
求人票とは?記載すべき項目とNG項目、応募が集まる書き方を解説
求人票とは、募集する仕事の内容や賃金、労働時間などの労働条件を求職者に示す書類で、ハローワークに提出する求人申込書だけでなく、求人媒体や自社の採用サイトに載せる募集情報も含めて呼ばれます。
求人票を作るとき、法律で決められた項目を漏れなく書けているか、この表現は載せてよいのか、判断に迷うことがあるでしょう。
2024年4月には明示すべき労働条件が追加されており、社内の様式や以前の原稿が追いついていないままになっている企業もあるのではないでしょうか。
本記事では、採用管理システム「RPM」を提供する株式会社ゼクウが、求人票の定義と募集要項との関係、職業安定法で記載が義務づけられている項目、記載してはいけないNG項目を解説します。
目次[非表示]
- ・求人票とは
- ・求人票とは、ハローワークの求人申込書と求人媒体の募集情報をあわせて指す
- ・募集要項との違いは呼び名で、労働条件を明示する義務はどちらにもかかる
- ・求人票には労働条件の明示と自社の魅力づけ、応募窓口の周知という役割がある
- ・職業安定法で求人票への記載が義務づけられている項目
- ・業務内容と就業場所は雇い入れ直後の内容と変更の範囲の両方が必要
- ・有期労働契約は更新の基準と、更新上限がある場合はその内容まで明示する
- ・固定残業代は金額と対応する時間数、超過分の支払いをセットで示す
- ・受動喫煙防止措置は屋内の喫煙可否がわかる区分で示す
- ・求人票で避けるべきNG表現・記載ルール
- ・性別を限定する表現は男女雇用機会均等法で原則として禁止される
- ・年齢制限は法令が定める例外事由に当てはまる場合しか設けられない
- ・国籍や家族構成など業務に関係のない事項を応募条件にしない
- ・実態と異なる条件や誇張した表現は職業安定法違反になる
- ・最低賃金を下回る給与額は求人票に掲載できない
- ・応募が集まる求人票の書き方
- ・誰でも歓迎とせず求める人物像を具体的に決める
- ・業務内容は1日の流れや任せる範囲まで書いて働く姿が浮かぶようにする
- ・抽象的な形容詞ではなく数字と事実で職場を描写する
- ・給与や休日以外の自社の魅力を洗い出して言語化する
- ・職種名は求職者が検索する言葉に合わせる
- ・求人票を掲載したあとに必要な運用
- ・職業安定法は掲載中の求人情報を正確かつ最新に保つことも求めている
- ・条件が変わったら掲載しているすべての媒体で同じ内容に直す
- ・募集を終えた求人は掲載を止めて応募の受け付けを終える
- ・応募数と選考の通過状況を求人票ごとに振り返る
- ・求人票の作成に関するよくある質問
- ・求人票と労働条件通知書は何が違いますか?
- ・面接の過程で求人票の条件から変更が出た場合はどう対応すればいいですか?
- ・求人広告のスペースが足りず、労働条件を書ききれない場合はどうすればいいですか?
- ・2026年10月のパートタイム・有期雇用労働法の改正で、求人票の記載項目は増えますか?
