
人材派遣と人材紹介の違いとは?契約・費用・使い分けを解説
人材派遣と人材紹介の違いは、働く人を雇用するのが派遣会社か自社かという点にあり、そこから指揮命令・選考・受け入れ期間・費用の発生タイミングまでが分かれます。
人手が足りないことははっきりしていても、人材派遣に頼むのか人材紹介に頼むのかとなると、判断がつきにくいことがあるでしょう。
本記事では、採用管理システム「RPM」を提供する株式会社ゼクウが、人材派遣と人材紹介の違いを7項目で比較します。
それぞれの仕組みと費用の決まり方、受け入れる企業に課される法律上の制限、採用の目的別にどちらを選ぶかまでを扱います。
目次[非表示]
- ・【比較表】人材派遣と人材紹介の違いを7項目で比較する
- ・違い①雇用契約は「派遣会社と結ぶ」か「自社と結ぶ」かで分かれる
- ・違い②サービス内容は「労働力の提供」か「採用の支援」かで分かれる
- ・違い③指揮命令は派遣だけが雇用主以外の企業から出る
- ・違い④選考は派遣では原則できず、紹介では自社が行う
- ・違い⑤受け入れ期間は派遣に制限があり、紹介にはない
- ・違い⑥料金は稼働時間に応じるか採用の成立時に生じるかで分かれる
- ・違い⑦業務範囲は派遣が契約で定めた範囲に限られる
- ・人材派遣とは|派遣会社が雇用した人材を受け入れる仕組み
- ・人材紹介とは|自社が直接雇用するまでを支援するサービス
- ・人材派遣と人材紹介のメリットを比べる
- ・人材派遣は依頼から就業開始までが短く、急な欠員に間に合わせやすい
- ・人材派遣は業務量の増減に合わせて要員を調整しやすい
- ・人材紹介は成功報酬型が一般的で、採用に至るまで紹介手数料が発生しないケースが多い
- ・人材紹介なら採用した人材と業務ノウハウが自社に蓄積される
- ・人材派遣と人材紹介を利用するときの注意点
- ・派遣法上、受け入れ期間に原則3年の制限がある(例外あり)
- ・派遣社員を事前に面接したり履歴書を求めたりはできない
- ・港湾運送や建設の業務は、原則として派遣や通常の有料職業紹介を利用できない
- ・自社を離職して1年以内の人を派遣で受け入れることはできない
- ・人材紹介は1名ごとに手数料がかかり、大量採用には向きにくい
- ・人材派遣と人材紹介にかかる費用の決まり方
- ・人材派遣と人材紹介を依頼してからの流れ
- ・採用の目的別に人材派遣と人材紹介のどちらを選ぶか
- ・産休や育休の代替と繁忙期の増員には人材派遣が向く
- ・管理職や専門職など長く任せたい採用には人材紹介が向く
- ・採用に割ける人手が少ない企業では人材紹介の支援が効きやすい
- ・大量に採用したいときは求人広告など他の手段とも比べる
- ・紹介予定派遣とは|派遣から直接雇用に移る制度
- ・よくある質問(FAQ)
- ・人材派遣と人材紹介を同じ会社にまとめて依頼できますか。
- ・30日以内の短期だけ人手がほしい場合も人材派遣を使えますか。
- ・紹介で採用した人が早期に退職した場合、手数料は返ってきますか。
- ・派遣社員に契約にない業務を頼むとどうなりますか。
- ・まとめ|人材派遣と人材紹介は採用の目的で使い分ける
【比較表】人材派遣と人材紹介の違いを7項目で比較する

人材派遣と人材紹介は、どちらも外部の会社を通じて人材を確保する方法ですが、働く人を雇用する会社が違います。派遣で雇用主になるのは派遣会社、紹介で雇用主になるのは自社です。
この1点の違いが、指揮命令・選考・受け入れ期間・費用の発生タイミングまでを分けます。実務で判断が変わる7項目は次のとおりです。
比較項目 | 人材派遣 | 人材紹介(有料職業紹介) |
|---|---|---|
①雇用契約 | 派遣会社と結ぶ(間接雇用) | 自社と結ぶ(直接雇用) |
②サービス内容 | 必要な期間だけ労働力の提供を受ける | 直接雇用する人材の採用を支援してもらう |
③指揮命令 | 雇用主は派遣会社で、業務の指示は自社が出す | 雇用も業務の指示も自社が行う |
