
人材派遣と人材紹介の違いとは?契約・費用・使い分けを解説
人材派遣と人材紹介の違いは「雇用主」と「契約形態」にあります。
派遣は派遣会社が雇用主となる間接雇用で、原則3年の期間制限など法律上の制約があります。一方、人材紹介は企業が直接雇用する仕組みで、成功報酬型の採用支援サービスです。
この違いは、費用の発生タイミング、選考の可否、契約期間、業務範囲にまで影響します。
本記事では、両者の違いを7項目で比較し、短期補充・長期採用など目的別の最適な選び方を実務視点で解説します。
目次[非表示]
- 1.人材派遣と人材紹介の最大の違いは「雇用主」と「契約形態」
- 2.【比較表】人材派遣と人材紹介の違いが一目でわかる7項目
- 2.1.違い① サービス内容:派遣は人手確保、紹介は採用支援である
- 2.2.違い② 雇用契約:派遣は派遣会社雇用、紹介は企業雇用である
- 2.3.違い③ 料金体系:派遣は時間課金、紹介は成功報酬である
- 2.4.違い④ 選考可否:派遣は原則できず、紹介は企業が選考できる
- 2.5.違い⑤ 契約期間:派遣は受け入れ期間に制限がある
- 2.6.違い⑥ 業務範囲:派遣は契約業務のみで運用される
- 2.7.違い⑦ 定着性:紹介は長期雇用、派遣は期間限定になりやすい
- 3.人材派遣とは|必要な期間だけ人手を確保する仕組み
- 3.1.人材派遣は派遣社員を一定期間受け入れるサービスである
- 3.2.派遣会社と企業は「労働者派遣契約」を結ぶ
- 3.3.給与支払いや社会保険など労務管理は派遣会社が担う
- 3.4.繁忙期や欠員補充など短期ニーズで活用されやすい
- 4.人材紹介とは|直接雇用で採用するための支援サービス
- 4.1.人材紹介は企業と求職者の雇用成立をあっせんするサービスである
- 4.2.採用決定後は企業と求職者が直接雇用契約を結ぶ
- 4.3.求人票作成や面接調整など採用業務を代行してもらえる
- 4.4.費用は採用成功時に発生する成功報酬型である
- 5.人材派遣のメリット・デメリット|短期補充に強いが制限もある
- 5.1.必要なタイミングで即戦力を確保できる
- 5.2.採用工数や労務管理負担を軽減できる
- 5.3.派遣には原則3年ルールなど期間制限がある
- 5.4.派遣先企業は派遣社員を事前選考できない
- 5.5.港湾・建設など派遣禁止業務が定められている
- 6.人材紹介のメリット・デメリット|長期採用に強いが費用がかかる
- 6.1.正社員など長期雇用の採用に向いている
- 6.2.採用活動をプロに任せ効率化できる
- 6.3.採用決定時のみ費用が発生するためコストが明確である
- 6.4.紹介手数料は年収の30〜35%程度が相場となる
- 6.5.大量採用や短期補充には向きにくい
- 7.【ケース別】人材派遣と人材紹介はどちらを選ぶべきか
- 7.1.短期の欠員補充なら人材派遣が適している
- 7.2.管理職・専門職の採用なら人材紹介が向いている
- 7.3.繁忙期対応は派遣、組織の中核採用は紹介である
- 7.4.採用リソースが不足している企業ほど紹介の効果が大きい
- 8.紹介予定派遣とは?派遣と紹介の中間にある制度
- 8.1.紹介予定派遣は最長6か月後の直接雇用を前提とする
- 8.2.派遣期間中に企業と本人が適性を見極められる
- 8.3.採用決定時には紹介手数料が発生する場合がある
- 8.4.ミスマッチを減らしたい企業に選ばれやすい
- 9.求職者側から見た派遣と紹介の違い|働き方・給与・安定性
- 9.1.派遣は勤務地や期間を選びやすい働き方である
- 9.2.紹介は正社員採用など安定した雇用につながりやすい
- 9.3.派遣は時給制、紹介は月給・年俸制が中心である
- 9.4.キャリア形成を重視するなら紹介が向くケースが多い
- 10.よくある質問(FAQ)|派遣と紹介の迷いを解消する
- 10.1.人材派遣と人材紹介の違いを一言でいうと?
