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AIコールとは?最新の活用法から導入メリット、失敗しない選び方まで徹底解説

多くの企業で、電話対応は重要な顧客接点である一方、ピーク対応や引き継ぎ、夜間・休日の対応など大きな負荷がかかります。

AIコールなら、人手不足や応答遅延を解消し、24時間の一次対応や予約変更、督促、掘り起こし架電まで幅広い活用が可能です。

本記事では、採用管理システム「RPMを提供する株式会社ゼクウがAIコールにおける基礎知識から具体的な活用事例、さらには自社に最適なサービスを選ぶための比較ポイントまで、分かりやすく解説します。

AIコールとは

まずは、「AIコール」がどのようなものなのか、基本的な部分から理解を深めていきましょう。

AIコールの基本的な定義

AIコールとは、その名の通り、AIが人間に代わって電話の発信(アウトバウンド)や受信(インバウンド)を自動で行うシステムのことです。あらかじめ設定されたシナリオに基づき、AIが顧客と対話し、予約受付・問い合わせ対応・アンケート調査といった様々な用件を処理します。

従来型の「〇〇の方は1番を…」といった自動音声案内とは一線を画し、より人間に近い柔軟なコミュニケーションが可能な点が最大の特徴です。

AIコールとIVRとの違い

AIコールとしばしば混同されるのが「IVR(自動音声応答システム)」です。それぞれの違いを明確にしておきましょう。

AIコール

IVR(自動音声応答

対話形式

会話型(音声認識による対話)

プッシュボタン操作

シナリオの柔軟性

非常に高い / 複雑な分岐も可能

低い / 固定シナリオのみ

主な用途

営業、催促、複雑な受付などの能動的な対話

要件の振り分け、典型的な案内

AIコールはボイスボット技術を用いたサービスで、発信業務(アウトバウンドコール)にも対応し、能動的で複雑な対話シナリオを実行できるものを指すことが多いです。一方、IVRはプッシュボタン操作が基本となり、会話による柔軟な対応はできません。

AIコールの仕組み

AIコールが人間のように会話できる背景には、以下の3つの技術が連携しています。

音声認識技術

顧客が話した言葉(音声データ)を、AIが理解できるテキストデータにリアルタイムで変換します。この精度が高いほど、聞き間違いが少なくスムーズな対話が実現します。

自然言語処理(NLP)技術

テキスト化された文章の意味や意図をAIが解析・理解します。「予約したい」「変更したい」「キャンセルしたい」といった様々な言い回しから、顧客の本当の要望を正確に汲み取ります。

音声合成技術

AIが考えた回答(テキストデータ)を、人間のように自然な音声に変換して発話します。最近の技術では、イントネーションや感情の表現も可能になり、より機械っぽさのないコミュニケーションが実現しています。

これらの技術が瞬時に連携することで、AIは顧客の発言を理解し、適切な回答を考え、滑らかな音声で伝えるという一連の対話プロセスを自動で行うことができるのです。

AIコールの3つの技術ステップを示す図。音声認識(ASR)で音声を文字化し、自然言語処理(NLP)で意図を理解し、音声合成(TTS)で応答を生成する流れを表している。

AIコールの主な機能

AIコールは、電話業務の「受信(インバウンド)」と「発信(アウトバウンド)」の両面で活躍します。具体的にどのような業務を自動化できるのか見ていきましょう。

インバウンドコール(受信業務)でできること

顧客からの電話を受ける業務を効率化します。

  • 24時間365日の問い合わせ対応: 営業時間外や休日の問い合わせにも自動で対応し、機会損失を防ぎます。
  • 予約受付・変更・キャンセル: 飲食店やクリニックなどの予約業務を完全に自動化します。
  • FAQ対応: 「営業時間は?」「アクセス方法は?」といった、よくある質問にAIが即座に回答します。
  • 担当者への架電転送: 用件をヒアリングし、最適な部署や担当者へスムーズに電話を転送します。

アウトバウンドコール(発信業務)でできること

企業側から顧客へ電話をかける業務を効率化・高度化します。

  • アンケート調査・市場調査: 大量のリストに一斉に電話をかけ、音声でアンケートを実施します。
  • イベントやセミナーの案内・出欠確認: 開催案内や参加可否の確認を自動で行います。
  • 予約のリマインドコール: 予約の前日などに自動で電話をかけ、無断キャンセルを防止します。
  • 営業アポイントの獲得(インサイドセールス): 見込み客リストへ架電し、サービスへの興味度合いをヒアリング。関心が高い顧客のみを営業担当者へ引き継ぎます。

