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無期雇用派遣とは?登録型や正社員との違い、メリット・デメリットを解説

人手不足が深刻化する中、長期的に安定した人材を確保する手段として「無期雇用派遣」が注目されています。

無期雇用派遣とは、派遣社員が人材派遣会社と期間の定めのない労働契約(無期雇用契約)を結び、派遣先企業で就業する働き方です。

従来の登録型派遣(有期雇用派遣)にある「3年ルール」の制限を受けないため、企業は熟練したスタッフを長期的に受け入れることができます。

一方で、導入には派遣料金のコスト構造や、契約終了時の対応など、企業側が理解しておくべきリスクやデメリットも存在します。

本記事では、無期雇用派遣の仕組みや登録型派遣との違い、企業が導入するメリット・デメリットについて見ていきましょう。

さらに記事の後半では、無期雇用派遣と正社員採用のどちらが自社に適しているかを判断するためのポイントについても解説します。

なお、正社員採用を効率化したいとお考えなら、採用管理システム(ATS)「RPM」の活用がおすすめです。

目次[非表示]

  1. 1.無期雇用派遣とは期間の定めなく働ける雇用形態
    1. 1.1.登録型派遣との違いは雇用期間の制限がなく安定して働けること
    2. 1.2.派遣先企業の正社員との違いは雇用主が派遣会社であること
    3. 1.3.無期転換ルールとの違いは契約形態と発生のタイミングにある
  2. 2.企業が無期雇用派遣を活用するメリット
    1. 2.1.3年ルールの制限を受けずに長期的に人材を確保できる
    2. 2.2.採用にかかる工数や教育コストを削減して即戦力を定着できる
    3. 2.3.安定志向の人材が多く高いモチベーションとスキルを期待できる
  3. 3.企業が無期雇用派遣を活用するデメリットや注意点
    1. 3.1.派遣会社へのマージンが含まれるため派遣料金が割高になる
    2. 3.2.契約終了や人員調整のハードルが高く柔軟な対応が難しい
    3. 3.3.事前面接などの特定目的行為は禁止されているため人選はできない
  4. 4.無期雇用派遣の受け入れが向いている企業やケース
    1. 4.1.長期的なプロジェクトやノウハウの蓄積が必要な部署に向いている
    2. 4.2.コア業務や準コア業務を任せて社員の負担を減らしたい場合に最適
  5. 5.無期雇用派遣と正社員採用を比較検討する際のポイント
    1. 5.1.採用・教育コストと即戦力確保のバランスで判断する
    2. 5.2.長期的な人件費と雇用調整の柔軟性を比較する
  6. 6.無期雇用派遣の活用に関するよくある質問
    1. 6.1.途中で無期雇用派遣から自社の正社員へ登用することはできますか?
    2. 6.2.派遣の受け入れ期間に制限がないというのは本当ですか?
    3. 6.3.無期雇用派遣の社員に対して自社の就業規則は適用されますか?
  7. 7.【まとめ】無期雇用派遣の活用はメリットとリスクを理解して検討しよう

無期雇用派遣とは期間の定めなく働ける雇用形態

無期雇用派遣の仕組み(派遣元が雇用主、派遣先が指揮命令、3年ルール対象外)無期雇用派遣は、派遣労働者が派遣元(派遣会社)と無期雇用契約を締結している状態を指します。

派遣先での就業期間が終了しても、派遣元との雇用契約は継続するため、派遣社員にとっては雇用の安定性が高い働き方です。

企業(派遣先)にとっては、抵触日を気にせず、同じスタッフを長期間受け入れられる点が最大の特徴となります。

ここでは、混同されやすい「登録型派遣」や「正社員」との違い、そして「無期転換ルール」との関係について詳しく見ていきましょう。

  • 登録型派遣との違いは雇用期間の制限がなく安定して働けること
  • 派遣先企業の正社員との違いは雇用主が派遣会社であること
  • 無期転換ルールとの違いは契約形態と発生のタイミングにある

登録型派遣との違いは雇用期間の制限がなく安定して働けること

最も大きな違いは「雇用期間の制限(3年ルール)」の有無です。

一般的な登録型派遣(有期雇用派遣)の場合、労働者派遣法により、同一の派遣先事業所・同一の組織単位で3年を超えて働くことは原則としてできません(抵触日)。

しかし、無期雇用派遣はこの「期間制限の適用外」となります。

項目

無期雇用派遣

登録型派遣(有期雇用)