- 10.2.派遣社員を企業が面接できないのはなぜ?
- 10.3.人材紹介の手数料相場はどれくらい?
- 10.4.派遣の3年ルールとは何ですか?
- 10.5.紹介予定派遣はどんな企業に向いていますか?
- 11.まとめ|人材派遣と人材紹介の違いを理解して最適な採用につなげよう
人材派遣と人材紹介の最大の違いは「雇用主」と「契約形態」
人材派遣と人材紹介の違いを理解する上で最も重要なのが、労働者と誰が雇用契約を結ぶかという点です。
ここさえ押さえれば、費用やルールの違いも自然と理解できます。
人材派遣は派遣会社が雇用主となる「間接雇用」である
人材派遣の場合、派遣先企業は、労働者と雇用契約を結びません。
労働者の雇用主はあくまで派遣会社です。
企業は派遣会社と「労働者派遣契約」を結び、派遣会社から労働力の提供を受けます。
これを間接雇用と呼びます。業務上の指揮命令は派遣先企業が行いますが、給与支払いや労務管理の責任は雇用主である派遣会社が負います。
人材紹介は企業が雇用主となる「直接雇用」である
一方、人材紹介(有料職業紹介)の場合、紹介会社はあくまで仲介役です。
採用が決まれば、企業は労働者と直接、雇用契約を結びます。これを直接雇用と呼びます。
正社員や契約社員の採用支援サービスと言い換えてもよいでしょう。
入社後は自社の就業規則が適用され、人事権も企業側が持ちます。
雇用主が違うため費用・期間・選考ルールも異なる
雇用主が誰かという違いは、実務上のあらゆるルールに直結します。
- 指揮命令: 派遣では派遣先が業務指示を行うが、雇用主は派遣会社である。
- 給与支払い: 派遣は派遣会社、紹介は企業が支払う。
- 期間制限: 派遣には法律上の制限(原則3年)がある。一方、紹介による正社員採用には同様の派遣期間制限はない。
【比較表】人材派遣と人材紹介の違いが一目でわかる7項目
両者の違いを整理するため、実務で重要となる7つの項目を比較表にまとめました。
比較項目 | 人材派遣 | 人材紹介(転職エージェント) |
|---|---|---|
①サービス内容 | 必要な期間・スキルの労働力確保 | 正社員などの採用支援 |
②雇用契約 | 派遣会社と結ぶ(間接雇用) | 自社と結ぶ(直接雇用) |
③料金体系 | 時間課金 | 成功報酬(想定年収 × 30〜35%) |
④選考可否 | 採否を判断する目的での選考行為は禁止 | 可能(書類選考・面接を行う) |
⑤契約期間 | 有期(原則最長3年の制限あり) | 無期(正社員)または有期(契約社員) |
⑥業務範囲 | 契約で定めた業務範囲に限定 | 柔軟に変更・拡大が可能 |
⑦定着性 | 契約期間満了で終了しやすい | 長期的な定着・育成が前提 |
違い① サービス内容:派遣は人手確保、紹介は採用支援である
- 人材派遣:欠員補充や繁忙期対応など、必要なスキルを持った労働力を一時的に確保するサービスです。スピーディーな手配が可能ですが、契約終了とともにリソースはなくなります。「必要な時に必要なだけ」という調整弁としての機能が強いです。
- 人材紹介:自社の理念に共感し、将来的に利益を生み出す人材を採用するための手段です。ノウハウを社内に蓄積できる点が最大の違いです。組織力強化やコア人材の獲得を目的とした投資活動と言えます。
違い② 雇用契約:派遣は派遣会社雇用、紹介は企業雇用である
- 人材派遣:雇用主は派遣会社です。社会保険の加入手続き、給与計算、有給休暇の管理といった労務管理はすべて派遣会社が負担します。企業側は派遣料金を支払うだけで、煩雑な管理業務から解放されます。
- 人材紹介:雇用主は自社となります。入社手続きから評価制度の運用、福利厚生の提供まで、すべて自社で行う必要があります。管理コストを外部化できるか、自社で抱えるかが大きな判断基準となります。
違い③ 料金体系:派遣は時間課金、紹介は成功報酬である
- 人材派遣:働いた時間分だけ費用が発生します。予算管理がしやすい反面、長期間利用すると正社員よりも総額が高くなる可能性があります。また、残業代込みの単価設定になっているか等の確認も必要です。