④選考の可否 | 派遣に先立つ面接や履歴書の要求は原則できない | 書類選考も面接も自社が行える |
⑤受け入れ期間 | 派遣法上、受け入れ期間に原則3年の制限がある(例外あり) | 派遣法上の受け入れ期間の制限はない |
⑥料金体系 | 稼働した時間に応じた派遣料金 | 採用が決まった時点で生じる紹介手数料 |
⑦業務範囲 | 労働者派遣契約で定めた業務に限られる | 自社の就業規則の範囲で決められる |
※出典:厚生労働省「派遣社員を受け入れるときの主なポイント(派遣先の皆さまへ)」
※出典:厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」
違い①雇用契約は「派遣会社と結ぶ」か「自社と結ぶ」かで分かれる
人材派遣では、自社は派遣会社と労働者派遣契約を結びます。働く人と雇用契約を結ぶのは派遣会社で、自社と本人の間に雇用関係はありません。これを間接雇用と呼びます。
人材紹介では、採用が決まった時点で自社と本人が雇用契約を結びます。紹介会社は求人と求職の間を取り持つ立場で、雇用関係には入りません。こちらが直接雇用です。
この違いは、給与を誰が支払い、社会保険の手続きを誰が行うかにそのまま表れます。派遣なら派遣会社、紹介なら自社の負担になります。
違い②サービス内容は「労働力の提供」か「採用の支援」かで分かれる
人材派遣は、必要な期間だけ労働力の提供を受けるサービスです。派遣期間中、その人は自社の従業員にはなりません。契約が終了すれば、原則として自社での派遣就業も終了します。
人材紹介は、自社が直接雇用する人材を見つけるまでを支援するサービスです。派遣で受け取るのは労働力、紹介で受け取るのは採用の工程に対する支援です。
紹介で採用する人の雇用形態に、決まりはありません。職業紹介は雇用関係の成立をあっせんする行為なので、正社員に限らず契約社員やパートタイマーの採用にも使えます。
違い③指揮命令は派遣だけが雇用主以外の企業から出る
人材派遣では、雇用主と業務を指示する人が分かれます。給与の支払いを担うのは派遣会社で、日々の業務指示を出すのは受け入れた企業の指揮命令者です。
この形が成り立つのは、労働者派遣法が認めているためです。請負や業務委託の契約で発注先の社員に自社が直接指示を出せば、実態は労働者派遣とみなされ、偽装請負になります。
労働者派遣契約では、業務内容とあわせて誰が指揮命令者になるかも定めます。
人材紹介で採用した人は自社の従業員なので、雇用も指示もどちらも自社です。
違い④選考は派遣では原則できず、紹介では自社が行う
人材派遣では、就業する人を自社が選ぶことができません。事前の面接や履歴書の要求は、派遣労働者を特定する目的の行為として禁じられています。
例外は紹介予定派遣だけで、通常の派遣で誰に来てもらうかを決めるのは派遣会社です。
人材紹介では、書類選考も面接も自社が行います。合否を決めるのも自社です。
※出典:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」
違い⑤受け入れ期間は派遣に制限があり、紹介にはない
人材派遣には、受け入れ期間の制限があります。事業所単位では原則3年で、同一の派遣労働者を同一の組織単位で受け入れられる期間も3年が上限です。
人材紹介で採用した人は自社の従業員なので、受け入れ期間の上限という考え方そのものがありません。有期雇用として採用するかどうかは、自社の労働契約で決めます。
違い⑥料金は稼働時間に応じるか採用の成立時に生じるかで分かれる
人材派遣の費用は派遣料金と呼ばれ、時間単価に稼働時間を掛けて算出します。就業が続く限り毎月発生し、契約が終われば止まる費用です。
人材紹介の主な費用は紹介手数料で、成功報酬型では採用が決まった時点で発生します。この場合、採用に至らなければ紹介手数料は発生しません。
派遣は稼働に応じて継続的に料金が発生し、紹介は採用が成立した時点で紹介手数料を支払うのが一般的です。社内で予算を立てるときの組み方も変わります。
違い⑦業務範囲は派遣が契約で定めた範囲に限られる