雇用契約

期間の定めなし(無期)

期間の定めあり(有期)

派遣期間

無期限(3年ルールの対象外)

原則3年まで

雇用主

派遣会社

派遣会社

給与

待機期間中も月給や休業手当等が保証される

就業期間のみ支給

選考

派遣会社の採用選考あり

原則なし(登録のみ)

このように、無期雇用派遣は期間を気にせず働き続けられるため、業務の継続性や長期的な人材育成が求められる現場に向いています。

派遣先企業の正社員との違いは雇用主が派遣会社であること

無期雇用派遣社員は、あくまで「派遣会社」に雇用されているのです。

そのため、実際の業務指示(指揮命令権の行使)は派遣先企業が行いますが、給与の支払いや社会保険の手続き、福利厚生の提供は派遣会社が行います。

また、派遣先企業にとっては「外部の人材」であるため、自社の正社員とは異なり、直接的な人事評価や昇給の決定権は持ちません。

ただし、無期雇用派遣社員は派遣会社の正社員(またはそれに準ずる雇用形態)として採用されているケースが多く、フルタイム勤務が基本であるため、待遇や勤務実態は自社の正社員に近いものになります。

無期転換ルールとの違いは契約形態と発生のタイミングにある

「無期雇用派遣」とよく混同されるのが、労働契約法に基づく「無期転換ルール(5年ルール)」です。

これらは言葉は似ていますが、まったく異なる制度といえます。

  • 無期雇用派遣:最初から派遣会社と「無期雇用契約」を結んで派遣される働き方。
  • 無期転換ルール:有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者の申し込みによって無期雇用契約に転換できる権利(無期転換申込権)。

つまり、無期雇用派遣は「最初から無期」であるのに対し、無期転換ルールは「長く働いた結果として無期になれる権利」という違いがあります。

企業の人事担当者は、受け入れている派遣社員がどちらのケースに該当するのかを正しく把握しておく必要があるのです。

企業が無期雇用派遣を活用するメリット

無期雇用派遣のメリット3つ(長期定着、採用・教育コスト削減、意欲・スキルが安定)無期雇用派遣を導入することで、企業は安定した人材確保やコスト削減といったメリットを得られます。

特に、長期的なプロジェクトや、専門スキルを要する業務で高い効果が期待できるでしょう。

具体的なメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 3年ルールの制限を受けずに長期的に人材を確保できる
  • 採用にかかる工数や教育コストを削減して即戦力を定着できる
  • 安定志向の人材が多く高いモチベーションとスキルを期待できる

3年ルールの制限を受けずに長期的に人材を確保できる

前述の通り、無期雇用派遣には3年の期間制限がありません。

登録型派遣では、優秀なスタッフであっても3年で入れ替えなければならないという課題がありましたが、無期雇用派遣であればその心配は不要です。

抵触日を管理する手間がなくなり、業務に習熟したスタッフをチームのコアメンバーとして長期的に定着させることができます。

人の入れ替わりによる業務品質の低下や、引継ぎにかかるロスタイムを防ぐことが可能な点は大きなメリットです。

採用にかかる工数や教育コストを削減して即戦力を定着できる

自社で正社員を採用する場合、人材募集(求人広告の出稿)や書類選考、面接といった採用プロセスに多大な工数とコストがかかります。

しかし、無期雇用派遣であれば、派遣会社が採用と基礎教育を行った人材を受け入れるため、これらの初期コストを大幅に削減できるのです。

また、派遣会社側でビジネスマナーやPCスキルなどの研修を受けているケースが多く、受け入れ直後から即戦力として稼働してもらうことが期待できます。

安定志向の人材が多く高いモチベーションとスキルを期待できる

無期雇用派遣として働くスタッフは、安定した雇用環境を求めて派遣会社の選考を通過した人材です。

そのため、登録型派遣と比較して、キャリア形成に対する意欲や責任感が強い傾向にあります。

「一つの場所で長く働きたい」「キャリアアップして貢献したい」というモチベーションを持った人材が多いため、業務の質向上や職場全体の活性化にもつながるでしょう。

企業が無期雇用派遣を活用するデメリットや注意点

無期雇用派遣の注意点3つ(派遣料金が割高、契約終了の調整が難しい、人選できない)多くのメリットがある一方で、無期雇用派遣には導入前に知っておくべきデメリットや注意点もあります。