- 人材紹介:採用決定時にまとまった費用(年収の30-35%)を支払います。初期投資は大きいですが、その後の月額紹介料などはかからず、長く定着すれば費用対効果は良くなります。契約に基づき返金規定が設けられている場合が多いです。
違い④ 選考可否:派遣は原則できず、紹介は企業が選考できる
- 人材派遣:労働者派遣法では、雇用主ではない派遣先企業が派遣社員を選考すること(特定行為)を禁止しています。「面接して決めたい」「履歴書を見たい」という要望には応えられません。職場見学での顔合わせのみ可能です。
- 人材紹介:自社の採用基準に照らして書類選考や面接を実施し、カルチャーフィットまで含めて厳格に合否を判断できます。適性検査なども実施可能です。
違い⑤ 契約期間:派遣は受け入れ期間に制限がある
- 人材派遣:労働者派遣法による「3年ルール(事業所単位・個人単位)」があり、原則として3年の制限があります(無期雇用派遣など例外あり)。継続して働いてもらうには、直接雇用への切り替えや部署変更、無期雇用派遣への転換などの対応が必要になります。
- 人材紹介:正社員採用には法的な期間制限がないため、長期的なキャリア形成や配置転換、将来の幹部登用などが可能です。雇用の安定性は圧倒的に高くなります。
違い⑥ 業務範囲:派遣は契約業務のみで運用される
- 人材派遣:契約で業務内容を厳密に定義する必要があり、「手が空いたから電話番もお願い」といった契約外の業務を指示することはコンプライアンス違反となります。業務変更には契約の巻き直しが必要です。
- 人材紹介:会社の状況変化や本人の成長に合わせて、業務範囲を柔軟に調整・指示できます。マルチタスクを求めるなら直接雇用が適しています。
違い⑦ 定着性:紹介は長期雇用、派遣は期間限定になりやすい
- 人材派遣:あくまで一時的なリソースであり、契約期間が終われば人材もノウハウも社外へ去ってしまいます。業務の属人化を防ぐマニュアル化が必須となります。
- 人材紹介:組織としての知見を蓄積し、将来の幹部候補やリーダーを育成したい場合は、長く働くことを前提とした紹介(直接雇用)が不可欠です。
人材派遣とは|必要な期間だけ人手を確保する仕組み
人材派遣の仕組みについて、さらに詳しく掘り下げます。
人材派遣は派遣社員を一定期間受け入れるサービスである
「必要な時に、必要なスキルを持った人を、必要な期間だけ」活用できるのが派遣の特徴です。正社員を採用するほどではない業務量の変動や、産休・育休中の代替要員として重宝されます。
自社で教育する時間を省き、即戦力を調達できるため、プロジェクト単位での活用にも適しています。
▼活用例
- プロジェクト対応: システム導入期間中だけのサポート要員
- 季節要因: 決算期、年末商戦、イベント開催時だけの増員
- リスクヘッジ: 固定費を抱え込みたくない新規事業の立ち上げ期
派遣会社と企業は「労働者派遣契約」を結ぶ
企業は派遣会社と「基本契約」および「個別契約」を結びます。
この契約では、就業場所、業務内容、指揮命令者、派遣期間などを詳細に定めます。
特に「指揮命令者」の選定は重要で、現場で誰が業務指示を出すかを明確にしておく必要があります。
契約外の業務指示や二重派遣は法律で厳しく禁じられています。
給与支払いや社会保険など労務管理は派遣会社が担う
派遣社員の社会保険加入手続き、有給休暇の管理、健康診断の実施などはすべて雇用主である派遣会社の責任で行われます。
企業側のメリットは、煩雑な労務手続きから解放されることです。
毎月の派遣料金(請求書払い)を処理するだけで済みます。ただし、労働時間の管理(タイムシート承認)や労働環境の安全配慮義務は派遣先企業にも課せられます。
繁忙期や欠員補充など短期ニーズで活用されやすい
「決算期だけ経理スタッフを増やしたい」「急な退職で穴が空いた」といった緊急かつ短期的なニーズに対し、スピーディーに人員を確保できる点が強みです。
正社員募集では数ヶ月かかる採用も、派遣なら登録スタッフからマッチングするため、早ければ数日〜1週間程度で就業開始できる機動力が魅力です。
人材紹介とは|直接雇用で採用するための支援サービス