人材派遣では、労働者派遣契約に定めた業務の範囲を超えて指示を出せません。手が空いたからと別の業務を頼む運用はできず、担当してもらう業務を増やすときは、労働者派遣契約の内容を変更するなど、必要な手続きを行う必要があります。
人材紹介で採用した人に任せられる業務は、自社の就業規則と労働契約が定める範囲です。配置転換や職務の変更も、自社の人事権で判断できます。
人材派遣とは|派遣会社が雇用した人材を受け入れる仕組み
人材派遣は、派遣会社が雇用する人を、受け入れる企業の指揮命令のもとで働かせる仕組みです。派遣会社と受け入れる企業、そして働く本人という三者が関わり、それぞれが担う役割は法律で分けられています。
企業と派遣会社は労働者派遣契約を結び、業務内容と指揮命令者を定める
自社と派遣会社が結ぶのは、労働者派遣契約です。就業場所、業務内容、指揮命令者、派遣期間などをここで定めます。
厚生労働省の指針は、派遣社員を直接指揮命令することが見込まれる人から、業務の内容と責任の程度、その業務に必要な知識や技術の水準を十分に確認するよう求めています。契約を結ぶ前に押さえておく項目です。
現場の実務を知る人に業務の内容と責任の程度を確認してから契約条件を決めると、就業後の認識のずれを避けられます。あわせて、事業所単位の期間制限が切れる日(抵触日)を、契約締結前に派遣会社へ通知しましょう。
給与の支払いと社会保険の手続きは派遣会社が担う
派遣社員の雇用主は派遣会社です。給与の計算と支払い、社会保険の加入手続き、有給休暇の管理は派遣会社が行い、自社は毎月の派遣料金を支払います。
募集や選考の工数も、給与や社会保険の手続きも自社では発生しません。人事の体制が小さい企業ほど、この負担の軽さが効いてきます。
ただし、手続きそのものは発生しなくても、社会保険や労働保険の加入が適切に行われているかの確認は受け入れる企業に求められます。派遣会社が労働者派遣事業の許可を持っているかも、契約前に確かめておきましょう。
労働時間の管理と職場の安全配慮は受け入れる企業が担う
労務管理のすべてが派遣会社に移るわけではありません。労働時間の管理や労災を防ぐ措置など、労働関係の法令にもとづく事業主としての責務の一部は、受け入れる企業に課されています。
派遣先責任者の選任と派遣先管理台帳の作成も、受け入れる事業所ごとに必要です。派遣社員からの苦情に対応する体制も整えましょう。
派遣は労務管理を丸ごと外に出す仕組みではなく、雇用に関する責任と就業現場での責任が分かれている仕組みです。
※出典:厚生労働省「派遣社員を受け入れるときの主なポイント(派遣先の皆さまへ)」
人材紹介とは|自社が直接雇用するまでを支援するサービス

人材紹介は、法律上は職業紹介と呼ばれ、厚生労働大臣の許可を受けた事業者が行います。派遣と違い、紹介会社は雇用関係に入りません。
人材紹介は求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんする
職業紹介とは、求人と求職の申込みを受けて、求人者と求職者の間の雇用関係の成立をあっせんすることをいいます。転職エージェントと呼ばれるサービスも、この職業紹介です。
企業から報酬を受け取って行う有料職業紹介事業には、厚生労働大臣の許可が必要です。許可の有効期間は新規で3年、更新後は5年と定められています。
※出典:厚生労働省「職業紹介事業制度の概要」
候補者の探索から推薦までを紹介会社が担い、合否は自社が決める
紹介会社が担うのは、採用要件のすり合わせ、求人票の作成、候補者の探索、本人への打診、面接日程の調整、条件面の交渉といった業務です。
一方で誰を採用するかを決めるのは自社です。紹介会社は要件に合う候補者を推薦するところまでを担い、書類選考と面接の判断は自社が行います。
見送りが続くときは、要件の伝わり方に原因がある場合もあるでしょう。推薦された人が要件とどこでずれていたのかを紹介会社に返しておくと、次の推薦の精度が上がります。
採用が決まると自社と本人が直接雇用契約を結ぶ