特にコスト面や契約の柔軟性については、自社の状況と照らし合わせて慎重に判断する必要があるでしょう。

主な注意点は次の3つです。ここでは、これらのデメリットや注意点について、詳しく解説していきます。

  • 派遣会社へのマージンが含まれるため派遣料金が割高になる
  • 契約終了や人員調整のハードルが高く柔軟な対応が難しい
  • 事前面接などの特定目的行為は禁止されているため人選はできない

派遣会社へのマージンが含まれるため派遣料金が割高になる

無期雇用派遣の料金相場は、一般的な登録型派遣よりも高く設定されている傾向があります。

これは、派遣会社側が雇用を保証しており、簡単に解雇できないため、待機期間中の給与などの固定費を負担しているためです。

時間単価で見ると、自社で直接雇用するパート・アルバイトよりも割高になるケースが多いのが実情です。

そのため、単純なコスト比較ではなく、採用・教育コストの削減効果や人材の質を含めた費用対効果で判断する必要があります。

契約終了や人員調整のハードルが高く柔軟な対応が難しい

「必要な時に必要な期間だけ」活用できるのが派遣の強みですが、無期雇用派遣の場合、その柔軟性は低くなってしまうのです。

派遣会社にとって、無期雇用派遣社員は「自社の社員」であるため、派遣先都合での急な契約終了は、派遣会社の経営リスクに直結します。

そのため、契約解除には数ヶ月前からの予告が必要であったり、正当な理由が求められたりするなど、調整のハードルが高くなるのです。

繁忙期だけのスポット利用には、不向きである点に注意が必要です。

「無期雇用派遣はやめた方がいい」といったネガティブな評判は、制度そのものの問題というより、目的と使い方が合っていないことによるミスマッチから生じるケースもあります。

事前面接などの特定目的行為は禁止されているため人選はできない

無期雇用派遣であっても、あくまで「派遣」であるため、派遣先企業が特定の人材を選別する行為(事前面接や顔合わせ、履歴書の送付要請など)は、労働者派遣法で禁止されています。

これは紹介予定派遣を除くすべての派遣形態に適用されるルールです。

そのため、「面接をして人柄を確かめてから採用したい」という要望には応えられません。

求めるスキル要件や人物像を詳細に派遣会社へ伝え、マッチする人材を派遣してもらうというプロセスになります。

無期雇用派遣の受け入れが向いている企業やケース

無期雇用派遣が向いているケース(長期プロジェクト・準コア業務の委任で効果が出やすい)