続いて、人材紹介(有料職業紹介)の仕組みを解説します。
人材紹介は企業と求職者の雇用成立をあっせんするサービスである
人材紹介会社(転職エージェント)は、企業の採用要件にマッチする候補者を探し出し、引き合わせる役割を担います。
国の許可を得た事業者が行う事業であり、単なる情報提供にとどまらず、双方が合意に至るまで交渉や調整を行う「仲介機能」を持つ点が求人媒体との大きな違いです。
採用決定後は企業と求職者が直接雇用契約を結ぶ
紹介会社の手を離れた後は、自社の社員として雇用契約を結びます。就業規則の適用や給与支払い、評価制度などはすべて自社の規定に従います。
▼直接雇用の特徴
- 人事権の行使: 配置転換や昇進・昇格を企業側が決定できる
- カルチャーフィット: 自社の文化に染まったコア人材を育成しやすい
- 見極めの必要性: 試用期間中に適性をしっかり判断する必要がある
求人票作成や面接調整など採用業務を代行してもらえる
採用担当者の負担となる業務をエージェントが代行します。
これにより、担当者は面接などのコア業務に集中できます。
▼主な代行業務
- 母集団形成: 自社ではリーチできない転職潜在層へのアプローチ
- 条件交渉: 候補者には直接言いにくい年収や入社日の調整
- 日程調整: 候補者との面接日程のすり合わせ
- 合否連絡: 不採用通知などの事務的な連絡
費用は採用成功時に発生する成功報酬型である
初期費用はかかりません。採用が決定(入社)した時点ではじめて紹介手数料が発生します。リスクを抑えて採用活動を行えるのが特徴です。
求人広告のように「掲載したけれど応募がゼロだった」という掛け捨てリスクがないため、予算が限られている場合や、絶対に失敗できない重要ポジションの採用において、費用対効果を見通しやすいメリットがあります。
人材派遣のメリット・デメリット|短期補充に強いが制限もある
人材派遣はスピーディーな人員確保や労務管理の軽減といった大きなメリットがある反面、法律による期間制限や事前面接の禁止など、派遣ならではの独自のルールも存在します。
これらを理解した上で活用することが重要です。
必要なタイミングで即戦力を確保できる
登録済みのスタッフから人選するため、依頼から就業開始までのリードタイムが短いのが特長です。
- スピード: 早ければ数日〜1週間程度で人員を確保可能
- 即戦力: 実務経験のあるスタッフが派遣されるため、教育コストを削減できる
採用工数や労務管理負担を軽減できる
募集・選考の手間がなく、入社後の社会保険手続きなども不要です。管理コストを変動費化できる点も経営上のメリットです。
また、賞与や退職金の積み立てが不要(派遣料金に含まれる)であるため、人件費の固定化を防ぎ、経営状況に応じた柔軟な要員調整が可能になります。
派遣には原則3年ルールなど期間制限がある
同じ派遣社員を同じ部署で3年以上受け入れることは、原則としてできません(抵触日)。これを「3年ルール」と呼びます。
▼3年を超える場合の対応
- 直接雇用への切り替え
- 部署異動(課を変えるなど)
- 無期雇用派遣への転換
派遣先企業は派遣社員を事前選考できない
派遣先企業が「面接」や「履歴書の選考」を行うことは法律で禁止されています。
そのため、「会ってみたらスキルや相性が想定と違った」というミスマッチが起こるリスクがあります。
企業ができるのは「職場見学」の受け入れまでであり、あくまで派遣会社が選んだ人材を受け入れるスタンスが必要です。
港湾・建設など派遣禁止業務が定められている
以下の業務には、労働者派遣を行うことが法律で禁止されています。
違反すると「労働者供給事業」とみなされ、厳しい罰則の対象となります。
- 禁止業務例: 港湾運送、建設、警備、医療(一部除く)
- 要注意: 士業の一部(弁護士、公認会計士など)も制限あり
人材紹介のメリット・デメリット|長期採用に強いが費用がかかる
人材紹介は長期的な雇用を前提とした正社員採用に強く、成功報酬型でリスクを抑えられる点が魅力です。
一方で、採用コストの高さや即日確保の難しさには注意が必要です。