メール・SMSより“気づかれる”AIコールの強み

AIコールが営業や督促といったアウトバウンド業務で特に有効なのは、メールやSMSといった他の連絡手段に比べ、「顧客への到達率・認知率が圧倒的に高い」ためです。

「電話着信」としてロック画面に表示

ビジネスシーンで多用されるメールやSMSは非常に便利ですが、顧客の受信箱や通知欄では他の情報に埋もれやすく、開封されないまま見過ごされてしまうことも少なくありません。

それに対し、AIコールは顧客のスマートフォンに「電話着信」として届きます。これは、スマートフォンの通知の中で最も優先度が高く、ロック画面の最上位に表示されるため、顧客がほぼ確実に認知(気づく)ことができます。

この「通知の優先度の高さ」こそがAIコールの最大の強みであり、高い応答率・反応率につながる理由です。特に、緊急性の高いリマインドや、確実な反応が欲しい営業アプローチにおいて、この差は大きな成果の違いとなって現れます。

AIコール・SMS・メールの比較表。通知の優先度、認知・反応率、主な活用法を比較。AIコールは最も気づかれやすく反応率が高い。

AIコール × SMS/メールの組み合わせで認知を最大化

さらに重要なのは、これらのツールを適材適所で使い分けることです。AIコールは単体で使うだけでなく、SMSやメールと組み合わせることで、営業成果をさらに高めることができます。

  • AIコール: 「気づかせる」「応答を得る」ことに最適
  • SMS: 「簡易的な通知」「URLを送る」ことに最適
  • メール: 「詳細情報」「資料を送る」ことに最適

例えば、以下のような連携が非常に効果的です。

  • パターン1(取りこぼし防止): まずAIコールで架電し、応答がなかった顧客にだけ、要件をまとめたSMSを自動送信する。
  • パターン2(確実なクロージング): AIコールで獲得したアポイントに対し、確認のための詳細情報(日時、場所、Web会議URLなど)をメールで自動送信する。

このように、AIコールを「最初の確実な接点」として起点にし、他のツールと連携させることで、顧客との接触率とコンバージョン率を最大化できます。

AIコール導入で得られる4つのメリット

AIコールを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは代表的な4つのメリットを解説します。

圧倒的なコスト削減

最大のメリットは、人件費をはじめとするコストの大幅な削減です。オペレーター1人を雇用するには、給与だけでなく、社会保険料、採用コスト、研修コストなど多くの費用がかかります。

AIコールなら、人間のオペレーター数人分の業務を、月額数万円〜という低コストで代替可能です。特に、24時間対応や大規模なアウトバウンドコールなど、人手を集めるのが難しい業務ほど、コスト削減効果を見込めます。

顧客満足度の向上

AIコールは顧客側のメリットも大きいのが特徴です。「コールセンターに電話したのに、なかなかつながらない」「営業時間を過ぎていて問い合わせができなかった」といった顧客の不満は、顧客満足度の低下に直結します。

AIコールなら、24時間365日・待ち時間なしで対応できるため、顧客体験が向上し、企業への信頼と満足度に繋がるでしょう。

応対品質の均一化とデータ活用

人間のオペレーターは、経験やスキル、その日の体調によって応対品質にばらつきが出がちです。しかし、AIコールであれば、常に設定されたシナリオ通りに安定した品質で応対できます。

さらに、全通話の音声データを自動でテキスト化し、蓄積・分析できる点も大きなメリットです。顧客の生の声を分析することで、架電シナリオを修正したり、新たなニーズを発見して商品・サービスの改善に繋げたりといったデータドリブンな事業運営が可能になります。

従業員満足度の向上

電話業務、特にクレーム対応や督促業務は、オペレーターにとって精神的な負担が大きい仕事です。こうした精神的負担の大きい業務や、単純な反復作業をAIに任せることで、従業員のストレスを大幅に軽減できます

働きやすい環境が整うことで、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率の低下にも繋がります。これは、人材不足が深刻化する現代において非常に重要なメリットと言えるでしょう。

【シーン別】AIコールの活用例

AIコールは、業種や業務内容を問わずさまざまな現場で活用されています。以下では、代表的な利用シーンをいくつか紹介します。

【人材・採用領域】応募者との面接設定

従来は多数の応募者に対し、担当者が一人ずつ架電して面談日程を調整するため多大な工数が発生していました。AIコールを導入することで、架電から日程調整までの一連のフローを自動化し、対応漏れや属人化を抑え、調整速度と応答率の向上に成功しています。

