうえで採用を決められます。
「面接の印象は良かったが実務が伴わなかった」というミスマッチが起きにくくなり、入社直後の早期離職リスクを抑えやすくなります。
母集団形成から日程調整まで派遣会社が担い採用工数を削減できる
紹介予定派遣では、採用活動の初期工程の多くを派遣会社が代行します。
- 求人情報の作成・募集による母集団形成
- 応募者の一次スクリーニング
- 面接・職場見学の日程調整
- 直接雇用時の条件交渉の仲介
人事担当者は、候補者の見極めや受け入れ準備といったコア業務に集中できるため、採用リソースが限られる企業ほど効果を実感しやすいでしょう。
未経験・ポテンシャル層まで採用対象を広げられる
経験者を確保しにくい職種では、未経験者を採用できるかどうかが人材確保の分かれ目になります。
紹介予定派遣なら、実務を通じて適性と成長スピードを確認できるため、未経験層まで採用対象を広げてもリスクを抑えられます。
採用難が続く事務職や営業職などで、母集団を広げる現実的な選択肢になります。
紹介予定派遣の費用|手数料相場と採用コストの考え方
紹介予定派遣の費用は、派遣期間中の「派遣料金」と、直接雇用が決まったときの「紹介手数料」の2段階で発生します。
それぞれの相場と、トータルコストの考え方を解説します。
紹介手数料の相場は理論年収の20〜30%程度
直接雇用への切り替えが成立した時点で、派遣会社に紹介手数料を支払います。
相場は理論年収(月給の12ヶ月分+賞与等)の20〜30%程度とされ、成功報酬型のため直接雇用に至らなければ発生しません。
料率は派遣会社や職種によって異なり、契約時の基本契約書で定めます。依頼前に必ず料率と理論年収の算定方法を確認しておきましょう。
年収別の手数料シミュレーション
紹介手数料の目安は、直接雇用後の想定年収から簡単に試算できます。相場の料率で計算すると次のようになります。
直接雇用後の理論年収 | 手数料20%の場合 | 手数料30%の場合 |
|---|---|---|
350万円 | 70万円 | 105万円 |
450万円 | 90万円 | 135万円 |
550万円 | 110万円 | 165万円 |
※一般的な相場をもとにした試算です。実際の料率・算定方法は派遣会社との契約によります。
派遣期間中の派遣料金と合わせた総コストで判断する
紹介手数料だけを見て判断すると、コストを見誤ります。
厚生労働省の集計では、派遣料金の全国平均は8時間換算で26,257円(令和6年度)です。月20日稼働なら1人あたり月53万円前後が目安となり、6ヶ月間の受け入れでは派遣料金だけで300万円を超える規模になります。
注意したいのは、直接雇用に至らなかった場合でも派遣期間中の派遣料金は発生することです。
見極めに必要な期間を絞り、派遣料金と手数料を合わせた総額で採用予算を見積もることが欠かせません。
※出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
人材紹介・求人広告と比べたコスト構造の違い
他の採用手法とは、費用が発生するタイミングとリスクの持ち方が異なります。
人材紹介は、直接雇用が成立した時点で紹介手数料だけが発生します。求人広告は、採用の成否にかかわらず掲載費用が先に発生します。
紹介予定派遣は総額こそ大きくなりがちですが、見極め期間を挟むことで採用失敗による再採用コストや現場の疲弊を防げる、リスクヘッジ型のコスト構造といえます。
人材紹介(有料職業紹介)の費用構造については、次の記事で詳しく解説しています。
企業側の注意点|制度上のルールとトラブル回避

紹介予定派遣には、通常の派遣とは異なる固有のルールが定められています。知らずに運用するとコンプライアンス違反や紛争につながるため、受け入れ前に必ず確認してください。
派遣期間は最長6ヶ月で延長できない
紹介予定派遣では、同一の派遣労働者を6ヶ月を超えて受け入れることはできません。
「もう少し様子を見たい」という理由で、派遣契約のまま期間を延長することは認められていません。
契約満了までに、採用するか見送るかの結論を必ず出す必要があります。6ヶ月の上限内で、業務内容や評価項目に応じた見極め期間を、依頼の段階で設計しておきましょう。
試用期間は設けないことが求められる
紹介予定派遣では、派遣期間中に企業と労働者の双方が適性を見極めたうえで直接雇用へ移行するため、厚生労働省は直接雇用後に試用期間を設けないよう求めています。
つまり、見極めは派遣期間中に完了させることが大前提になります。
- 業務スキルが求める水準に達しているか
- 社風や既存メンバーとマッチしているか
- 勤怠(遅刻・欠勤など)に問題はないか
上記のような確認項目を、派遣期間中に評価しきる計画を立てておきましょう。
港湾・建設・警備など派遣禁止業務では利用できない
