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新卒採用のスケジュールは?採用担当者がやるべきことを時期別に解説

新卒採用スケジュールは年々早期化しており、「いつから準備すべきか」「インターン・説明会・本選考は何月が山場か」といった全体の流れを月別に把握することが重要です。

そこで本記事では、27卒・28卒向けに、学生の学事日程も踏まえた新卒採用の基本スケジュール(年間の流れ)を図解しました。

まずは全体像を押さえたうえで、各フェーズで採用担当がやること(準備・集客・面接運用)を具体的に整理していきます。

新卒採用スケジュールの全体像(27卒・28卒向け、月別・学事日程対応)

目次[非表示]

  1. 1.まずは全体像:新卒採用の基本スケジュール
    1. 1.1.夏インターン(6〜9月):母集団形成の“入口”をつくる
    2. 1.2.秋冬インターン〜早期選考(10〜2月):有望層を囲い込む
    3. 1.3.広報・説明会(2〜3月):母集団を広げ直し、選考準備を整える
    4. 1.4.本選考(3〜6月):選考を本格化し、内々定まで進める
    5. 1.5.内定〜内定者フォロー(10〜翌3月):辞退を防ぎ、入社までつなぐ
  2. 2.新卒採用は「早期化」と「通年化」の二極化
    1. 2.1.3月広報解禁・6月選考解禁は“目安”:ルールの位置づけを整理
    2. 2.2.早期化が進む理由:インターン起点/企業間競争
    3. 2.3.ターゲット別にピークが違う:早期層/一般層/後期層
  3. 3.企業タイプ別:スケジュールがズレる3パターン
    1. 3.1.大手企業:基本スケジュール寄り
    2. 3.2.中小企業:短期決戦+後期層で勝負が分かれる
    3. 3.3.ベンチャー企業:通年+早期囲い込み
  4. 4.採用担当がやること(ToDoの時系列チェックリスト)
    1. 4.1.〜5月:インターン企画・集客設計
    2. 4.2.6〜9月:夏インターン運用(評価・次アクション)
    3. 4.3.9〜2月:秋冬インターン→早期選考
    4. 4.4.2〜5月:説明会・母集団の再形成
    5. 4.5.6〜9月:選考運用(歩留まりを改善する打ち手)
    6. 4.6.10月以降:内定者フォロー(辞退率を下げる)
  5. 5.6月以降も勝てる「時期ずらし採用」
    1. 5.1.公務員・教員の「進路変更層」(8〜10月)
    2. 5.2.体育会・部活生(9〜12月)
    3. 5.3.留学生・海外大(9〜12月)
    4. 5.4.理系院・研究重視層(スポット)
    5. 5.5.集め方(媒体・導線)と選考設計(スピード/口説き)のテンプレ
      1. 5.5.1.集め方テンプレ(媒体・導線)
      2. 5.5.2.選考設計テンプレ(最短2週間の内定フロー例)
  6. 6.インターン設計で差がつく(種類・準備時期・評価の仕組み)
    1. 6.1.インターンの種類:1day/プロジェクト型/長期
      1. 6.1.1.1day(オープンカンパニー・仕事体験)
      2. 6.1.2.プロジェクト型(短期〜数週間)
      3. 6.1.3.長期(数ヶ月)
    2. 6.2.準備はいつから?:3〜4ヶ月前がデッドライン
    3. 6.3.プログラム設計のポイント:フィードバック/成長体験/評価項目
      1. 6.3.1.フィードバック
      2. 6.3.2.成長体験
      3. 6.3.3.評価項目(見極めの軸)
  7. 7.複雑なスケジュール管理を破綻させない方法
    1. 7.1.Excelが限界になる理由:ルート並走/ステータス分岐
    2. 7.2.ATS(採用管理システム)で自動化して“口説き時間”を捻出
  8. 8.よくある質問(FAQ)
    1. 8.1.新卒採用はいつから準備すべき?
    2. 8.2.早期選考はいつ始める?
    3. 8.3.内々定はいつ出す?
    4. 8.4.インターン参加者はいつフォローする?
    5. 8.5.10月以降でも採れる?