正社員など長期雇用の採用に向いている
自社で育成し、長く活躍してもらう人材を採用するのに適しています。
帰属意識を高めやすく、ノウハウの蓄積も期待できます。
福利厚生やキャリアパスを提示することで、優秀な人材を惹きつけやすくなり、組織の中核を担うリーダーやマネージャー層の採用にも適しています。
採用活動をプロに任せ効率化できる
- 非公開求人: 競合他社に採用の動きを知られたくない場合に有効
- 応募殺到の回避: 人気企業などで、応募者が多すぎる場合のスクリーニングに有効
- 工数削減: エージェントが一次選考を行うため、採用担当者は「会うべき候補者」だけに時間を割ける
採用決定時のみ費用が発生するためコストが明確である
「何人面接してもタダ」であるため、予算が無駄になることがありません。
採用単価を確定させてから動くことができます。
採用予算が期初に決まっていない場合でも、「採用できたら払う」という稟議が通しやすく、無駄な広告宣伝費の流出を防げる点で財務的なメリットもあります。
紹介手数料は年収の30〜35%程度が相場となる
採用決定者の理論年収の30〜35%が手数料相場です(年収500万円なら約175万円)。
ハイクラス層では40%以上になる傾向があります。
1名あたりの採用コスト(CPA)としては、求人広告と比較して高額になりがちです。
「それだけのコストをかけても採用すべき人材か」という投資対効果の判断が求められます。
大量採用や短期補充には向きにくい
1名ごとに手数料がかかるため、大量採用するとコストが膨大になります。
- コスト増: 10名採用すれば手数料も10倍かかる(求人広告の方が安くなるケースが多い)
- リードタイム: 書類選考・面接・内定調整とプロセスが長くなるため、緊急の欠員補充には不向き
【ケース別】人材派遣と人材紹介はどちらを選ぶべきか
どちらが良い悪いではなく、自社の課題や状況に合わせて使い分けることが重要です。
ここでは具体的なシーン別の最適解を提示します。
短期の欠員補充なら人材派遣が適している
「産休に入る社員の代替で1年だけ」「繁忙期の3ヶ月だけ」といった期限付きの業務には、人材派遣が最適です。
直接雇用で有期雇用のスタッフを採用する場合、契約終了時の雇い止めトラブルのリスクがありますが、派遣であれば契約満了としてスムーズに終了できます。
期間が明確なプロジェクトや季節業務においては、最も合理的な選択肢となります。
管理職・専門職の採用なら人材紹介が向いている
「次期マネージャー候補」「専任のエンジニア」など、スキルと経験を重視し、長く定着してほしいポジションには人材紹介を選びましょう。
こうした層は転職市場でも希少価値が高く、求人広告を出しても応募が来ないことが多いため、エージェントを通じたスカウトや紹介が有効です。
専門性の高いエージェントを活用することで、自社にない知見を持った人材に出会える可能性が高まります。
繁忙期対応は派遣、組織の中核採用は紹介である
定型業務やオペレーション業務のボリューム調整には派遣、企業の成長を担うコア業務には紹介(直接雇用)という使い分けが基本戦略です。
コア業務を派遣に依存しすぎると、ノウハウが社内に残らず、組織力が低下する恐れがあります。
逆に、定型業務をすべて正社員で賄うと、固定費が高止まりして経営を圧迫するため、業務の性質に応じた適材適所の配置が求められます。
採用リソースが不足している企業ほど紹介の効果が大きい
人事担当者が少なく、母集団形成や日程調整に手が回らない企業こそ、人材紹介の手厚いサポートが効果を発揮します。
媒体運用やスカウト送信に時間を割けない場合、エージェントに要件だけ伝えて「待ち」の状態で候補者を集められるのは大きなメリットです。
採用工数をアウトソースすることで、担当者は最終面接などの重要な意思決定に集中できます。
紹介予定派遣とは?派遣と紹介の中間にある制度
「派遣」からスタートし、一定期間後に「直接雇用」へ切り替えることを前提とした紹介予定派遣という仕組みもあります。
紹介予定派遣は最長6か月後の直接雇用を前提とする