どのような企業や部署が、無期雇用派遣の導入に適しているのでしょうか。

メリットとデメリットを踏まえると、以下のようなケースでの活用が推奨されます。

ここでは、無期雇用派遣の受け入れが向いている企業やケースについて、詳しく解説していきます。

  • 長期的なプロジェクトやノウハウの蓄積が必要な部署に向いている
  • コア業務や準コア業務を任せて社員の負担を減らしたい場合に最適

長期的なプロジェクトやノウハウの蓄積が必要な部署に向いている

開発期間が数年に及ぶシステム開発プロジェクトや、顧客との長期的な関係構築が必要な営業事務などの職種は、無期雇用派遣に最適です。

メンバーの入れ替わりが激しいとプロジェクトの進行に支障が出ますが、無期雇用派遣であれば期間制限なく、一貫して業務を担当してもらえます。

属人化しやすい業務であっても、長期在籍を前提とすることで、マニュアル化や後進への指導といった役割も期待できるでしょう。

コア業務や準コア業務を任せて社員の負担を減らしたい場合に最適

定型業務だけでなく、判断を伴う準コア業務まで任せたい場合にも向いています。

例えば、経理や人事、貿易事務などの専門知識が必要な領域で、正社員のサポート役として無期雇用派遣社員を配置しましょう。

そうすることで、正社員はより高度なコア業務に集中できる環境を作れるはずです。

意欲の高い無期雇用派遣人材は、指示待ちではなく自律的に動けるケースが多いため、チーム全体の生産性向上や、正社員の負担軽減が見込めます。

もし、「派遣だけでなく正社員採用も並行して進めたい」とお考えなら、採用管理システム(ATS)RPMの導入を検討してみてください。

複数の求人媒体からの応募を一元管理し、採用業務全体を効率化できます。

無期雇用派遣と正社員採用を比較検討する際のポイント

無期雇用派遣と正社員採用の判断図(初期負荷×長期最適で比較し、適切な選択を示す)無期雇用派遣と正社員の直接採用には、それぞれ異なる強みがあります。

自社の採用戦略や人材ニーズに合わせて、どちらが適しているかを検討することが重要です。

ここでは、無期雇用派遣と正社員採用を比較検討する際のポイントについて、詳しく解説していきます。

  • 採用・教育コストと即戦力確保のバランスで判断する
  • 長期的な人件費と雇用調整の柔軟性を比較する

採用・教育コストと即戦力確保のバランスで判断する

無期雇用派遣の強みは、採用活動や基礎教育を派遣会社が担うため、受け入れ企業の初期コストを抑えられる点です。

派遣会社が選考と研修を行った人材が配属されるため、受け入れ直後から即戦力として期待できます。

一方、正社員を直接採用する場合は、求人媒体への出稿費用や面接工数、入社後の研修など、時間とコストがかかります。

ただし、自社の企業文化や業務に深く根付いた人材を育成できるため、長期的な組織力の強化を重視するなら正社員採用が適しているでしょう。

長期的な人件費と雇用調整の柔軟性を比較する

無期雇用派遣は時間単価では正社員より割高になる傾向がありますが、社会保険料や賞与・退職金の負担がないため、トータルコストでは抑えられるケースもあります。

また、業務量の変動に応じて契約内容を見直せる点も特徴です(ただし柔軟性は登録型派遣より低くなります)。

正社員の場合、賞与や退職金、福利厚生費を含めるとトータルコストは高くなりますが、長期勤続による生産性向上が期待できます。

事業の成長フェーズや業務の安定性に応じて、どちらの雇用形態が適しているかを判断しましょう。

なお、正社員採用を効率化したい場合は、採用業務全体の効率化に役立つ採用管理システム(ATS)の活用が有効です。

無期雇用派遣の活用に関するよくある質問

最後に、無期雇用派遣に関して企業担当者が抱えるよくある質問に回答します。

  • 途中で無期雇用派遣から自社の正社員へ登用することはできますか?
  • 派遣の受け入れ期間に制限がないというのは本当ですか?
  • 無期雇用派遣の社員に対して自社の就業規則は適用されますか?

途中で無期雇用派遣から自社の正社員へ登用することはできますか?

はい、可能です。

派遣会社との合意が必要になりますが、派遣先企業と派遣社員の双方が希望すれば、派遣会社から移籍する形で直接雇用(正社員)に切り替えるケースはあります。

ただし、移籍に伴う紹介料が発生する場合があるため、事前に派遣契約の内容を確認しておく必要があります。

派遣の受け入れ期間に制限がないというのは本当ですか?

はい、本当です。

無期雇用派遣社員「のみ」を受け入れる場合は、事業所単位・個人単位ともに期間制限(3年ルール)の対象外となります。

ただし、同じ事業所で有期雇用派遣労働者も受け入れている場合は、事業所単位の抵触日管理は依然として必要になるため注意が必要です。

無期雇用派遣の社員に対して自社の就業規則は適用されますか?

原則として適用されません。

無期雇用派遣社員の雇用主は派遣会社であるため、派遣会社の就業規則が適用されます。

ただし、始業・終業時刻や休憩時間、服務規律など、職場でのルールについては、派遣先企業の指示に従う必要があります。

【まとめ】無期雇用派遣の活用はメリットとリスクを理解して検討しよう

無期雇用派遣は、3年ルールの制限なく優秀な人材を長期的に確保できる、企業にとってメリットの大きい仕組みです。

一方で、コスト面や調整の柔軟性でのデメリットもあるため、正社員採用と比較しながら自社に適した人材戦略を検討することが重要です。

正社員採用も並行して進める場合は、「RPM」のような採用管理システム(ATS)を活用することで、採用業務全体を効率化できます。

メリットを最大化し、リスクを適切にコントロールすることで、無期雇用派遣を自社の成長につなげていきましょう。

髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

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