- ・【まとめ】法定項目を満たした求人票を作り掲載後も最新の内容に保つ
求人票とは

求人票という言葉には、狭い意味と広い意味があります。どちらの意味で使う場合も、労働条件を明示する義務は変わりません。
混同されやすい募集要項との違いと、この書類が担う役割も、ここで整理しておくと後の判断で迷わなくなります。
求人票とは、ハローワークの求人申込書と求人媒体の募集情報をあわせて指す
求人票と聞いて、ハローワーク(公共職業安定所)に提出する求人申込書や、そこから作られる帳票を思い浮かべる方は多いでしょう。狭い意味ではその帳票が求人票です。
一方で、実務では次のような募集情報もまとめて求人票と呼ばれています。
- 民間の転職サイトや求人情報誌に掲載する募集情報
- 人材紹介会社へ提出する求人条件
- 自社の採用サイトやエントリーページに載せる募集情報
- 大学や専門学校の就職課へ提出する求人票
職業安定法は、労働者の募集を行う者に対して、従事すべき業務の内容や賃金、労働時間などの労働条件を明示するよう義務づけています。経路がハローワークでも民間媒体でも、この義務は変わりません。
自社の採用サイトに載せる募集情報も対象になります。求人票という言葉を使っていなくても、労働者を募集する以上は同じ扱いです。
※出典:e-Gov法令検索「職業安定法」
募集要項との違いは呼び名で、労働条件を明示する義務はどちらにもかかる
求人票と混同されやすい言葉に募集要項があります。どちらも募集する仕事の内容や労働条件を示す言葉です。
ハローワークの様式のように定型のある書類を求人票、自社の採用ページなどで条件を並べたものを募集要項と呼び分ける場面もあります。
ただし法律上の扱いに差はありません。ハローワークへの求人申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載のいずれでも、求人票や募集要項において労働条件を明示する必要があります。
募集要項という呼び名だから明示義務が緩くなる、ということはありません。
注意したいのは、求人票が労働契約そのものではない点です。契約の内容は、契約を結ぶ段階で改めて明示され、双方の合意によって決まります。とはいえ求職者は求人票の記載を信じて応募するため、記載と実際の条件を食い違わせてよいという意味ではありません。
※出典:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」
求人票には労働条件の明示と自社の魅力づけ、応募窓口の周知という役割がある
求人票が担う役割は、大きく次の3つです。
- 労働条件の明示:法令に沿って条件を伝え、入社後の認識のずれを防ぐ
- 自社の魅力づけ:同じ職種・同じ条件帯の求人と並んだときに、求職者が選ぶ手がかりを渡す
- 応募窓口の周知:募集者の名称、応募方法、連絡先、選考の進め方を伝える
法令上、募集時には所定の労働条件等を明示する義務があります。
また、インターネットやSNSなどの広告等で募集情報を提供する場合は、募集主の氏名・名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の6情報を表示する必要があります。
自社の魅力や選考の進め方をどこまで記載するかは、これらの法定事項を除き各社に委ねられています。
法定項目を埋めただけの求人票は、要件は満たしていても、条件面でしか他社と比べられません。
逆に、魅力づけを優先して条件の記載があいまいになると、応募後の説明で齟齬が生まれ、選考の途中や入社後の辞退・離職につながりかねません。
職業安定法で求人票への記載が義務づけられている項目

職業安定法とその施行規則では、労働者を募集する際に明示しなければならない労働条件が定められています。最低限明示が必要な項目と記載例は、次の通りです。
項目 | 記載例 |
|---|---|
業務内容 | (雇い入れ直後)一般事務/(変更の範囲)総務・経理の業務全般 |
契約期間 | 期間の定めあり(2026年4月1日〜2027年3月31日)/契約の更新:有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)/更新上限:有(通算契約期間の上限4年) |
試用期間 | 試用期間あり(3か月) |
就業場所 | (雇い入れ直後)東京本社/(変更の範囲)本社および全国の支社、営業所 |
就業時間 | 9時30分〜18時30分 |
休憩時間 | 12時〜13時 |
休日 | 土日、祝日(年末年始を含む) |
時間外労働 | あり(月平均20時間) |
賃金 | 月給25万円(試用期間中は月給20万円) |
加入保険 | 雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険 |
受動喫煙防止措置 | 屋内禁煙 |
募集者の氏名または名称 | 株式会社○○ |
雇用形態(派遣労働者として雇用する場合) | 雇用形態:派遣労働者 |
※出典:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」