まずは全体像:新卒採用の基本スケジュール

新卒採用スケジュールの全体像(夏インターン〜内定者フォローまでの月別フロー図)

新卒採用は、単発の選考ではなく、インターン→広報・説明会→本選考→内定者フォローが連動するプロセスです。

「新卒採用はいつから準備すべき?」「他社はどの時期に動く?」という疑問に答えるために、ここでは27卒・28卒を想定した基本スケジュールをフェーズ別に整理します。

【新卒採用 年間スケジュール一覧(27卒・28卒|標準的な進め方)】

※時期は目安です。業界・企業規模・ターゲット学生によって前後します。

時期

フェーズ

採用担当者の主な業務(例)

学生の動き(例)

〜5月

準備期

・インターン企画確定/受入体制づくり
・採用サイト/訴求軸の整備
・ナビ掲載/集客設計

・自己分析開始
・インターン情報収集/業界・企業研究

6〜9月

夏インターン

・インターン運営/評価設計(見極め項目)
・優秀層のリスト化(タレントプール)
・秋以降への導線設計

・夏インターン参加
・企業比較の開始

10〜2月

秋冬インターン・早期選考

・面談/リクルーター運用
・早期選考(簡易選考・特別ルート)
・3月に向けた広報素材作成

・秋冬インターン参加
・志望度の具体化
・早期選考への応募(層による)

2〜3月

広報・説明会(ピーク)

・ナビ公開/告知の最大化
・説明会設計・実施(導線づくり)

・プレエントリー
・情報収集のピーク
・説明会参加

3〜6月

本選考

・書類選考/面接運用
・内定出し/クロージング

・選考参加
・内定獲得・比較検討

10月〜

内定者フォロー

・内定式/懇親会
・継続フォロー(辞退防止)

・内定式参加
・入社準備

夏インターン(6〜9月):母集団形成の“入口”をつくる

夏インターンは、新卒採用における母集団形成(接点づくり)の起点です。

大学3年生の夏休み(8〜9月)を中心に実施され、学生に自社を認知してもらい、最初の接点をつくる役割を担います。

この段階は選考というより、認知拡大・企業理解の促進が主目的です。

1day仕事体験や短期インターンで「どんな会社か/どんな仕事か」を体感してもらい、秋以降の関係構築につなげます。

秋冬インターン〜早期選考(10〜2月):有望層を囲い込む

10月以降は、夏インターン参加者を中心に、有望層の見極めと囲い込みが本格化します。

秋冬インターンや面談、簡易的な選考を通じて、学生の志向やスキルを評価し、早い段階から関係性を深めていくフェーズです。

近年は、インターン経由での早期内々定も一般的になっています。

特に大手コンサルやIT系メガベンチャーでは、早期ルートで本選考(3月以降)を待たずに内々定まで進むケースも見られます。早い企業では年内(12月頃)までに主要枠の目処が立つこともあります。