内定を出した後は、自社と本人が直接雇用契約を結びます。労働条件の明示も入社手続きも自社の担当です。
入社後は自社の就業規則が適用され、評価も配置も、雇用管理はすべて自社の責任です。紹介会社との間には、返戻金の規定など契約で定めた事項だけが残ります。
有期雇用として採用するか無期雇用にするかも、自社の判断です。人材派遣のような受け入れ期間の制限はかかりません。
人材派遣と人材紹介のメリットを比べる
人材派遣と人材紹介では、自社の負担が軽くなる場所が違います。派遣の強みは就業開始までの早さと要員を調整しやすいこと、紹介の強みは費用の出方と社内に蓄積される経験です。
人材派遣は依頼から就業開始までが短く、急な欠員に間に合わせやすい
人材派遣では、募集と選考の工程がありません。派遣会社が雇用している人や登録している人のなかから業務内容に合う人を選ぶため、求人を出して応募を待つ場合より就業開始までの期間が短くなります。
産休や育休に入る社員の代替、繁忙期の増員、急な退職による欠員のように、いつまでに人が必要かが決まっている場面で使いやすい方法です。
ただし、誰にでも短期で来てもらえるわけではありません。派遣会社との労働契約が30日以内の人を派遣してもらうことは、日雇派遣として原則禁止されています。
人材派遣は業務量の増減に合わせて要員を調整しやすい
派遣料金が発生するのは、稼働した時間の分だけです。人件費を固定で抱えずに済むため、繁忙期だけ、プロジェクトの期間だけという区切り方ができます。
採用の専任担当がいない企業や、人事が総務を兼任している企業では、募集や給与計算、社会保険手続きなど、雇用主側の事務負担を抑えられるぶん、人を増やすかどうかの判断を早く進めやすくなります。
継続して任せたい業務なら、期間制限の範囲で更新を重ねるのか、直接雇用に切り替えるのかを先に決めておきましょう。
人材紹介は成功報酬型が一般的で、採用に至るまで紹介手数料が発生しないケースが多い
人材紹介では、採用が決まった時点で紹介手数料が発生する成功報酬型が一般的です。この場合、求人票を出したり候補者と面接したりしても、採用に至らなければ紹介手数料は発生しません。
求人広告で起こりがちな、掲載したのに応募が集まらず費用だけがかかるという事態は避けられます。採用予算が期初に確定していない企業でも、採用できたら支払うという形なら社内の稟議を通しやすくなるでしょう。
募集を非公開にできる点も、紹介の特徴です。競合他社に採用の動きを知られたくない場合や、後任を探していることを社内に伏せておきたい場合に使えます。
人材紹介なら採用した人材と業務ノウハウが自社に蓄積される
紹介で採用した人は自社の従業員として働き続けるため、業務の経験が社内に蓄積されます。育成して任せる範囲を広げることも、将来のリーダーとして育てることもできるでしょう。
社内に残るのは、採用した人だけではありません。どの要件で候補者が集まり、どの条件で辞退されたのかを紹介会社と振り返っておくと、次の募集の要件定義に使えます。
派遣の場合、派遣期間が終了すればその人は原則として職場を離れるため、本人に蓄積された経験やノウハウを自社内に継続的に保持しにくい面があります。
人材派遣と人材紹介を利用するときの注意点
人材派遣には、受け入れる企業が守るべき制限が労働者派遣法で細かく定められています。人材紹介にも、取り扱えない職業や費用の重さ、採用までの期間といった制約があります。どちらも、契約してから気づくと対応が難しい項目です。
派遣法上、受け入れ期間に原則3年の制限がある(例外あり)
派遣の期間制限は2種類あります。事業所単位の制限では、同じ事業所が派遣を受け入れられる期間が原則3年です。3年を超えて受け入れるには、抵触日の1か月前までに事業所の過半数労働組合などから意見を聴く必要があります。
個人単位の制限では、同じ人を同じ組織単位に受け入れられる期間が3年までです。組織単位はいわゆる課などを指すため、課が違えば同じ人を、人が違えば同じ課で、それぞれ改めて3年まで受け入れられます。ただし事業所単位の制限は別にかかるため、意見聴取をしないまま同じ事業所で3年を超えて受け入れることはできません。