このうち、2024年4月1日施行の改正で追加されたのは、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準の3点です。
表のなかでも、業務内容と就業場所、有期労働契約、固定残業代、受動喫煙防止措置の4項目は、書き方を誤ると法令の要件を満たさなくなりやすい部分になります。
業務内容と就業場所は雇い入れ直後の内容と変更の範囲の両方が必要
業務内容と就業場所は、雇い入れ直後の内容だけでは足りません。
変更の範囲とは、雇い入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲を指します。
記載例は次の通りです。
- 業務内容:(雇い入れ直後)法人営業、(変更の範囲)製造業務を除く当社業務全般
- 業務内容:(雇い入れ直後)経理、(変更の範囲)法務の業務
- 就業場所:(雇い入れ直後)大阪支社、(変更の範囲)本社および全国の支社、営業所
- 就業場所:(雇い入れ直後)渋谷営業所、(変更の範囲)都内23区内の営業所
異動の可能性がない職種限定採用であれば、変更なしと書きます。在籍出向を命じることがあり、出向先の就業場所や業務が出向元の変更の範囲を超える場合は、その旨も明示しましょう。
将来の可能性を書き渋ると、転勤や配置転換の段階で認識のずれが表面化します。範囲を広めに取るか職種を限定するかは採用方針の問題なので、求人票を作る前に社内で決めておきましょう。
有期労働契約は更新の基準と、更新上限がある場合はその内容まで明示する
契約社員やパートタイム労働者など、期間の定めのある労働契約で募集する場合は、契約期間だけでは足りません。
契約を更新する可能性がある場合は更新の基準を示し、通算契約期間または更新回数に上限を設けている場合は、その内容まで明示する必要があります。
記載例は次の通りです。
- 期間の定めあり(2026年4月1日〜2027年3月31日)
- 契約の更新:有(契約期間満了時の業務量、勤務成績により判断)
- 更新上限:有(通算契約期間は4年を上限とする/契約の更新回数は3回を上限とする)
更新の基準は、何をもとに判断するのかがわかるよう具体的に書きましょう。
「諸般の事情を総合的に考慮して判断する」といった抽象的な表現ではなく、「勤務成績や勤務態度により判断する」「契約期間満了時の業務量や会社の経営状況により判断する」など、判断基準が伝わる表現にします。
更新上限を設けていない場合、「更新上限なし」と明示する義務はありません。
ただし、任意で記載することは可能です。有期労働契約では、契約を更新する可能性やその判断基準、上限がある場合はその内容を正確に整理し、実際の運用と求人票の記載が食い違わないようにしましょう。
固定残業代は金額と対応する時間数、超過分の支払いをセットで示す
時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を支給する制度、いわゆる固定残業代を採用している場合は、基本給と手当の内訳まで書きます。月給30万円(固定残業代含む)と書くだけでは、内訳が求職者に伝わりません。
固定残業代は、次の3点をセットで明記します。
- 基本給(固定残業代を除く額):基本給25万円(固定残業代を除く額)
- 手当の名称と金額、それが何時間分の時間外手当にあたるか:営業手当(時間外労働の有無にかかわらず、20時間分の時間外手当として4万円を支給)
- 定めた時間を超える時間外労働分の割増賃金を追加で支給すること:20時間を超える時間外労働分の割増賃金は追加で支給
裁量労働制を採用している場合も記載が必要です。企画業務型裁量労働制により9時間働いたものとみなす、といった形で制度名とみなし時間を示しましょう。
受動喫煙防止措置は屋内の喫煙可否がわかる区分で示す
就業場所における受動喫煙を防止するための措置は、2020年4月1日から明示義務の対象です。改正健康増進法における施設の類型に応じて、屋内で喫煙できるかどうかがわかる形で書きます。
施設の類型 | 該当する施設の例 | 明示する内容の例 |
|---|---|---|
第一種施設 | 病院、学校、児童福祉施設、行政機関 | 敷地内禁煙/敷地内禁煙(屋外に喫煙場所設置) |
第二種施設 | 事業所、飲食店、ホテル・旅館、鉄道・船舶 | 屋内禁煙/喫煙専用室設置/加熱式たばこ専用喫煙室設置 |
既存特定飲食提供施設 | 経過措置の対象となる小規模な既存飲食店 | 喫煙可能室設置/屋内喫煙可 |
喫煙目的施設 | 喫煙が主目的のバー・スナック、たばこ販売店 | 喫煙目的室設置/屋内喫煙可 |
屋外での就業 | 第一種施設を除く屋外の就業場所 | 屋外喫煙可(屋外で就業) |
※出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「受動喫煙防止のための取組を明示してください」
求人事業所の所在地と就業場所が違う場合は、実際の就業場所の対策を書きましょう。労働者派遣の求人であれば、明示するのは派遣先の対策です。
喫煙可能区域で就業する求人では、年齢制限の下限を20歳以上とする必要があります。改正健康増進法が、施設の管理権原者に対して喫煙可能区域へ20歳未満の人を立ち入らせてはならないと定めているためです。