紹介予定派遣も労働者派遣の一形態であるため、労働者派遣法で派遣が禁止されている業務では利用できません。
- 港湾運送業務
- 建設業務
- 警備業務
病院等の医療関係業務は、通常の労働者派遣では原則禁止ですが、紹介予定派遣の場合は例外として認められています。
不採用とする場合は理由の明示が求められる
派遣期間を経て採用を見送る場合、企業は一方的に断って終わりにはできません。
派遣会社の求めに応じて、職業紹介を希望しない理由や雇用しない理由を、書面・FAX・メールで明示する義務があります。派遣会社は候補者本人の求めに応じ、その理由を本人にも明示します。
「なんとなく合わなかった」という曖昧な理由は通用しにくく、トラブルの火種にもなります。派遣期間中の評価を記録として残し、事実にもとづいて説明できるようにしておく必要があります。
※出典:厚生労働省「紹介予定派遣とは」
派遣会社を通さない直接雇用(引き抜き)は避ける
通常派遣で受け入れているスタッフを直接雇用したくなった場合、派遣会社に無断で勧誘・採用するのは避けるべきです。
派遣会社との基本契約には、直接雇用時の紹介手数料に関する条項が定められていることが多く、無断の引き抜きは契約違反や損害賠償をめぐる紛争に発展しがちです。
直接雇用したいスタッフがいる場合は、紹介予定派遣への切り替えや職業紹介として、派遣会社に正面から相談するのが安全です。
直接雇用時は労働条件の明示と有給休暇の扱いに注意
直接雇用への切り替え時には、雇用形態・賃金・業務内容などの労働条件を改めて明示する必要があります。
また、派遣元で付与された有給休暇が、直接雇用先へ当然に引き継がれるわけではありません。派遣期間を勤続期間として算入するかなど、直接雇用後の取り扱いは事前に確認する必要があります。
切り替え前に丁寧に説明しておかないと、直前の辞退につながりかねません。
直接雇用につなげる受け入れ実務
直接雇用率は約54%、裏を返せば半数近くが不成立に終わっています。制度を使うだけでは成果につながらず、受け入れ側の実務が直接雇用率を左右します。
不成立を減らすために押さえたい3つのポイントを解説します。
事前の面接で確認すべき項目
紹介予定派遣では例外的に事前面接が認められています。この機会を、スキル確認だけで終わらせないことが重要です。
- 実務スキルの水準と経験の裏付け
- 転職理由と、長く働く意思(定着志向)
- 直接雇用後の雇用形態・年収への納得度
- 配属先メンバーとの相性
とくに直接雇用後の条件への納得度は、面接段階で必ずすり合わせておくべき項目です。
条件認識のずれを抱えたまま派遣を開始すると、数ヶ月の見極め期間と派遣料金が無駄になりかねません。
派遣期間中は定期面談とフィードバックで評価を可視化する
派遣期間中の評価を現場任せにして、満了間際に初めて検討を始めるのは典型的な失敗パターンです。印象頼みの判断になり、不採用時の理由明示にも対応できません。
評価項目を事前に定義し、月1回程度の定期面談とフィードバックで、評価の根拠を記録に残しましょう。
評価や面談記録をExcelや口頭共有だけで管理していると、関係者が増えるにつれて情報が属人化しやすくなります。採用管理システムで選考情報・評価を一元化しておくと、複数の関係者が同じ根拠で採否を判断できます。
候補者の不安に先回りしてフォローする
候補者は派遣期間中、「不成立になったらどうしよう」「本当に正社員になれるのか」という不安を抱えています。
不安を放置すると、見極め期間の途中で他社の内定へ流れたり、直前で辞退されたりする原因になります。
条件の早期明示、面談でのポジティブなフィードバック、直接雇用後のキャリアパス提示といった先回りのフォローによって、合意率と入社後の定着が高まりやすくなります。
受け入れ初期のフォロー設計は、派遣スタッフの定着率改善とも共通するテーマです。次の記事も参考にしてください。
紹介予定派遣が向いているケース・向かないケース
紹介予定派遣は万能な手法ではありません。自社の採用課題に照らして、向き不向きを判断しましょう。
向いているケース:定着重視・未経験採用・少人数組織
次のような課題を持つ企業には、紹介予定派遣が有力な選択肢になります。
- 早期離職が続いており、定着を最優先したい
- 未経験・ポテンシャル層を、リスクを抑えて採用したい
- 少人数の組織で、相性の見極めが業績に直結する
- 事務職など、面接だけでは実務適性を判断しづらい職種を採用したい
共通するのは、採用の失敗コストが大きく、見極めに時間をかける価値がある採用だという点です。
向かないケース:大量採用・専門職の即戦力採用
一方、次のようなケースでは別の手法が適しています。
- 繁忙期に向けて今すぐ大量の人員が必要(見極めに6ヶ月かけられない)
- 高度専門職の即戦力がほしい(紹介予定派遣の求人では候補者が集まりにくい傾向)