派遣会社に無期雇用されている人や60歳以上の人は、期間制限の対象外です。産前産後休業や育児休業の代替業務なども同じです。
派遣社員を事前に面接したり履歴書を求めたりはできない
派遣に先立って面接すること、履歴書を送付させること、若年者に限ることは、派遣労働者を特定する目的の行為として禁じられています。紹介予定派遣だけが例外です。
スキルや相性を見てから受け入れたいという要望には応えられないため、業務内容と必要な知識の水準を契約前に具体的に伝えることが、ミスマッチを避ける手立てになります。
なお、本人が自らの判断で就業前に職場を訪問することは禁止されていません。ただし企業の側から訪問や履歴書の送付を求めることはできないため、職場見学を打診するかどうかは派遣会社と本人に委ねましょう。
港湾運送や建設の業務は、原則として派遣や通常の有料職業紹介を利用できない
労働者派遣が禁止されている業務は、港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院などにおける医療関係業務です。医療関係業務は紹介予定派遣の場合などに例外が認められています。
有料職業紹介にも取扱職業の制限があります。港湾運送業務に就く職業と建設業務に就く職業は、原則として通常の有料職業紹介では取り扱えません。
ただし、建設業務については、一定の要件を満たした建設事業主団体が厚生労働大臣の許可を受けて行う「建設業務有料職業紹介事業」という特例があります。
なお、派遣が禁止されている業務に派遣社員を従事させた場合は、労働契約申込みみなし制度の対象です。受け入れた企業が派遣社員に対して労働契約を申し込んだものとみなされ、本人が承諾すれば労働契約が成立します。
自社を離職して1年以内の人を派遣で受け入れることはできない
自社で直接雇用していた人を、離職から1年以内に派遣会社経由で派遣社員として受け入れることは認められていません。正社員だけでなく、アルバイトとして働いていた人も対象です。
退職した人にまた来てもらう前提で派遣に切り替える運用は成り立たないため、直接雇用のまま契約形態を見直すか、1年を待つかの判断になります。
60歳以上の定年退職者は、この禁止の対象から除かれています。
人材紹介は1名ごとに手数料がかかり、大量採用には向きにくい
紹介手数料が発生するのは、採用した人数の分だけです。1名あたりの金額が大きいため、10名を採用すれば手数料も10名分かかります。掲載の単位で費用が決まる求人広告とは、採用人数が増えたときの伸び方が違います。
採用までの期間も、派遣より長めです。書類選考から内定、入社手続きまでの工程を踏むうえ、在職中の候補者は退職手続きを経てから入社します。
急な欠員をすぐ埋めたい場面では、紹介だけで間に合わせるのは難しいでしょう。
人材派遣と人材紹介にかかる費用の決まり方
派遣料金と紹介手数料では、金額の決まり方が異なります。派遣料金は時間あたりの単価から、紹介手数料は採用が決まった人の賃金や年収から算出します。
派遣料金は時間単価に賃金や社会保険料などを含めた金額で決まる
派遣料金は、時間単価に稼働時間を掛けて算出します。この単価に含まれるのは、派遣社員に支払われる賃金だけではありません。
賃金以外の部分はマージンと呼ばれ、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費、派遣会社の利益が含まれます。
見積もりを比べるときは、残業が発生した場合の単価や、交通費が単価に含まれるかどうかもあわせて確認しておきましょう。
派遣会社は派遣料金に占めるマージン率の情報提供を義務づけられている
平成24年の労働者派遣法改正により、派遣会社にはマージン率などの情報公開が義務づけられました。派遣会社のホームページや人材サービス総合サイトで確認できます。