法令の規定による年齢制限にあたるため、この場合は例外として下限を設けられます。
求人票で避けるべきNG表現・記載ルール

求人票には、法令によって記載できない内容があります。応募を絞る意図がなくても表現の仕方で法令に触れることがあるため、次の5点は作成のたびに確認しましょう。
性別を限定する表現は男女雇用機会均等法で原則として禁止される
男女雇用機会均等法第5条は、労働者の募集及び採用について性別にかかわりなく均等な機会を与えることを、事業主に義務づけています。男性募集、女性向きの職種といった表示や、募集の対象を男女のいずれかのみとする記載はできません。
行政の指針では、禁止される例として次のような記載が挙げられています。
- 一定の職種や雇用形態について、募集・採用の対象を男女のいずれかのみとすること
- 男女のいずれかを表す職種の名称を用いたり、男性歓迎、女性向きの職種などと表示したりすること
- 女性についてのみ、未婚であること、子を有していないこと、自宅から通勤することなどを条件とすること
職種名には、看護師、保育士、営業職のように性別を含まない呼び方を使いましょう。看護婦、保母、セールスマンといった表記は避けます。
あわせて、募集・採用にあたって身長、体重、体力を要件とすることは、合理的な理由がない場合、性別以外の事由を要件とする間接差別として禁止されています(同法第7条)。
※出典:厚生労働省「男女雇用機会均等法のあらまし」
年齢制限は法令が定める例外事由に当てはまる場合しか設けられない
労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)は、募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています。年齢制限を設けられるのは、同法施行規則第1条の3第1項が定める例外事由に当てはまる場合だけです。
例外事由 | 認められる場合 |
|---|---|
1号 | 定年年齢を上限として、上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
2号 | 労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合 |
3号イ | 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
3号ロ | 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種で労働者数が相当程度少ない年齢層に限定し、かつ期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
3号ハ | 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合 |
3号ニ | 60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる人に限定して募集・採用する場合 |
※出典:厚生労働省「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」
求人票を年齢不問としながら、実際には年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で採否を決めたりする行為も、法の規定に反します。
上限年齢を設ける場合(65歳未満のものに限る)は、求職者や職業紹介事業者に対して、その理由を書面や電子媒体で提示することが義務づけられています。
国籍や家族構成など業務に関係のない事項を応募条件にしない
職業安定法第3条は、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地などを理由として、職業紹介や職業指導等について差別的な取扱いを受けることがないと定めています。
あわせて同法第5条の5により、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報の収集は原則として認められません。この規定は、労働者の募集を行う者にも適用されます。
厚生労働省が、採用選考で把握しないよう求めている事項は次の2つです。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地、家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)、生活環境・家庭環境
- 本来自由であるべき事項:宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や学生運動などの社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書
※出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」
これらを求人票の応募条件に入れると、結果として把握してしまいます。応募条件は、業務の遂行に必要な適性・能力・経験・技能で書きましょう。