そのため、この時期にどれだけ有望層と接点を持ち、継続的なコミュニケーション(志望度の維持)を設計できるかが、3月以降の成果を大きく左右します。

広報・説明会(2〜3月):母集団を広げ直し、選考準備を整える

2〜3月は、新卒採用における広報・集客(エントリー獲得)の山場です。

ナビサイトの公開や会社説明会の開催を通じて、インターン未参加層も含めた母集団を再形成します。

同時に、エントリー受付/ES(エントリーシート)/適性検査(SPI等)/面接体制など、本選考に向けた準備も並行します。

「説明会を回しながら、選考の受け皿を整える」のが、この時期の特徴です。

本選考(3〜6月):選考を本格化し、内々定まで進める

3月以降は、書類選考・面接を中心とした本選考フェーズに入ります。

企業によって開始時期やスピードは異なりますが、面接が本格化し、内々定出しが進む時期です。

このフェーズで重要なのは、歩留まり管理とスピード感です。

他社選考と並行する学生が多いため、選考期間が長引くほど辞退リスクが高まります。

内定〜内定者フォロー(10〜翌3月):辞退を防ぎ、入社までつなぐ

内定後は、採用活動のゴールではなく内定者フォローのスタートです。

内定式や面談、イベントなどを通じて継続的にコミュニケーションを取り、辞退防止と入社意欲の維持を図ります。

特に10月以降は、他社からの追加内定や進路変更が起きやすい時期です。

入社までのフォロー設計が、最終的な採用成功率を左右します。

新卒採用は「早期化」と「通年化」の二極化

新卒採用のターゲット別(早期層・一般層・後期層)に、4月〜3月の活動ピーク(インターン、広報・説明会、面接・選考、秋採用、通年採用)を月別に示した図。

近年の新卒採用は、「早期化」と「通年化」が同時に進んでいるのが特徴です。

すべての学生が同じ時期に一斉に動くのではなく、業界や志向によって就活のピークが分散しています。

そのため、従来の一律スケジュールに合わせるのではなく、自社のターゲットが動く時期に合わせて、インターンや選考を設計することが採用成果を左右します。

3月広報解禁・6月選考解禁は“目安”:ルールの位置づけを整理

新卒採用には、政府が示す「3月広報解禁・6月選考解禁」というスケジュールがあります。

ただしこれは法的な拘束力があるルールではなく、あくまで目安です。

実際には、インターンを起点に学生との接点づくりが前倒しになり、3月以前から面接や選考が進む企業も増えています

(就職みらい研究所の『就職白書』でも、就職活動や面接開始の早期化が示されています。)

早期化が進む理由:インターン起点/企業間競争

早期化の背景には、大きく2つあります。

  • インターン起点が主流化し、早い段階から学生を見極めやすくなった
  • 採用競争が激化し、優秀層ほど早く動くため、企業側も前倒しせざるを得ない

結果として、「早く接点を持った企業が有利」という構造が強まり、早期化がさらに進んでいます。

ターゲット別にピークが違う:早期層/一般層/後期層

新卒採用で重要なのは、自社ターゲットの活動ピークを外さないことです。学生は志向によって動く時期が異なります。

  • 早期層(ベンチャー・外資志望):夏〜冬インターン→年明け早期選考
  • 一般層(大手志望):3月の広報解禁を起点に動き、春〜初夏がピーク
  • 後期層(公務員・部活生など):夏以降に本格化し、秋採用・通年採用の対象になりやすい

この違いを踏まえ、ターゲットに合わせてインターン設計や選考時期を最適化することが、二極化時代の基本戦略になります。

企業タイプ別:スケジュールがズレる3パターン

企業タイプ別に、新卒採用で注力する時期の違い(大手・中小・ベンチャー)を月別に比較した図。学生の動きが多様化した結果、企業側も「同じ型」だけでは戦いにくくなっています。