最長6ヶ月間の派遣期間を「試用期間」のように活用できます。この期間終了時に、企業と本人の双方が合意すれば、正社員や契約社員として直接雇用契約を結びます。
通常の派遣とは異なり、最初から「雇用すること」を目的とした制度であるため、派遣期間中も社員同様の育成を行うことが一般的です。
双方合意が前提のため、企業側だけでなく求職者側から辞退される可能性がある点には注意が必要です。
派遣期間中に企業と本人が適性を見極められる
通常の派遣では禁止されている「事前の面接・選考」が、紹介予定派遣では可能です。
また、実際の働きぶりを見てから採用を判断できるため、ミスマッチを大幅に減らせます。
「履歴書は立派だが、実務能力や社風への馴染み方が不安」という場合に、リスクを最小限に抑えることができます。
面接だけでは見抜けない協調性や勤務態度を確認できる点が最大のメリットです。
採用決定時には紹介手数料が発生する場合がある
直接雇用へ切り替わるタイミングで、人材紹介と同様の紹介手数料が発生します(派遣期間中の料金とは別途必要になる契約が一般的です)。
一見コストが二重にかかるように見えますが、採用ミスによる早期退職リスクを回避するための「保険料」と捉えることもできます。
手数料率は通常の人材紹介よりも若干低く設定されるケースもあります。
ミスマッチを減らしたい企業に選ばれやすい
「いきなり正社員で採用するのはリスクがあるが、良い人がいれば長く働いてほしい」と考える企業にとって、非常に有効な選択肢です。
特に、未経験者を採用して育てる場合や、独自のカルチャーが強い企業において、定着率を高める手段として活用されています。
採用後の定着率向上は、長い目で見れば採用コストの削減にもつながります。
求職者側から見た派遣と紹介の違い|働き方・給与・安定性
採用担当者として、求職者がどのような視点で働き方を選んでいるかを知っておくことも重要です。
彼らのインサイトを理解することで、適切なアプローチが可能になります。
派遣は勤務地や期間を選びやすい働き方である
【求職者のメリット】
- 転勤なしで働きたい
- 残業なしでプライベートを重視したい
- 夫の扶養内で働きたい
ワークライフバランスを最優先する層や、家庭の事情でフルタイム勤務が難しい層にとって、派遣は合理的な選択肢となります。
こうしたニーズを持つ層にアプローチすることで、優秀なスキルを持つ人材を確保できる可能性があります。
紹介は正社員採用など安定した雇用につながりやすい
【求職者のメリット】
- ボーナスが欲しい、年収を上げたい
- 昇進・キャリアアップしたい
- 雇用期間を気にせず働きたい
長期的な生活の安定や、社会的信用(ローン審査など)を重視する層は、やはり直接雇用を希望する傾向にあります。
責任ある仕事を任されたいという意欲も高いため、企業の成長エンジンとしての活躍が期待できます。
派遣は時給制、紹介は月給・年俸制が中心である
- 派遣(時給制):働いた時間分だけ給与が出ます。ゴールデンウィークや年末年始など、祝日が多い月は収入が減る可能性があります。
- 紹介(月給制):毎月の収入が安定します。求職者にとって「毎月の手取りが変動するリスク」は大きな判断材料となります。
給与形態の違いは、求職者の生活設計に直結するため、募集時には条件を明確に伝えることが重要です。
キャリア形成を重視するなら紹介が向くケースが多い
一つの企業で深く経験を積み、スキルアップや昇進を目指すキャリア形成には、やはり直接雇用が有利です。
派遣でもスキルアップは可能ですが、どうしても「切り出された業務」に限定されがちです。
プロジェクト全体を統括したり、部下をマネジメントしたりする経験を積むには、正社員としての採用が近道となります。
企業側も、キャリアパスを提示することで優秀な人材を惹きつけやすくなります。
よくある質問(FAQ)|派遣と紹介の迷いを解消する
最後に、人材派遣と人材紹介の違いに関して、採用担当者から頻繁に寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。契約や費用の疑問を解消し、判断の参考にしてください。
人材派遣と人材紹介の違いを一言でいうと?