たとえば転勤に対応できる人を採りたい場合、家族構成や住まいの状況を条件にする必要はありません。転勤の有無と就業場所の変更の範囲を書けば、応募するかどうかは本人が判断できます。
実態と異なる条件や誇張した表現は職業安定法違反になる
職業安定法第5条の4第1項は、労働者の募集に関する情報について、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じています。
虚偽の広告や虚偽の条件を提示して労働者の募集を行った場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります(同法第65条)。
法人の従業者が業務に関してこの違反行為をしたときは、行為者に加えて法人にも罰金刑が科されます(同法第67条)。
実務で問題になりやすいのは、次のような書き方です。
- 達成者がいないモデル年収を提示する
- 実際には常態的に時間外労働があるのに、残業なしと記載する
- 産休・育休の取得率や離職率を実績より良く見せる
モデル年収を載せる場合は、入社5年目・リーダー職で年収600万円(月給40万円と賞与年2回)のように、どの等級や役職、在籍年数で達成できるのかを併記しましょう。
見せ方を工夫する前に確かめたいのは、書こうとしている内容が実態と一致しているかどうかです。
最低賃金を下回る給与額は求人票に掲載できない
地域別最低賃金は都道府県ごとに定められ、毎年見直されます。
最低賃金額に達しない賃金を定めた部分は無効となり、最低賃金と同じ額を定めたものとみなされます(最低賃金法第4条第2項)。
企業には差額の支払い義務が生じ、地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合は50万円以下の罰金の対象にもなります(同法第40条)。
見落としが起きやすいのは、改定の発効日が都道府県ごとに違う点です。2025年度の地域別最低賃金は、最も早い栃木県の2025年10月1日から、最も遅い秋田県の2026年3月31日まで、18通りの発効日に分かれていました。全国加重平均は1,121円で、前年度から66円の引き上げです。
※出典:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
掲載を始めた時点で下限を満たしていても、発効日を過ぎれば下回ってしまうことがあります。複数の都道府県で募集しているなら、拠点ごとに発効日を控えておきましょう。
応募が集まる求人票の書き方

法定の項目を埋めた求人票は、要件を満たしてはいても、条件の一覧として読まれるだけの状態です。同じ職種・同じ賃金帯の求人が並んだときには、条件表に載らない情報が応募先を選ぶ手がかりになります。
誰でも歓迎とせず求める人物像を具体的に決める
未経験歓迎、誰でも応募可という書き方は間口を広げますが、読んだ人が自分に向けられた求人だと受け取りにくくなりがちです。
求める人物像を具体化する手がかりは、経験・スキル・志向・重視する働き方の4つです。年齢で絞ることはできないため、能力と適性の面から言葉にしましょう。
たとえば次のような書き方です。
- 営業事務の経験があり、繁忙期の調整まで任せられる方
- 未経験から始めて、3年後に現場のリーダーを目指したい方
- 定型業務の手順を整えることにやりがいを感じる方
労働施策総合推進法施行規則も、募集に際して職務の内容と、その職務を遂行するために必要とされる適性、能力、経験、技能の程度をできる限り明示するよう求めています。人物像を決めることは、法令が求める記載を具体化することにもつながります。
業務内容は1日の流れや任せる範囲まで書いて働く姿が浮かぶようにする
業務内容の欄に営業、事務とだけ書かれていると、求職者は入社後の自分の動きを想像できません。何を、誰に対して、どこまで担うのかを書き分けると、業務の輪郭が伝わります。
書き足す観点は次の4つです。
- 対象と手段:どの顧客層に、どのチャネルで対応するのか
- 1日の流れ:始業から終業までの時間配分
- 担当範囲の推移:入社直後に任せる範囲と、半年後・1年後の範囲
- 繁忙期の状況:忙しくなる時期と、その時期の働き方
この観点で書き分けると、次のように変わります。
- 悪い例:法人向けの営業活動全般
- 良い例:既存の取引先30社を担当し、月に1度の訪問と見積作成を行います。新規開拓の飛び込み営業はありません
任せない業務を書き添えると、応募前の不安を減らせます。求人票は、魅力を並べるだけの場所ではありません。応募するかどうかを自分で判断できるだけの情報をそろえる場所だと考えると、書く内容を決めやすいでしょう。
抽象的な形容詞ではなく数字と事実で職場を描写する
アットホームな職場、やりがいのある仕事といった表現は、読み手ごとに解釈が変わります。伝わるのは、制度があるかどうかではなく、実際にどう運用されているかを示す数字と事実です。
- 悪い例:風通しの良い職場です
- 良い例:新入社員でも改善案を直接提案できる場として、毎週30分の全体ミーティングを設けています
- 悪い例:研修制度が充実しています
- 良い例:入社後3か月は先輩社員が専任で付き、業務手順書をもとに週1回の振り返りを行います