特に企業規模や採用設計によって、ピークの置き方や勝負どころがズレやすいのが現状です。ここでは代表的な3パターンを整理します。

大手企業:基本スケジュール寄り

大手企業は、対外的には「3月の広報開始→6月以降の選考本格化」という枠組みに沿って動くケースが多いです。

一方で実務上は、夏〜冬のインターンで評価・接点を積み上げ、早期ルートに乗せる動きが強まっています。

その結果、「表向きは基本スケジュール、実態はインターン起点」という二層構造になりやすく、学生側もその前提で動く傾向があります。

インターン期に接点を作れなかった場合、3月以降の母集団形成は相対的に難易度が上がりやすい点に注意が必要です。

中小企業:短期決戦+後期層で勝負が分かれる

中小企業は、採用広報・選考運用・フォローを回す体制が限られやすく、ピークを広く取りづらい傾向があります。

その結果、3〜6月にリソースが集中し、短期決戦になりやすいのは事実です。説明会、面接枠の確保、現場の巻き込みなどが同時に走り、運用が詰まりやすいからです。

一方で、早期層・一般層と正面衝突せず、あえて後期層を取りに行く中小企業も少なくありません。

公務員・教員志望の進路変更、部活引退後、留学帰国など、動き出しが遅い層に合わせて募集をかけることで、競争が緩むタイミングで勝負しやすくなります。

この場合は、選考設計が成果を左右します。学生の検討期間は短くなりやすいため、導線はシンプルに、意思決定は早く、口説きは丁寧に。

短期間で判断できる設計にしておくほど、取りこぼしが減りやすくなります。

ベンチャー企業:通年+早期囲い込み

ベンチャー企業は、解禁日ベースで一斉に集めるよりも、通年で接点を作り、良い学生から順に口説く設計になりやすいです。

夏〜冬のインターンや面談で関係性を作り、年内〜年明けの早い段階で内々定まで進めるケースも見られます。

このタイプは「母集団の厚み」よりも「接点の密度」が効きます。

採用活動がイベント単位ではなく、面談・情報提供・選考を連動させた継続コミュニケーションになりやすく、設計が整うほど歩留まりが安定しやすくなります。

採用担当がやること(ToDoの時系列チェックリスト)

新卒採用は「忙しい時期に頑張る」だけだと、どこかで運用が破綻しがちです。

各フェーズでやるべきことを先に決め、準備→実行→改善の順で積み上げると、採用数も辞退率も安定しやすくなります。

ここでは、採用担当のToDoを時系列で整理します。

〜5月:インターン企画・集客設計

この時期は、夏インターンの成果がほぼ決まる「準備フェーズ」です。

企画と集客の設計が曖昧なままだと、6月以降に巻き返すのが難しくなります。

  • 採用計画の確定(職種別人数・ターゲット・合格ライン)
  • インターン設計(種類/日程/受入人数/評価項目)
  • 現場巻き込み(メンター・登壇者・面接官候補の確保)
  • 集客導線の整備(ナビ・採用サイト・SNS・スカウト・大学連携)
  • コンテンツ準備(募集要項、紹介資料、当日スライド、FAQ、連絡テンプレ)
  • 参加後の導線設計(秋冬イベント/面談/早期ルートへの誘導)

6〜9月:夏インターン運用(評価・次アクション)

夏インターンは「母集団形成」だけでなく、秋以降の勝ち筋(誰を追うか)を決める時期でもあります。

運用で重要なのは、評価とフォローを同じ設計で回すことです。

  • 当日の運営(満足度/理解度を落とさない設計)
  • 評価の回収(行動・成果・カルチャーフィットを共通基準で記録)
  • 優秀層のリスト化(タレントプールの作成・更新)
  • 参加後フォロー(お礼→次回案内→個別接点の設計)
  • 次アクションの分岐(面談/秋冬インターン/イベント/早期選考)
  • 現場フィードバックの収集(改善点を翌回に反映)

9〜2月:秋冬インターン→早期選考

このフェーズは「有望層の囲い込み」と「志望度の形成」がテーマです。

選考を急ぐだけだと辞退が増えるため、口説きと見極めをセットで設計します。

  • 秋冬インターンの実施(参加ハードルを下げつつ見極める)
  • 個別面談/リクルーター運用(相談・不安解消・志望度形成)
  • 早期ルートの設計(対象者条件/ステップ/期間)
  • 選考の前倒し(職種によっては年内〜年明けで内々定まで進む)
  • 3月広報に向けた準備(説明会コンテンツ、募集要項、日程枠確保)
  • 学生の離脱防止(定期連絡、イベント招待、情報提供の計画)