ただしマージン率は低いほどよいというものではありません。率の低さだけでは、その分が派遣社員の待遇や教育に回っているかどうかまでは分かりません。
賃金の平均水準や教育訓練の取り組み状況もあわせて見て、総合的に判断しましょう。
※出典:厚生労働省「派遣会社のマージン率等について」
紹介手数料は上限制と届出制のどちらかの方式で決まる
有料職業紹介の手数料には、上限制手数料と届出制手数料の2つの方式があります。
上限制の上限額は、求人の申込みを受け付けるときの受付手数料が1件につき710円、紹介手数料が支払われた賃金額の11.0%です(免税事業者の額や、6か月を超えて雇用される場合の算定方法は別に定められています)。
届出制では、紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表の額を徴収します。この方式では、採用が決まった人の理論年収に料率を掛けた額になります。理論年収とは、1年間在籍した場合に支払われる想定の年収です。
料率が決まるのは、求人ごとの契約です。一般的には理論年収の30%台に設定されている例が多いです。ただし届出制の手数料表では、これより高い上限を定めている会社もあります。
職種や採用の難易度によっても変わるため、契約前に手数料表と個別の料率の両方を確認しておきましょう。
※出典:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領(第6・手数料)」
※出典:厚生労働省「紹介手数料の最高額の改正について」
人材派遣と人材紹介を依頼してからの流れ
依頼してから人が働き始めるまでの手順は、派遣と紹介で違います。派遣は募集と選考の工程がないぶん短く、紹介は選考と入社手続きが入るぶん長めです。自社が何をいつ決めるのかは、それぞれ次の5段階です。
人材派遣は依頼から就業開始までが5段階で進む
人材派遣を依頼してから就業が始まるまでは、次の順で進みます。
- 依頼と条件のすり合わせ:業務内容、就業場所、就業時間、必要な知識や技術の水準を派遣会社に伝える
- 派遣会社による人選:雇用している人や登録している人のなかから、条件に合う人を派遣会社が選ぶ
- 職場見学:本人が希望した場合に、就業予定の職場を訪問する
- 労働者派遣契約の締結:業務内容、指揮命令者、派遣期間などを定め、抵触日を派遣会社へ通知する
- 就業開始:指揮命令者が業務を指示し、就業状況を派遣会社と共有する
自社が決めるのは業務内容と受け入れ条件までで、誰に来てもらうかを選ぶ工程は入りません。条件の伝え方が人選の精度をそのまま左右します。
人材紹介は依頼から入社までが5段階で進む
人材紹介を依頼してから入社までは、次の順で進みます。
- 依頼と採用要件のすり合わせ:職務内容、求める経験、想定年収、採用時期を紹介会社に伝える
- 求人票の作成:紹介会社が候補者に示す求人票を作り、内容を自社が確認する
- 候補者の推薦:要件に合う候補者を紹介会社が探し、本人の意向を確認したうえで推薦する
- 書類選考と面接:自社が選考を行い、日程調整は紹介会社が担う
- 内定と入社手続き:条件を提示し、直接雇用契約を結ぶ
在職中の候補者は退職手続きを経てから入社するため、内定から実際に働き始めるまでに時間がかかります。いつから来てほしいかは、要件のすり合わせの段階で伝えておく項目です。
採用の目的別に人材派遣と人材紹介のどちらを選ぶか
どちらが優れているかではなく、採用の目的に合うほうを選びましょう。期間が決まっている業務は派遣、長く担ってもらう業務は紹介という切り分けが基本です。判断が分かれやすい場面は、次の4つです。
産休や育休の代替と繁忙期の増員には人材派遣が向く
復帰する社員の代替や、決算期など時期が決まっている増員では、人材派遣が選びやすい方法です。有期契約の直接雇用でも対応できますが、募集から契約終了までの手続きは自社が担います。
産前産後休業や育児休業を取得する社員の代替業務は、派遣の期間制限の対象外です。復帰が延びても、期間制限を理由に受け入れを打ち切る必要はありません。