平均残業時間や有給休暇の取得日数を載せるなら、目標値ではなく直近の実績値を使いましょう。制度の名前だけを並べても、運用されているかどうかまでは伝わりません。
給与や休日以外の自社の魅力を洗い出して言語化する
給与や年間休日の多さだけで比較されると、原資の大きい企業と同じ土俵に乗ってしまいます。求職者が見ているのは待遇の数字だけではないため、それ以外の魅力も言葉にしておく必要があります。
洗い出す切り口は次の通りです。
- 仕事の意義:担当する製品やサービスが誰にどう使われているか
- 裁量の範囲:どこまで自分で決められるのか
- 育成の仕組み:資格取得支援の対象と補助の内容
- 働き方の柔軟性:時差出勤やリモートワークの運用実態
- 事業の見通し:直近の事業展開と、募集の背景
ただし、賃金や休日そのものが市場水準や競合と離れている場合は、書き方の工夫だけでは埋まりません。応募が集まらない原因を求人票だけに求めず、条件の見直しも並行して検討しましょう。
職種名は求職者が検索する言葉に合わせる
求人検索エンジンや媒体内の検索では、職種名が入口になります。社内の呼称ではなく、求職者が検索に使う言葉で書きましょう。
- 改善前:CS部スタッフ
- 改善後:カスタマーサポート(法人向けSaaSの問い合わせ対応)
- 改善前:営業スタッフ
- 改善後:ルート営業(法人向け既存顧客担当)
一方で、露出を増やす目的でキーワードを詰め込んだり、同じ内容を繰り返し投稿したりする運用は、媒体の掲載基準に触れることがあります。業務内容がひと目でわかる範囲に収めましょう。
求人票を掲載したあとに必要な運用

求人票は、公開したあとも実態と合った内容を保つところまでが求められます。作成した時点で正しく書けていても、条件が変わったあとに直していなければ、法令の要件を満たさなくなります。
職業安定法は掲載中の求人情報を正確かつ最新に保つことも求めている
職業安定法第5条の4第2項は、労働者の募集を行う者に対し、広告などで募集に関する情報を提供するときは正確かつ最新の内容に保たなければならないと定めています。掲載した時点を明示することも、求められる対応のひとつです。
求人票の管理は、次の2つに分かれます。
- 作成時に法定項目を漏れなく書く
- 掲載中の内容を、実際の労働条件と一致した状態に保つ
後者は、仕組みがないと担当者の記憶頼みになりがちです。掲載開始から時間が経った求人ほど、実態とのずれが積み上がります。
※出典:e-Gov法令検索「職業安定法」
条件が変わったら掲載しているすべての媒体で同じ内容に直す
媒体ごとに管理画面が分かれていると、修正が一部の媒体にしか反映されない状態が起きます。同じ求人が媒体によって違う条件で出ていると、求職者はどれが正しいのか判断できません。
応募後の説明でも齟齬が生じ、辞退につながりやすくなります。
直す必要が出やすいのは、次のタイミングです。
- 最低賃金の改定で、地域ごとの下限額が変わったとき
- 就業場所や業務内容、変更の範囲を見直したとき
- 有期契約の更新の基準や更新上限を変えたとき
- 明示すべき労働条件が法改正で追加されたとき
どの媒体にどの求人を出しているかの一覧がないと、直し漏れに気づけません。媒体名と求人名、掲載開始日を1か所にまとめておきましょう。
募集を終えた求人は掲載を止めて応募の受け付けを終える
採用が決まったのに掲載が残っていると、応募しても選考に進めない人が出ます。募集終了の判断と、掲載停止の操作を同じ手順に組み込みましょう。
- 内定承諾の連絡を受けた時点で、掲載停止の期限を決める
- 掲載を止める媒体と、応募フォームを閉じるページを一覧で確認する
- 停止後に届いた応募には、募集終了の連絡を返す
求人検索エンジンや媒体では、掲載停止の反映に時間がかかる場合もあります。停止操作をしたあとに、実際の掲載面まで確認しておきましょう。
応募数と選考の通過状況を求人票ごとに振り返る
求人票の書き方が効いたかどうかは、応募数だけでは判断できません。応募数、書類通過率、面接実施率、採用数、採用単価を求人票ごとに並べると、どこで詰まっているかが見えます。
- 応募は多いのに書類通過率が低い:求める人物像や業務内容の書き方が実態とずれている
- 応募自体が少ない:職種名や条件の見せ方、媒体の選び方が合っていない
- 面接実施率が低い:応募後の連絡速度や日程調整の進め方に原因がある
Excelや、分析機能が限定的な採用管理システムでは、媒体別の応募と選考結果を突き合わせる作業が毎回発生しがちです。求人や拠点が増えるほど、集計そのものに時間がかかるようになるでしょう。
採用管理システム「RPM」では、管理画面で入力した求人情報を掲載先へ反映でき、1度の修正を連携している複数の媒体へ反映できます。掲載のオン・オフも管理画面から切り替えられるため、募集終了後の掲載残りを防ぎやすくなるでしょう。
媒体ごとの応募数や面接化率、採用単価も一覧で比較できるため、求人票の見直しと効果の確認を同じ場所で進められます。
求人票の作成に関するよくある質問
求人票の実務では、法令の条文だけでは判断しきれない場面が出てくるでしょう。
求人票と労働条件通知書は何が違いますか?