2〜5月:説明会・母集団の再形成

2〜3月を中心に広報がピークになり、説明会と選考準備が並走します。

ここでの目的は、母集団の「量」と「質」を同時に取りにいくことです。

  • ナビ公開・告知の最大化(訴求軸の出し分け)
  • 説明会の設計・実施(合同/自社/オンライン/録画)
  • エントリー受付〜初期選考の受け皿整備(ES・適性検査・一次面接)
  • 面接官体制の整備(評価項目・質問設計・トレーニング)
  • 母集団の質管理(セグメント別の流入と歩留まりを把握)
  • 日程設計(学生の動きに合わせた面接枠の確保)

6〜9月:選考運用(歩留まりを改善する打ち手)

この時期は「選考運用」と「クロージング」が主戦場です。

歩留まりが落ちるポイントを先に特定し、打ち手を当てていくと改善が速くなります。

  • 選考運用(書類→面接→最終までの進捗管理)
  • 内々定〜承諾までの設計(情報提供、面談、条件提示の順序)
  • 面接間隔を詰める(長期化を避ける)
  • 途中離脱の理由を回収し、訴求・導線を修正する
  • 最終前後の口説き面談を標準化する
  • 面接官の評価ブレを減らす(基準と記録の統一)
  • “迷い層”向けに比較材料(成長環境・配属・キャリア)を整理する
  • 追加募集の判断(欠員見込み→夏採用・秋採用の設計)

10月以降:内定者フォロー(辞退率を下げる)

内定後は「放置しない仕組み」が成果を左右します。

イベントの多さよりも、接点の質と頻度が重要です。

  • 内定式・懇親会(同期形成と安心感づくり)
  • 定期面談(不安の芽を早めに拾って解消する)
  • 現場接点(配属イメージ/仕事理解/ロールモデル提示)
  • 情報提供(入社までの流れ、学習、手続き)
  • 辞退兆候の検知(返信速度、温度感、相談内容の変化)
  • 入社準備(必要書類、研修、初期オンボーディングへの接続)

6月以降も勝てる「時期ずらし採用」

新卒採用は早期化が進んでいますが、「6月以降は優秀層が残っていない」とは限りません。

公務員試験・部活・留学・研究などの事情で、就活のピークが後ろにずれる層は一定数います。

ここを狙う「時期ずらし採用」は、大手と正面衝突せずに、母集団の質で勝ちやすい戦い方です。

公務員・教員の「進路変更層」(8〜10月)

試験結果が出揃う夏〜秋は、進路を民間に切り替える学生が動きやすい時期です。

  • 特徴:基礎学力・継続力が高く、計画的に努力できるタイプが多い
  • 響く訴求:研修制度、キャリアの見通し、社会への価値提供、安定性(制度・事業の継続性)
  • 注意点:意思決定が短期になりやすいので、募集要項と選考フローは「迷わない形」に整える

体育会・部活生(9〜12月)

引退後に就活を始める層は、短期間での意思決定を求めがちです。スピード設計が刺さります。

  • 特徴:やり切り力、組織適応、ストレス耐性、目標達成意欲
  • 響く訴求:成果の出し方が明確、成長環境、チームでの役割、評価制度
  • 注意点:「忙しい前提」で日程提示(夜・土日枠、オンライン、面接間隔の短縮)

留学生・海外大(9〜12月)

卒業時期や時差の影響で、日本の一斉スケジュールに乗りづらい層です。制度面の明記が重要になります。

  • 特徴:語学・専門性、多様な視点、環境変化への適応
  • 響く訴求:通年枠、入社時期の柔軟性、オンライン選考、グローバル案件や多様性のある環境
  • 注意点:時差配慮と、選考コミュニケーションの丁寧さ(不安が残ると離脱しやすい)

理系院・研究重視層(スポット)

学会・研究の山場で就活が分散しやすく、個別のタイミングで動きます。刺さるのは“仕事の中身”です。

  • 特徴:専門性、論理的思考、仮説検証、粘り強さ
  • 響く訴求:専門性を活かせるテーマ、開発体制、裁量、評価のされ方
  • 注意点:一般的な就活マナーより「研究理解」「技術深掘り」が志望度を左右する