代替する業務が派遣の禁止業務に当たらないかは、先に確かめておきましょう。病院などにおける医療関係業務は派遣が禁止されていますが、産前産後休業や育児休業などを取得する労働者の代替であれば受け入れられます。
管理職や専門職など長く任せたい採用には人材紹介が向く
次のマネージャー候補や専任のエンジニアのように、経験を重視し長く担ってもらいたいポジションでは、人材紹介が向いています。派遣では業務範囲が契約に縛られるため、任せる範囲を広げていく使い方には向きません。
こうした層は求人広告を出しても応募が集まりにくく、転職を積極的に考えていない人も少なくありません。紹介会社を通せば、求人広告には自分から応募しない層にも自社の求人を届けられます。
その職種や業界に強い紹介会社かどうかも、推薦の精度に効いてきます。取り扱う業種や職種、紹介の実績を契約前に確かめておきましょう。
採用に割ける人手が少ない企業では人材紹介の支援が効きやすい
人事の担当者が1名か2名で、求人媒体の運用やスカウトの送信まで手が回らない企業では、紹介会社に任せられる範囲が広くなります。候補者の探索と日程調整を任せられるぶん、自社は面接と意思決定に時間を回せるでしょう。
ただし要件を伝えないまま任せると、推薦された候補者の見送りが続きます。求める経験と譲れない条件を言語化する作業は、外に出せません。
要件のすり合わせに時間を取れないうちは、募集の職種を絞って始めるほうが結果につながりやすくなります。
大量に採用したいときは求人広告など他の手段とも比べる
10名以上を同じ職種で採用するような場合は、求人広告や自社の採用サイトからの応募と、1名あたりの費用を比べてから決めましょう。
給与や勤務条件が市場の水準から離れている場合、手段を変えても応募は集まりにくいままです。条件面の見直しと採用手法の選択は、切り分けて検討する必要があります。
派遣、紹介、自社応募を併用すると、どの経路にいくらかけて何名を採用できたのかが分かりにくくなりがちです。Excelや、分析機能が限定的な採用管理システムでは、経路ごとの費用と採用実績を突き合わせる作業が毎回発生します。
採用管理システム「RPM」では、媒体やエージェントごとの応募数と採用数、費用を1つのシステムで横断的に確認できます。エージェント管理や分析に課題のある方は下記をご覧ください。
紹介予定派遣とは|派遣から直接雇用に移る制度

紹介予定派遣は、一定期間の労働者派遣を経て直接雇用に移ることを前提とした派遣です。派遣と紹介の中間に位置し、通常の派遣では認められない事前の選考ができます。どちらか一方に決めきれない場合の選択肢になります。
紹介予定派遣は6か月以内の派遣を経て直接雇用に移る仕組み
紹介予定派遣では、まず派遣社員として受け入れ、期間の満了後に直接雇用へ切り替えることを目指します。同じ人を紹介予定派遣で受け入れられる期間は、6か月が上限です。
直接雇用に移るには、企業と本人の双方が合意する必要があります。企業が採用したいと考えても、本人が辞退すれば成立しません。
自社が職業紹介を希望しなかった場合や、紹介された人を雇用しなかった場合は、派遣会社の求めに応じて、その理由を書面などで明示します。
※出典:厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」
紹介予定派遣では派遣を始める前の面接や履歴書の確認が認められている
派遣を始める前に候補者と面接し、履歴書を確認できます。書類と面接で判断したうえで、実際に働く様子も見てから採用を決められます。
ただし年齢を理由に対象から外すことは、紹介予定派遣でも認められていません。年齢を条件にできるのは、自社の定年年齢を下回ることを条件とする場合など、指針が挙げる例外に当たるときに限られます。
面接で確認する項目は、業務に必要な適性と能力に絞りましょう。
直接雇用に切り替わる時点で紹介手数料が発生する
紹介予定派遣では、派遣期間中の派遣料金と、直接雇用に切り替わる時点の紹介手数料の両方が発生します。派遣料金は稼働した分だけかかるもので、紹介手数料が請求されるのは雇用が成立した時点です。