「雇用主」が違います。
派遣は「派遣会社」に雇われますが、紹介は「あなたの会社(就業先)」に雇われます。
これにより、指揮命令の範囲や契約期間、労務管理の責任の所在がすべて変わってきます。派遣は「労働力の提供」、紹介は「採用の支援」と捉えると分かりやすいでしょう。
派遣社員を企業が面接できないのはなぜ?
派遣法で禁止されているからです。
派遣先企業が採用選考に関与すること(事前面接や履歴書の選別など)は、雇用関係がないのにもかかわらず雇用主のような振る舞いをすることになり、法的に認められていません(紹介予定派遣は例外です)。
特定行為の禁止と呼ばれ、違反すると指導の対象となります。
人材紹介の手数料相場はどれくらい?
年収の30〜35%が一般的です。
例えば年収400万円の人を採用した場合、120万〜140万円程度の手数料が発生します。業界や職種難易度によって変動し、ハイクラス層では40%以上になることもあります。
完全成功報酬型のため、採用できなければ費用はかかりません。
派遣の3年ルールとは何ですか?
同じ派遣社員を、同じ組織(課など)で3年以上受け入れてはならないというルールです。
労働者の雇用の安定を図るための法律(労働者派遣法)です。
3年を超えて働いてもらうには、直接雇用への切り替えや、部署異動、無期雇用派遣への転換などが必要です。
長期的な戦力として期待する場合は、早めの対策が求められます。
紹介予定派遣はどんな企業に向いていますか?
「スキルだけでなく、社風に合うかじっくり見極めたい」企業に最適です。
また、求職者にとっても「入社してみたら違った」というリスクを減らせるため、慎重に職場を選びたい層に人気があります。
双方合意が前提のため、無理な引き止めや入社強要ができない点も特徴です。定着率向上を重視する場合に推奨されます。
まとめ|人材派遣と人材紹介の違いを理解して最適な採用につなげよう
人材派遣と人材紹介は、どちらが優れているかという問題ではなく、「目的」によって使い分けるべきサービスです。
派遣は短期の労働力確保、紹介は長期採用支援である
- 人材派遣: 今すぐ人手が欲しい、期間限定で頼みたい、労務管理を楽にしたい
- 人材紹介: 将来のコア人材が欲しい、自社で育成したい、採用業務を効率化したい
両者の特性を理解し、自社の状況に合わせて使い分けることが重要です。
短期的な穴埋めには派遣、長期的な組織強化には紹介という基本線を軸に検討しましょう。
違いは雇用主・契約形態・費用発生タイミングにある
- 派遣: 間接雇用、時給課金(ランニングコスト)
- 紹介: 直接雇用、成功報酬(イニシャルコスト)
コストの発生タイミングも大きく異なります。
初期費用を抑えて毎月の経費で処理したいなら派遣、採用時に投資してその後のランニングコストを抑えたいなら紹介(正社員)が適しています。
採用目的に合わせて最適な手段を選ぶことが重要である
「いつまでに」「どんな人を」「どのくらいの期間」雇用したいのか。
まずは自社の採用計画を整理し、それぞれの特性とコスト・リスクを天秤にかけて最適な手段を選択することが、採用成功への最短ルートです。
それぞれの特徴を正しく理解して使い分けることこそが、無駄なコストを抑え、企業の成長を支える人材確保のカギとなります。