集め方(媒体・導線)と選考設計(スピード/口説き)のテンプレ

集め方テンプレ(媒体・導線)

  • ナビだけに依存しない:大学キャリアセンター、OB/OG、紹介、SNS、コミュニティ、イベント連携も組み合わせる
  • 募集導線は一本化:LP→エントリー→日程予約まで“迷いゼロ”にする
  • 後期層向けの打ち出しは言葉を寄せる:「秋採用」「追加募集」より、“対象の事情”に合わせた訴求が効く。(進路変更歓迎/競技・研究と両立してきた方へ/海外からオンライン選考可)

選考設計テンプレ(最短2週間の内定フロー例)

  • Day0:説明会(30〜45分)+その場で一次面接予約
  • Day3〜5:一次面接(合否は即日〜翌日)
  • Day7〜10:最終面接(同日に条件提示・口説き面談までセット)
  • Day10〜14:内々定通知→意思確認(期限は短くしすぎず、次アクションを必ず提示)

※ポイントは「面接回数を減らす」より、面接間隔を詰める/判断を早くする/最後に口説きの場を残すことです。

【説明会→一次→最終の圧縮例】

  • 説明会は録画+Q&Aで短縮(情報の均質化)
  • 一次は“見極めに必要な質問”だけに絞る(評価項目を固定)
  • 最終は「意思決定」と「口説き」を分ける(面接→口説き面談の2部構成)

【口説きの要点(辞退を減らす)】

  • 比較軸を先に提示:成長・配属・評価・働き方・裁量のどこで勝てるか
  • 不安を言語化して潰す:条件・業務・人間関係の不安を先回りで解消する
  • 接点の“人選”が重要:現場のロールモデル(1〜2名)と話せる場を用意する
  • 次の一歩を明確に:承諾期限より「いつ何をするか」を決めて熱量を保つ

インターン設計で差がつく(種類・準備時期・評価の仕組み)

インターンは「実施すること」自体が目的ではありません。

母集団形成で終わらせず、早期層の囲い込みや本選考の歩留まり改善につながるように、種類・準備・評価をセットで設計するのがポイントです。

インターンの種類:1day/プロジェクト型/長期

1day(オープンカンパニー・仕事体験)

認知拡大と接点づくりに強い形式です。

参加ハードルが低く、母集団を広げやすい一方、見極めは浅くなりがちなので、参加後の導線(面談や次イベント)まで設計しておくことが重要です。

プロジェクト型(短期〜数週間)

実務に近い課題に取り組んでもらう形式で、スキルやスタンス、相性が見えやすくなります。

参加者数は絞られますが、有望層の見極めと志望度形成に向きます。

長期(数ヶ月)

就業体験に近い運用になり、入社後の活躍イメージを擦り合わせやすいのが強みです。

運用負荷は高めなので、受入人数は限定しつつ、採用直結(早期ルート)を前提に設計する企業が多いです。

準備はいつから?:3〜4ヶ月前がデッドライン

学生集客、社内調整、コンテンツ制作のリードタイムを考えると、開催の3〜4ヶ月前までに「企画と体制を確定」しておくのが安全です。

  • 目的とターゲットを決める(母集団/見極め/動機形成)
  • 現場の受入枠と担当者を確保する(評価者・登壇者を含む)
  • 募集要項・導線(ナビ/LP/申込み)を準備する
  • 参加後のフォロー(面談・イベント・早期選考)まで設計する

プログラム設計のポイント:フィードバック/成長体験/評価項目

成果につながるインターンは、「学生が得たいもの」と「企業が見たいもの」が噛み合っています。

鍵になるのは、フィードバック・成長体験・評価項目の3点です。

フィードバック

終了時に「良かった点/次に伸ばす点」を具体的に返すだけで、納得感と志望度が上がります。

運用を回すなら、コメントの型をテンプレ化しておくと楽です。

成長体験

学生は「成長した実感」を重視します。

難易度を上げるよりも、前後比較ができる設計(最初→途中→最後)にすると満足度が上がりやすくなります。

評価項目(見極めの軸)