【人材・採用領域】候補者の掘り起こし

新規候補者の獲得コスト高騰を受け、AIコールを活用した登録者の掘り起こしを強化しました。メール/SMS+手動架電は量と成果が頭打ちの中、架電業務の自動化に着目しAIコールを導入。AIが発信業務と折返し対応まで担い、面談獲得数の向上と費用削減を同時に実現しました。

【飲食・小売業界】予約受付とリマインドコール

ピーク帯に予約連絡が集中し、接客や調理が滞る課題に対してAIコールを導入する事例もあります。
24時間365日、自動で予約を受け付けたり、来店前日のリマインド連絡を行うことで、“うっかり忘れ”による無断キャンセルを大幅に削減しています。

【金融・保険業界】督促コールとアンケート調査

支払いリマインドや契約更新の案内など、顧客への定期的な連絡が必要な業務でもAIコールは効果を発揮します。自動化によりオペレーターの負担を軽減しながら、顧客対応のスピードと正確性を両立する事例が増えています。

失敗しない!AIコールサービスの選び方と比較ポイント

現在、数多くのAIコールサービスが存在し、「どれを選べば良いか分からない」という方も多いでしょう。自社の課題や目的に合ったサービスを選ぶために、以下の6つのポイントをチェックリストとしてご活用ください。

AIコール導入前に確認すべき比較チェックリスト。自社に合う機能の有無、料金体系の適合性、音声品質、操作性・分析機能、サポート体制、セキュリティ対策などを評価できる項目一覧。

これらのポイントを総合的に比較検討し、複数のサービスから見積もりや提案をもらって、自社に最もフィットするパートナーを見つけることが成功への近道です。

【2025年最新】おすすめAIコールサービス徹底比較

ここでは、市場で評価の高い主要なAIコールサービスをいくつかピックアップし、その特徴を比較します。(※各サービスの情報は2025年10月時点のものです。最新の情報は各公式サイトをご確認ください)

サービス名

Mico Voice

AIAI Messenger Voicebot

PKSHA VoiceAgent

LINE WORKS AiCall

AIコンシェルジュ

提供元

株式会社Mico

株式会社AI Shift

株式会社PKSHA Communication

LINE WORKS株式会社

株式会社TACT

得意な業務

・アウトバウンド(架電)特化
・人間らしいイントネーションの再現

・イン/アウト両対応
・専門家によるシナリオ設計支援
・自然言語処理技術

・ノーコードで対話作成・編集
・日本語特化のAIエンジン「BEDORE」搭載

・LINEのAI技術による自然な音声
・LINE WORKS/LINE公式アカウントとの連携

インバウンド(注文、予約、FAQ、手続き)

機能

CRM/SFA等と連携可能

CRM/SFA等と連携可能

CRM/SFA等と連携可能

PBX/CRM等と連携可能

要問合せ

料金(初期費用)

要問合せ

500,000円~

要問合せ

個別見積もり

要問合せ

料金(月額費用)

120,000円~

300,000円~

要問合せ

個別見積もり

220,000円~

出典

https://mico-inc.com/voice/

https://www.ai-messenger.jp/voicebot/

https://aisaas.pkshatech.com/voicebot/

https://line-works.com/ai-product/aicall/

https://service.tactinc.jp/aic/

まとめ

本記事では、AIコールの基礎知識からメリット・デメリット、活用事例、そして導入を成功させるためのポイントまでを網羅的に解説しました。

AIコールは、単なるコスト削減ツールではありません。電話業務を効率化し、従業員をコア業務に集中させ、顧客満足度を向上させることで、企業の成長そのものを加速させる強力なパートナーとなり得ます。

まずは、貴社の電話業務の中で「AIに任せられそうな業務はないか」を洗い出してみてはいかがでしょうか。そして、気になるサービスがあれば、公式サイトから資料請求や無料相談をしてみることをお勧めします。

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髙田輝之
髙田輝之
エン株式会社(旧・エン・ジャパン)、ゼクウで営業部長を歴任。 15年以上にわたりHR業界に携わり、企業の新卒・中途採用支援を中心に、採用戦略設計・広告運用・採用管理システム(ATS)導入・歩留まり改善など、採用領域全般の課題解決に従事。現在はゼクウにて、採用管理やHRテクノロジーをはじめ、人材採用から定着・育成までをカバーするHR全体の仕組み最適化をテーマに、記事企画・監修・執筆を行っている。現場で培った知見を活かし、複雑な人事課題を構造的に整理し、読者が正しく判断できる情報発信を心がけている。

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