- 港湾・建設・警備など派遣禁止業務の採用
スピードと採用数を優先するなら通常派遣や求人広告、専門職の即戦力なら人材紹介が現実的です。紹介予定派遣は、時間をかけてでも確実性を取りたい採用に絞って使いましょう。
派遣会社にとっての紹介予定派遣|収益機会と運用課題
紹介予定派遣は、派遣会社側にとっても重要なサービスです。受け入れ企業が派遣会社の動き方を理解しておくと交渉がスムーズになるほか、派遣会社の実務担当者にとっては運用改善のヒントになります。
派遣収益と紹介収益を両立できるハイブリッド型サービス
派遣会社にとって紹介予定派遣は、派遣期間中の継続的な派遣収益と、成約時の紹介手数料収益を両立できるハイブリッド型のビジネスモデルです。
継続収益と高単価収益を組み合わせられるため、人材派遣の利益率が低下するなかで、人材紹介や採用代行(RPO)へ事業を広げる足がかりとしても位置づけられています。
申込は減少傾向にあり、マッチングの質が問われている
厚生労働省の集計では、紹介予定派遣の申込人数は前年度比14.8%減と、市場全体では縮小傾向にあります。それでも直接雇用に結びついた件数は前年を上回っており、1件あたりの成約の質が問われる局面に入っています。
案件数で稼ぐ局面から、1件ごとの成約率で成果を出す局面に変わりつつあるといえます。
精度の低いマッチングは、不成立によって企業・候補者・派遣会社の三者すべてに損失を生みます。人選の精度が、これまで以上に問われています。
※出典:厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」
マッチング精度と進捗管理が成約率を左右する
成約率を高めるには、スタッフのスキル・希望条件を検索できる形でデータベース化し、案件との突合や選考進捗、面談記録を一元管理する仕組みが欠かせません。
スタッフ情報や進捗をExcelや個人のメモで管理していると、条件に合う候補者を探しきれず、フォロー漏れによる辞退も防げません。
採用管理システム「RPM」は、派遣会社向けに派遣マッチング機能やスタッフ管理・スキルシート管理の機能を備えており、候補者データの検索から選考進捗・面談記録の管理までを一元化できます。
マッチング精度を高める運用の具体策は、次の記事で詳しく解説しています。
よくある質問(FAQ)
通常派遣で就業中のスタッフを、途中から紹介予定派遣に切り替えられますか?
可能です。紹介予定派遣は、労働者派遣の開始後に職業紹介を予定する形も法令上の定義に含まれています。派遣会社・本人・自社の三者が合意したうえで、労働者派遣契約などを変更すれば切り替えられます。切り替え後の派遣期間は6ヶ月以内に収める必要があるため、タイミングは派遣会社に相談しましょう。
派遣期間を6ヶ月より短く設定できますか?
可能です。6ヶ月はあくまで上限であり、下限の定めはありません。ただし、期間が短いほど見極められる情報は限られます。評価項目を絞り込んだうえで、必要な期間を派遣会社と設計しましょう。
直接雇用は正社員ではなく契約社員でもよいのでしょうか?
問題ありません。直接雇用の形態は正社員に限らず、契約社員なども選べます。派遣開始前に明示した求人条件どおりの雇用形態とすることを前提に、契約社員スタートとする場合は正社員登用の条件までセットで示すのが望ましいでしょう。
直接雇用に至らなかった場合も費用は発生しますか?
紹介手数料は発生しません。手数料は直接雇用の成立を条件とする成功報酬型です。ただし、派遣期間中の派遣料金は結果にかかわらず発生します。不成立が続くとコストだけが積み上がるため、見極め精度と受け入れ体制の改善を派遣会社と一緒に進めましょう。
まとめ|紹介予定派遣は「見極めてから採用できる」制度
- 紹介予定派遣は、最長6ヶ月の派遣期間で働きぶりを見極めてから直接雇用を判断できる制度
- 費用は派遣料金と紹介手数料の2段階で発生
- 不採用時の理由明示や6ヶ月の期間上限など固有のルールがあり、評価の記録と候補者フォローの運用整備が成否を分ける
紹介予定派遣は、採用ミスマッチと早期離職を防ぐ有効な手法です。ただし、直接雇用率約54%という数字が示すとおり、制度を使うだけでは半数近くが不成立に終わります。
評価項目の設計、定期面談による記録、候補者への先回りのフォローといった受け入れ実務まで整えてこそ、投じた派遣料金と時間が採用成果につながります。
採用管理システム「RPM」は、400以上の求人媒体・エージェントとの連携や応募対応の自動化に加え、歩留まり・リードタイムなどの分析機能を備えた採用管理システムです。
派遣会社向けのマッチング・スタッフ管理機能もあり、紹介予定派遣を含む採用・派遣運用の情報を一元化しながら、見極めから改善までを支援します。採用フローの整備とあわせて、ぜひ検討してみてください。








