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【徹底比較】HRMOS(ハーモス)採用とは?機能・料金からRPMとの違いまでを解説

採用業務がExcelやメール、各媒体の管理画面に分散し、候補者の進捗把握や面接調整に無駄な時間が発生している。採用単価や工程ごとの歩留まりも、感覚値でしか把握できていない。

こうした非効率をまとめて解消するのが、ATS(採用管理システム)です。

本記事では、国内でも広く利用されている「HRMOS(ハーモス)採用」の機能や特徴をわかりやすく整理します。とりわけ、エージェント管理(推薦の一元化・権限設計・実績分析)という専門領域にも触れます。さらに、記事の後半ではRPM」との違いを明確にし、どのような課題を持つ企業にどちらが向いているのかを解説します。

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HRMOS採用とは?

「HRMOS採用」は、Visionalグループの株式会社ビズリーチが運営する人事領域プロダクト群「HRMOSシリーズ」の一つで、採用管理に特化したシステムです。

同シリーズには、新卒採用版の「HRMOS採用 新卒エディション」や人財活用(タレントマネジメント)を担う「HRMOSタレントマネジメント」もあり、採用から入社後の活躍までを一気通貫で支援します。

HRMOSの根底にあるのは、採用から育成・配置まで人材データを連携・活用する思想です。

採用時の評価や経歴が入社後の配置・育成にシームレスに引き継がれる「HRMOSタレントマネジメント」との連携に加え、人材紹介(エージェント)との関係最適化を支える管理・分析機能を備えている点も、大きな特徴と言えるでしょう。

HRMOS採用の主な機能

ノートパソコンの画面上に候補者のプロフィールが並び、採用選考をイメージしたイラスト

HRMOS採用が持つ具体的な機能を、5つのポイントで見ていきましょう。

候補者・求人管理

HRMOS採用の基本となるのが、複数経路の応募情報を一元管理できる仕組みです。
求人媒体・人材紹介・自社サイトなど、複数経路から集まる情報を一か所に集約し、候補者ごとの進捗を可視化します。

履歴書や職務経歴書、過去のやり取りや面接評価までが時系列で整理されるため、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能です。

エージェント管理機能

HRMOS採用の大きな特徴の一つが、エージェント管理機能です。

複数の人材紹介会社へ求人を一括共有でき、推薦数・通過率・決定率・滞留日数などを自動で集計。
成果を可視化することで、「どのエージェントがどの職種に強いか」を定量的に把握できます。

また、エージェントごとにアカウントを発行し、アクセス権限や得意領域・フィー率・実績ラベルを設定可能。
セキュリティと分析性を両立しながら、感覚的判断に頼らない
パートナー最適化を実現します。

【エージェント機能に関連する記事】

人材紹介(エージェント)管理システムとは?導入効果とおすすめサービス

選考プロセスの可視化

選考ステータスや面接官の評価、コミュニケーション履歴などをチーム全体でリアルタイム共有。

「あの候補者はいま誰がボールを持っているのか」が一目でわかり、選考の遅延や対応漏れを防ぎます。結果として、選考全体のスピードアップに直結します。

採用データの分析とレポート

媒体別の応募数や通過率などを自動で集計・分析し、データドリブンな採用判断をサポートします。

特にエージェント経由や求人媒体ごとの成果を横断的に比較できるため、「どのチャネルにリソースを投下すべきか」を定量的に判断可能です。感覚的な意思決定をデータに基づく戦略判断へと進化させます。

入社後のタレントマネジメント連携

HRMOSの思想を象徴するのが、採用データとタレントマネジメントのシームレス連携です。

採用時に得られた情報をそのまま従業員データベースに引き継ぎ、配属先の上司や人事担当者が活用可能。候補者の志向性や評価が失われず、オンボーディングや育成計画の精度を高めることができます。

HRMOS採用の料金体系

「PRICE」と書かれたカラフルなブロックと電卓、紙幣やコイン型のパーツが並ぶイメージ

HRMOS採用の料金は、公式サイトでは具体的な利用料金が公開されておらず、問い合わせによる個別見積り制です。

料金の詳細は、公式サイトの「料金表ダウンロード」から入手可能です。ただしダウンロード時には、会社名・連絡先・年間採用人数・従業員規模などの入力が求められます。

HRMOS採用のメリット・デメリット

メリット・デメリットをホワイトボードに書くビジネスパーソン

HRMOS採用を客観的に評価するため、利用者からよく聞かれる評判をもとに、メリットとデメリットの両側面を整理してみましょう。自社の状況と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