ESだけでは見えにくい項目を、インターン内で観察できる形に落とし込みます。

たとえば以下のように固定しておくと、比較と引き上げ判断がしやすくなります。

  • 仕事の進め方(段取り・やり切り)
  • 思考(仮説→検証、論点の立て方)
  • 協働(巻き込み・合意形成)
  • スタンス(素直さ・学習力)
  • カルチャーフィット(価値観・温度感)

複雑なスケジュール管理を破綻させない方法

新卒採用は、インターン経由・ナビ経由・秋採用など複数ルートが並走しやすく、運用が崩れると「せっかく集めたのに落ちる/辞退される」が起きやすい領域です。

ここでは、破綻ポイントと現実的な対策を整理します。

Excelが限界になる理由:ルート並走/ステータス分岐

Excel管理が苦しくなる理由はシンプルで、ルートが増えるほど状態管理が爆発するからです。

  • ルートが並走する(インターン経由/通常選考/後期層など):同じ学生でも入口が違い、やるべき連絡・イベント・選考ステップが変わります。
  • ステータスが分岐する(参加→面談→早期→本選考→辞退…):「次に何をするか」が人によって変わり、更新漏れ・連絡漏れが起きやすくなります。

結果として、リストは作れても運用が追いつかず、対応品質が下がりやすくなります。

ATS(採用管理システム)で自動化して“口説き時間”を捻出

スケジュールが複雑化するほど重要なのは、採用担当が事務作業ではなく“口説き”に時間を使える状態を作ることです。そこで現実的な選択肢がATSの活用になります。

  • 課題:ルート並走とステータス分岐で、連絡・進捗管理・日程調整が詰まりやすい
  • 要件:候補者の状態が一元化され、次アクション(連絡・予約・リマインド)が仕組み化できる
  • 解決策:ATSでステータス管理と連絡・日程調整を自動化し、面談やクロージングに集中する

たとえばATS(採用管理システム)を使えば、進捗の見える化自動化で運用負荷を抑えやすくなり、「採用の勝ち筋(関係構築・口説き)」に時間を戻せます。

【関連記事】

新卒採用に強いATS(採用管理システム)とは?

よくある質問(FAQ)

ここでは、新卒採用スケジュールを考えるうえで特に多い疑問をまとめました。

「いつから準備すべき?」「早期選考はどこまで前倒しする?」など、実務で迷いやすいポイントを短く整理しているので、自社の計画づくりの確認用にご活用ください。

新卒採用はいつから準備すべき?

目安は「夏インターンの3〜4ヶ月前」です。夏実施なら、遅くとも4〜5月には企画・受入体制・集客導線を固めておくと運用が崩れにくくなります。

早期選考はいつ始める?

10〜2月の「秋冬インターン期」から、面談・簡易選考として動かす企業が増えています。ターゲットが早期層なら、秋以降の接点設計が勝負どころになります。

内々定はいつ出す?

一般的には3〜6月に集中します。ただし早期ルートでは年内〜年明けに内々定まで進むケースもあるため、自社のターゲットに合わせて設計するのが前提です。

内々定:企業が採用の意思を伝える「内定の前段階」のこと(呼び方や運用は企業によって異なります)。

インターン参加者はいつフォローする?

原則は「参加直後」が最優先です。熱量が高い48時間〜1週間以内に、面談・イベント・次ステップ案内までつなぐと歩留まりが安定します。

10月以降でも採れる?

可能です。新卒採用は早期化が進む一方で、公務員・教員志望からの進路変更、部活引退、留学帰国など秋以降に動く層(後期層)も一定数います。

ただし後期は検討期間が短くなりやすいため、導線はシンプルに(説明会→面接→最終など)、選考はスピード感を持って進めるのがポイントです。あわせて、意思決定を急かしすぎず、魅力づけ(口説き)に時間を使える設計にしておくと歩留まりが安定します。

髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

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