根拠となる法律と、示すタイミングが違います。求人票を示すのは職業安定法にもとづく募集の段階、労働条件通知書を明示するのは労働基準法にもとづく労働契約の段階です。
募集時に示した条件がそのまま契約内容になるわけではありませんが、契約時の条件が求人票と違う場合は変更内容の明示が必要になります。
労働条件通知書のほうも求人票と同じく2024年4月から明示事項が追加されているため、両方の様式をあわせて見直しておきましょう。
面接の過程で求人票の条件から変更が出た場合はどう対応すればいいですか?
変更内容を明示する必要があります。明示は速やかに行う必要があり、当初示した条件のどの部分がどう変わるのかを、求職者が確認できる形で伝えます。
面接での本人の経験や能力を踏まえて条件を見直すこと自体は問題になりませんが、伝えないまま契約するのは避けましょう。書面など記録に残る方法で交付し、同意を得ておくと後の認識のずれを防げるでしょう。
求人広告のスペースが足りず、労働条件を書ききれない場合はどうすればいいですか?
詳細は面談時にお伝えしますなどと付したうえで、労働条件の一部を別のタイミングで明示することもできます。この場合、すべての労働条件を明示する期限は、原則として面接など求職者と最初に接触する時点までです。
スペースの制約がある媒体では、優先して載せる項目と面談時に伝える項目を、あらかじめ社内で決めておくと運用しやすくなります。
2026年10月のパートタイム・有期雇用労働法の改正で、求人票の記載項目は増えますか?
この改正で追加されるのは、パートタイム・有期雇用労働者を雇い入れたときや労働契約を更新したときの明示事項です。待遇の相違の内容・理由等に関する説明を求めることができる旨の明示が必要です。
求人票、つまり募集時の明示事項に項目が加わるものではないため、募集段階ではなく雇い入れ段階の対応として整理しておきましょう。
【まとめ】法定項目を満たした求人票を作り掲載後も最新の内容に保つ
- 求人票は、ハローワークの求人申込書だけでなく、求人媒体や自社採用サイトの募集情報も含む。募集要項という呼び名でも、法律上の扱いは変わらない。
- 職業安定法で明示が義務づけられている項目には、業務内容と就業場所の変更の範囲、有期契約の更新の基準、固定残業代の内訳、受動喫煙防止措置まで含まれる。
- 求人票は掲載したあとも、実際の労働条件と一致した状態に保つことが求められる。
求人票は、法令にもとづいて労働条件を伝える書類であり、多くの場合は企業と求職者が最初に接する情報でもあります。まず法定項目を漏れなく書き、記載できない表現を避けましょう。
そのうえで、業務内容や職場の様子を具体的に描写すれば、条件だけでは伝わらない判断材料を渡せるでしょう。
もっとも、複数の媒体に求人を出しながら、法改正への対応と掲載内容の更新を続けるのは、担当者にとって負担の大きい仕事です。求人が増えるほど、どの媒体にどの条件で出しているかを追いきれなくなりがちです。
ゼクウが提供する採用管理システム「RPM」は、求人情報の作成・更新・公開を一元管理し、主要な求人媒体からの応募者を自動で取り込める採用管理システム(ATS)です。
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