費用が二段階で発生するため、派遣料金と紹介手数料を合計して見積もる必要があります。採用の失敗による早期退職を避けるための費用と考えるかどうかが、判断の分かれ目になるでしょう。
手数料の料率は契約によって異なります。派遣期間中の料金とあわせて、契約前に確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
人材派遣と人材紹介の違いを押さえたうえで、発注の前に確認されることが多い点をまとめました。
人材派遣と人材紹介を同じ会社にまとめて依頼できますか。
依頼できます。労働者派遣事業と有料職業紹介事業はそれぞれ異なる許可が必要ですが、両方に対応する会社もあるため、派遣と紹介を並行して相談できます。
許可が別である以上、どちらのサービスとして契約するかで結ぶ契約書も費用の発生の仕方も変わります。窓口が同じでも、労働者派遣契約と職業紹介の契約は分けて確認しましょう。
30日以内の短期だけ人手がほしい場合も人材派遣を使えますか。
使えます。日雇派遣として禁止されているのは、派遣会社との労働契約の期間が30日以内の人を派遣することです。
派遣会社と期間の定めなく雇用されている人や、31日以上の契約で雇用されている人であれば、受け入れる期間が30日以内でも派遣を受けられます。
日雇派遣にも例外があり、ソフトウェア開発など政令で定める業務は対象から除かれています。
また、60歳以上の人、雇用保険の適用を受けない学生、副業として従事する人(生業収入が500万円以上)、主たる生計者でない人(世帯収入が500万円以上)も例外の対象です。
自社が想定する頼み方が日雇派遣に当たるかどうかは、派遣会社に確認しましょう。
紹介で採用した人が早期に退職した場合、手数料は返ってきますか。
返戻金の規定があれば、退職までの期間に応じて手数料の一部が返ってきます。返る割合と対象期間は会社ごとに違い、入社から1か月以内は80%、3か月以内は50%というように段階を設けている例もあります。
法律で一律に定められた制度ではないため、契約前に返戻金の規定を確認しておきましょう。自己都合の退職に限るのか、解雇の場合も含むのかといった条件も、契約ごとの取り決めです。
派遣社員に契約にない業務を頼むとどうなりますか。
労働者派遣契約の違反になります。厚生労働省の指針は、契約の内容に違反する業務上の指示を行わないよう現場に指導を徹底することを、受け入れる企業の措置に挙げています。
現場の判断で頼んでしまうことを防ぐには、契約で定めた就業条件を指揮命令者に書面で渡し、就業状況を定期的に確認する運用にしておきましょう。
まとめ|人材派遣と人材紹介は採用の目的で使い分ける
- 人材派遣と人材紹介の違いは、働く人を雇用するのが派遣会社か自社かという点。そこから指揮命令、選考の可否、受け入れ期間、費用の発生タイミングまでが分かれる
- 派遣を受け入れる企業には、事業所単位と個人単位で原則3年という期間制限がかかる。事前の面接や履歴書の要求、自社を離職して1年以内の人の受け入れも認められない
- かかる費用は、派遣が稼働時間に応じた派遣料金、紹介が採用の成立時に生じる紹介手数料。派遣料金のマージンには社会保険料や教育訓練費が含まれるため、率の低さだけで派遣会社を選ばない
まず見るのは、その業務が一時的なものかどうかです。そのうえで、期間の制限や禁止業務に当たらないかを確認し、費用の出方が自社の予算の立て方に合うかまで見てから決めましょう。
派遣と紹介を併用する企業では、経路ごとの費用と採用実績が別々に管理されがちです。どちらにいくらかけて何名を採用できたのかが分からないままだと、次の募集で手段を選び直す根拠が残りません。
採用管理システム「RPM」は、複数の求人媒体と人材紹介会社からの応募を1つの基盤で管理するサービスです。媒体別の成果や広告費の集計に加え、応募受付から面接設定までの連絡を自動化。採用施策の意思決定を支えます。