HRMOS採用のメリット

洗練されたUIで、直感的な操作が可能

多くの採用担当者から評価されているのが、その洗練された使いやすさです。日々の業務で使うものだからこそ、直感的に操作できるユーザーインターフェース(UI)は、ストレスを軽減し、システムへの定着をスムーズにします。マニュアルを読み込まなくても、次に何をすべきかが分かりやすいデザインは、多忙な担当者にとって大きなメリットと言えるでしょう。

採用から入社後の活躍まで見据えた戦略的人材活用

HRMOS採用の最大の強みは、採用を「採用」だけで終わらせない点にあります。候補者段階から蓄積された情報が、入社後の活躍までを見据えた一貫性のある人材戦略を描くための貴重な資産となります。「どのような経験を持つ人が、入社後に高いパフォーマンスを発揮しているのか」といった分析も可能になり、採用の精度そのものを高めていくことができます。

エージェント成果を可視化し、採用コストの最適化を実現

HRMOSは、人材紹介会社(エージェント)とのやり取りや推薦実績をシステム上で一元管理できるため、各社の推薦数・通過率・決定率などの成果を自動で可視化できます。これにより、どのエージェントがどの職種に強いかを定量的に把握でき、リソース配分をデータに基づいて最適化可能です。感覚ではなく数値で判断することで、費用対効果の高い採用活動を実現できる点は、他のATSにはない専門的な強みです。

HRMOS採用のデメリット

大量募集・高速回転の採用には不向きな側面も

HRMOS採用は、一人ひとりの候補者の情報をリッチに蓄積し、戦略的なタレントマネジメントに繋げる設計思想を持っています。採用形態としては中途採用に適するでしょう。そのため、アルバイトや派遣スタッフのように「大量に応募を集め、スピーディーに選考・採用する」という高速回転型の採用モデルにおいては、その多機能性を持て余してしまう可能性があります。募者対応の速さや自動化を最優先したい場合には、機能がオーバースペックに感じられるかもしれません。

導入効果は、初期設定と運用ルールの徹底度に左右される

多機能であるということは、裏を返せば「自社に合わせて設定すべき項目が多い」ということでもあります。どの情報を、どの粒度で入力・管理するのか。誰が、どのタイミングで情報を更新するのか。こうした初期設定や運用ルールを社内でしっかりと固め、徹底できなければ、「導入したはいいが、データが蓄積されず宝の持ち腐れになる」という事態に陥るリスクもはらんでいます。特にエージェント管理機能を十分に活用するには、権限設定や評価指標の設計を初期段階で整理しておくことが重要です。

課題が「大量応募」と「歩留まり改善」の場合に重視すべき機能

ここまで見てきたように、HRMOSは戦略的な採用と、その後の人材活用に非常に優れたシステムです。

特に人材紹介会社(エージェント)とのやり取りを可視化・分析できる点も強みで、どのエージェントがどの職種で成果を上げているのかを定量的に把握できます。採用経路の最適化を図りたい企業にとって、有効なデータ基盤となるでしょう。

しかし、もし貴社の採用課題が「日々発生する大量の応募にいかにスピーディーに対応し、面接・採用へと繋げるか」という点である場合、少し視点を変える必要があります。

特に、派遣・介護・物流・飲食といった通年採用を行う業界では、「応募者対応の速さ」が採用成功率に直結します。こうした領域では、応募後の自動配信メールやリマインドメール、シナリオ別のメールなどの自動化機能が重要です。

このような領域では、HRMOSが持つタレントマネジメント機能や分析機能よりも、応募者対応の自動化や媒体連携の網羅性に特化したシステムの方が、現場の負担を直接的に軽減し、より高い費用対効果を発揮するケースがあります。

もう一つの選択肢「RPM」とは

上向きの矢印の上を人が走り、成長や競争を表現しているイラスト

もう一つの有力な選択肢としてご紹介したいのが、採用管理システム「RPM」です。RPMは、大量応募への対応と自動化のアプローチで「採用数の最大化」という課題を解決します。

400以上の媒体連携で、あらゆる応募を自動で一元化

RPMの最大の強みは、400を超える求人媒体との連携力です。あらゆる経路からの応募を自動でシステムに取り込むため、「各媒体の管理画面にログインして確認・転記する」という日常業務がゼロになり、応募への初動対応を圧倒的にスピードアップ。さらに、HRMOSと同様にエージェント専用アカウントの発行や候補者情報の一元管理にも対応しており、紹介経由の応募もシステム内で可視化できます。

「シナリオ配信機能」で応募者対応を徹底的に自動化

RPMは、応募があった際のサンクスメール送信、面接予約が入らない応募者への追いかけ連絡(SMS/メール)、面接前日のリマインドなどを、あらかじめ設定したシナリオに沿って完全に自動化します。
さらに、HRMOSで行えるようなエージェントとの情報共有・連絡も、RPMではシナリオ機能を用いて自動化できます。

たとえば、選考ステータスの変更をトリガーに、エージェントへ結果通知や面接案内メールを自動送信することが可能です。これにより、応募者対応だけでなく、エージェント対応の抜け漏れや遅延も防ぎ、現場全体の運用効率を高めます。

大量募集に最適化された柔軟な機能と導入サポート

RPMは、派遣・アルバイト採用といった大量募集の現場で求められる、柔軟なステータス管理や効果測定機能に強みを持っています。また、料金体系も応募者の件数に応じた月額固定制のため、採用人数が増えてもコストを気にせず安心して利用できます。

Excelからの移行や、初めてATSを導入する企業様が「結局、使えなかった」とならないよう、専任担当による2ヶ月間の伴走サポートで定着まで支援します。

大量応募の対応を自動化する「RPM」の機能を見てみる

【一覧表】HRMOSとRPMの特徴・目的の違い

HRMOSとRPMの違いを一覧表にしました。自社の現状の課題や問題を照らし合わせ、どちらのサービスが解決の糸口となるか考えるきっかけにしてください。

項目

HRMOS採用

RPM

目的

戦略人事・タレントマネジメント

採用実務の最大効率化・自動化

得意な採用モデル

中途・正社員中心(紹介・エージェント活用)

大量募集・高速回転採用(派遣・アルバイトなど)

エージェント管理

実績分析・推薦可視化に強み

HRMOSと同等の管理・共有機能を備え、さらに自動通知・進捗反映で運用効率化

料金体系の基準

採用数・規模に応じた柔軟プラン(個別見積もり)

機能・要件に応じて個別見積もり(月額8.5万円~)

導入サポート

専任担当が導入~運用まで継続的に支援

専任担当が導入~運用まで継続的に支援

HRMOSとRPMの違いについてのまとめ

本記事では、HRMOS採用の機能や特徴、そしてもう一つの選択肢としてのRPMについて解説しました。

HRMOSは、採用から入社後の育成・定着までを一気通貫で管理し、タレントマネジメントとエージェント分析を重視した戦略的採用を実現したい企業に最適なツールです。

一方でRPMは、HRMOSと同様にエージェント管理や候補者情報の一元化に対応しながら、応募から面接設定・通知までを自動化できる点が特徴です。

大量応募やエージェント経由の案件も止まらず処理できる柔軟性を備え、現場運用における効率化を重視する企業に適しています。

自社の採用がどのような状況で、最も解決したい課題は何なのか。それを明確にすることが、最適なシステム選びの第一歩です。

よくある質問

正社員採用とアルバイト採用の両方を行っています。HRMOSとRPMはどちらがおすすめですか?

どちらの採用も行っている場合、より柔軟に対応できるのはRPMです。RPMは雇用形態を問わず、媒体連携の広さと自動化機能で採用活動全体を効率化します。

また、HRMOS同様にエージェント管理機能も備えているため、紹介経由と応募経由の両方を同じシステム上で一元管理できます。

とにかくExcel管理から脱却したいのですが、HRMOSとRPMのどちらが始めやすいですか?

「Excelからの脱却」が最優先課題であれば、RPMの方がスムーズに移行できる可能性が高いです。RPMは応募者情報の取り組みの自動化や応募者対応の自動化に優れており、Excel依存度の高い企業ほど効果を感じやすいでしょう。

一方、HRMOSは採用から入社後の育成・定着までを見据えた構成のため、戦略的な採用運用を志向する企業に適しています。

いずれのサービスもサポート体制は手厚いため、移行にあたっての支援は十分に受けられます。

髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

RPMの導入前に知っておきたいポイントをご紹介